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1.102025
映画「最高の人生の見つけ方」から「バケットリスト」と計画的偶発的理論について考えてみよう【話題の映画・ドラマ・アニメから考えるブログ36】
映画「最高の人生の見つけ方」から「バケットリスト」と計画的偶発的理論について考えてみよう【話題の映画・ドラマ・アニメから考えるブログ36】
- 映画「最高の人生の見つけ方」の映画概要とあらすじについて
- 「バケットリスト」を知っていますか
- 「計画的偶発的理論」について考えてみよう
- 生きるとは物語をつくること
それぞれ一つずつみていきたいと思います。
映画「最高の人生の見つけ方」の映画概要とあらすじについて
映画「最高の人生の見つけ方」は、2007年にロブ・ライナー監督により名優ジャック・ニコルソン、モーガン・フリーマンの主演で上映されたアメリカ映画を2019年犬童一心監督により、吉永小百合、天海祐希主演により日本映画にリメイクされました。
吉永小百合さんに関しては誰もがしる日本映画の伝統そのもの、本作品が121作目という大女優です。また天海祐希さんはもと宝塚の男役で、宝塚退団後は、数々のドラマや映画で主演をはり、今や日本を代表する女優です。アメリカ版がジャック・ニコルソンとモーガン・フリーマンという巨匠が主演をしていたため、日本でリメイクされる時は、それ相当の役者でのリメイクをワーナーブラザーズから要請されていたため、本作品のキャスティングには時間がかかったそうです。
本作品はアメリカ版では男性が主演でしたが、日本版では女性二人が主人公です。大学卒業後から人生のほとんどの時間を家族に捧げてきた70代の大真面目な主婦・幸枝役に吉永小百合、ホテル業界で成功し、仕事にほとんどの時間を捧げてきた50代前半の大金持ちのセレブ社長・マ子に天海祐希が、たまたま病院で同室になり、言葉を交わすようになります。日常生活では何の接点もない二人が、共に末期のガン患者であることがわかります。偶然手にした12歳の少女のお薬手帳に、「死ぬまでにしたいことリスト」が書かれてあり、ひょんなことから二人で、その「死ぬまでにしたいことリスト」を全部決行することに決め、マ子の潤沢な資金で、アメリカでのスカイダイビング、エジプトでピラミッド鑑賞。ももクロのコンサートで、歌って踊り、京都で日本一大きいパフェを食べ、幸枝は長崎でウエディングドレスを着ます。楽しいことだけでなく、互いの人生の傷や心に秘めていたこと、家族やパートナーとの関係性などと向き合い、全てに決着をつけていきます。マ子が最初に旅立ちますが、その後幸枝も旅立ちます。マ子から相続を受け、200億のお金を遺贈された幸枝は、それを二人で叶えられなかった最後の宇宙旅行に全額投資し、幸枝とマ子の名前が描かれたロケットが宇宙に飛び立ち、全てのリストが完遂され物語は終わります。
死が前提になっている映画ですが、最初から最後まで明るく楽しい映画です。ロードムービーのシーンは、主演のお二人がどれも本当に楽しそうな表情で、また二人の関係性も自然で、多分主演の二人は、本作品を本気で楽しんだのではないかと推察します。吉永小百合さんも、インタビュー記事で「私は演じていたのか、本当に私自身が楽しんでいたのかわからなくなるくらい楽しかったです。」と述べていました。「死ぬまでにしたいことリスト」を片手に冒険の旅に出て、今、実際自分が持っているものに気づき、同時に旅の中で新しい自分を知り、かけがえのない友情を育む旅でもあります。一人旅では気づけない、二人だからできた旅、共有しあえた旅、人生の可能性は他者との触れ合いの中で生まれるものなのかもしれないと映画を観ながら思いました。天海祐希さんの秘書役のムロツヨシさんに好感が持てました。明るく楽しく、これからの人生を前向きに捉えられる映画です。
(出所、参考)Wikipedia、ワーナーブラザーズ公式HP
「バケットリスト」を知っていますか
本作品ではバケットリストは「死ぬまでにしたいことリスト」と呼ばれていました。
バケットリストとは、人生でやりたいことをリスト化したものです。英語の「kick the bucket(死ぬ)」というスラングが由来で、日本語では「棺桶リスト」とも呼ばれます。
このリストには、生きている間に達成したいことや経験したいことを自由に書き出します。例えば、旅行したい場所、挑戦したいこと、会いたい人など、大小問わず様々な項目が含まれます。
バケットリストを作ることで、自分の目標や夢を明確にし、モチベーションを高める効果があります。また、リストを見返すことで、日々の行動に具体的な方向性を持たせることができます。
最初、幸枝は自分用のバケットリストを作ろうとしますが、今までそのような自分主体でしたい事を考えたことがなかったため、やりたいことを思いつけず書けない自分に衝撃を受けます。でもこれは幸枝だけでなく、私たち全員、急にバケットリストを書くような状況に追い込まれたら、書けるでしょうか。戸惑う人も多いのではないでしょうか。
バケットリストは、用意して準備しないと急には書けません。今はエンディングノートの中でも、バケットリストが書けるものもあります。大小問わず、できるできない問わず、頭の中に浮かぶものからリストにまずは書いてみてはいかがでしょう。
自分のバケットリストを作ってみませんか。
「計画的偶発的理論」について考えてみよう
本作品で重要な要素は、幸枝とマ子の偶然の出会いです。計画的偶発理論(Planned Happenstance Theory)は、キャリア発達における理論の一つで人生、キャリアにおいて偶然の出来事や予期しない機会が重要な役割を果たすことを認め、アメリカのキャリアカウンセラーであるジョン・クランボルツ(John D. Krumboltz)によって提唱されました。 この考え方はキャリアにおいての考え方なのですが、幸枝とマ子の偶然の出会いをこの理論で少し考えてみたいと思います。
従来のキャリア理論が「計画に基づいて進めるべき」という当面のことに対して、「予測できない出来事や機会」がキャリアに大きな影響を与えることをよく考えていることに着目しています。偶然に起こる出来事を黙って待つのではなく、それを積極的に相談してキャリアを形成することが重要だという考え方です。
主なポイント
・偶然の重要性
キャリアの発展において、偶然の出来事が重要な役割を果たすと考えます。予期しない出会いや出来事が新しい機会を生むことがあります。
・柔軟性と適応力
計画を立てることの重要性を認めつつも、柔軟に対応し、変化に適応する能力を強調します。計画通りにいかないことがあっても、それをチャンスと捉える姿勢が大切です。
・積極的な行動
偶然の機会を活かすためには、積極的に行動し、様々な経験を積むことが必要です。新しいことに挑戦し、ネットワークを広げることで、予期しないチャンスが増えます。
・好奇心と持続力
好奇心を持ち続け、学び続けることが重要です。また、困難に直面しても諦めずに努力を続けることで、偶然の機会を最大限に活かすことができます。
上記の4点の主要なポイントは、幸枝とマ子が出会い、「死ぬまでにしたいことリスト」を完遂するまでに二人が身に着けていく力ではないでしょうか。
始まりは偶然かもしれませんが、それを上手くいかせるかは、自分たち次第なのかもしれません。
生きるとは物語をつくること
見出しの言葉は、著名な臨床心理士の河合隼雄さんと、博士の愛した数式、妊娠カレンダーで有名な小説家、小川洋子さんの対談集の題名です。
この中で、人が生きていく上で物語の重要性について語られています。
小川洋子さんは「人は生きていく上で、難しい現実をどうやって受け入れていくかということに直面した時に、それをありのままの形では到底受け入れがたいので、自分の心の形に合うように、その人なりに現実を物語化して記憶にしていく。」と述べています。
マ子が亡くなる直前に幸枝宛に残した手紙の中でも、「私には会社という子供が残った。死ぬのが怖かったけれど、幸枝さんと出会って旅をして笑っている間に、怖がっている暇がなくなった。生きててよかった。幸枝さんに会えてよかった」と手紙を残します。これはまさにマ子の人生の物語が自分で納得し完結できたということではないでしょうか。
終わりよければすべてよしという格言もありますが、自分の人生の物語を、納得して完結できることが大事なのではないかと思いました。
観ていて爽快な気持ちになる明るい映画です。
自分に起こる偶然に気づく感受性を大切にしながら、今までしたことのない体験にチャレンジしたくなります。
私たちの人生も、私たちの物語をまだまだ続きます。