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ドラマ「にじいろカルテ」から、地域共生社会と孤独を癒す「つながり」について考えてみよう【話題の映画・ドラマ・アニメから考えるブログ25】

ドラマ「にじいろカルテ」から、地域共生社会と孤独を癒す「つながり」について考えてみよう【話題の映画・ドラマ・アニメから考えるブログ25】

 

  • 「にじいろカルテ」のドラマ概要とあらすじについて
  • 地域共生社会とはなんでしょうか
  • 医者で患者の主人公真空の生き方から、地域共生社会について考えてみよう
  • 孤独を癒すもののひとつは、人と人との「つながり」を実感する瞬間なのかもしれません

 

それぞれ一つずつみていきたいと思います。

 

 

「にじいろカルテ」のドラマ概要とあらすじについて

 

『にじいろカルテ』は、テレビ朝日系「木曜ドラマ」枠で2021年1月21日から3月18日まで放送されたテレビドラマです。主演の医者には高畑充希、同僚に井浦新、北村匠海。三人が勤める病院がある虹の村の村民には、安達祐実、眞島秀和、光石研、西田尚美、水野美紀をはじめとする個性的な演技派俳優たちです。脚本家は、NHK連続テレビ小説『ひよっこ』『ちゅらさん』、民放ドラマ、『イグアナの娘』『君の手がささやいている』などで知られる脚本家・岡田惠和が初めて手掛けた医療ドラマです。

物語は、都内の大学病院の救急の医療現場で倒れてしまった医師、紅野真空(高畑充希)は多発性筋炎という難病を患っていることがわかり、医師の職を失います。失意の中、偶然虹の村役場のホームページで知った医師募集に応募し、病名は伏せ採用されます。山深く自然豊かな小さな村で村民から熱烈な歓迎を受けた真空は初めての経験に驚き感動し、自分が難病を患っていることを告白し、それでもこの場所で医師として働きたいと懇願します。「医者で患者なんて最強じゃないか」と声をかけられ、医者で患者である真空を、村民達は温かく受け入れます。男性の同僚二人と病院と住宅を兼ね備える、かつての廃校で生活しながら、虹の村の人たちと言葉を交わし、医師として村民である患者に寄り添います。真空を支えるいつも元気で面白く優しい人たちが、それぞれに病を抱え、痛みを抱え、悩みを抱え、どうにもならない現実と折り合いをつけながら、みんなで支えあい、食事を囲み、日々を重ねていきます。

本ドラマは放送された時がコロナ禍の真っ最中でステイホーム、不要不急の外出が自分の命を守る行動でした。日本が世界がパンデミックの恐怖の中にいました。そんな中で、このドラマは、とにかく明るくて、ほのぼのとして、元気を与えてくれます。

脚本家の岡田惠和さんも本ドラマを次のように称しています。「手術がゴールではない。治したら終わりではなく、その先の物語に挑戦します。高齢化、そして“3人に1人が癌で亡くなる”と言われる日本において、医療モデルは、「体を治す」医療から「生活を支える」医療へと変化して、緊急救命よりも“長期間の病気との共存”、入院生活よりも“在宅医療”“看取り”を求める患者が圧倒的に増加しました。医療と暮らしは共にある――手術でも治らない、それがわかったら終わり?そうじゃない。そのあとに人生をいかに支えていくか…。さまざまな命とどう向き合い、共に人生に寄り添っていくのか

まさに、人々が地域の中でどのように生きるのか「地域共生社会」が描かれ、それぞれ人には言えない病気や傷を抱えている人の孤独が、いかに共同体の中で和らいでいくのか、自分のかけがえのない居場所を作っていくのか、未来に希望を感じる作品です。

岡田惠和さんの温かみのある優しい作品は昔から好きで、人が生きていく力を与えてくれます。興味があればご覧いただければと思います。(出所)Wikipedia テレビ朝日HP

 

 

地域共生社会とはなんでしょうか

 

「地域共生社会とは、制度・分野ごとの「縦割り」や「支え手」「受け手」という関係を超えて、地域住民や地域の多様な主体が参画し、人と人、人と資源が世代や分野を超えてつながることで、住民一人ひとりの暮らしと生きがい、地域をともに創っていく社会”を指しています。」

(出所)厚生労働省 地域共生社会のポータルサイト

 

現在では、少子高齢化が加速しています。以前には機能していた、血縁(家族親族)、地縁(住んでいる地域のコミュニティ)、社縁(会社と従業員とのつながり)が希薄になり、機能しなくなってきました。社会情勢、産業構造等の環境の変化が個人の価値観をも大きく変えてきました。

このような社会では血縁、地縁、社縁は恐らく弱くなっていくでしょう。そんな社会で、どのように人と人がつながりあい、支えあえるかが大事になってきます。地域共生社会は、①制度や分野の縦割り、②支え手、受け手という関係、③世代や分野を超えて、人の「暮らし」を中心に置いて、これまでの枠組み・考え方から「越境」して「つながって」いくことが、地域共生社会です。

(出所)厚生労働省 令和5年版厚生労働白書-つながり・支え合いのある地域共生社会-

 

医者で患者の主人公真空の生き方から、地域共生社会について考えてみよう

 

今回のにじいろカルテの中で、真空は医者であり患者です。まさに医療従事者として、虹の村の医療の支え手であり、医療を必要とする患者でもあります。そして認知症を患っている雪乃さんの主治医でもあります。雪乃さんもまた虹ノ村唯一の食堂「にじいろ商店」の看板娘で、村の人たちに美味しい食事を提供し、村人の食生活を支えていますが、患者でもあり、そして真空と雪乃さんは友人でもあります。

一般的な人間関係についても同じことが言えるでしょう。人は多面的であり、様々な役割を持っており、ある場面では支える側であっても、違う場面では支えられる側になることがあります。支える側と支えられる側として役割が固定されるのではなく、状況や立場によって流動的に変化します。にじいろカルテで描かれる世界は、まさにこのような地域共生社会の中で人々が支え支えられ生きる姿です。

劇中、真空が自分が病気を抱えていることで仲間に迷惑をかけまいと頑張りすぎて途中で倒れてしまいます。その時に同僚の先生から、「一人で抱えすぎないで周りに頼れ」と注意されるシーンがあります。そしてドラマの中で、太陽君(北村匠海)が真空に「医者でも患者でもどっちでもいいよ。真空さんが必要なんだよ」と虹の村の地域社会の中で真空は自分の居場所をみつけます。

日本に昔からあった「持ちつ持たれつ、お互い様」と大らかに受け止められる考え方が地域共生社会には必要なのではないでしょうか。

 

 

孤独を癒すもののひとつは、人と人との「つながり」を実感する瞬間なのかもしれません

 

このドラマも見どころの一つは、それぞれ病や心に傷を負い、悩んでいる。孤独をどこかで感じている人たちが、共同生活を経、互いに信頼関係を構築し、深くつながることにより、孤独感が癒えていく過程です。特に医師と看護士として働く3人が言い争いをしながら絆を深めていく姿には心を揺さぶられるものがありました。

コロナ禍を経て、人と直接会ってコミュニケーションをとることが減ったと感じる人は多いのではないでしょうか。令和5年版の厚生労働白書でもそのような結果が出ています。直接のコミュニケーションやつながりが失われ、それを寂しいと思う人もいれば、人付き合いのわずらわしさから解放されて楽になったと感じる人もいるでしょう。

特に近所付き合いに関しては、若年層で都市の規模が大きいほど、「挨拶をする程度」や「世間話をする程度」を望む割合が高い傾向を望むという結果が出ています。

しかし、現代では、誰もがある日突然なんらかのきっかけにより、孤立に陥る可能性があります。孤独・孤立のリスクは今現代を生きている全ての人に起こりうる可能性です。(孤独・孤立については以前、映画お元気ですかのブログで書いております。よろしければご覧ください)また、孤独・孤立の状態に陥ってからでは、遅すぎることもあるかもしれません。地域社会のどこかでつながっていれば、誰かの孤立状態を誰かが気が付き、人生のセーフティーネットになる可能性は高いでしょう。またセーフティーネットとという機能の面だけでなく、深く確かな人とのつながりは、心理的安全性を与え、幸福度を高めるという効果もあります。

(出所)厚生労働省 令和5年版厚生労働白書-つながり・支え合いのある地域共生社会-

 

にじいろカルテの世界は、優しさと善意に満ちた美しい地域共生社会の形でした。確かに現実の世界には、もっと複雑でグレーな社会です。うまくいかないことの方が多いでしょう。しかし血縁で繋がった家族でもないたまたま知り合った人と、深いつながりを築けたり、自分の居場所を作れたら、それは本当に幸運です。まずは面倒くさがらずに、一歩を踏み出してみませんか。

 

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