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1.302026
「透析を止めた日」を考えることは、今を大切に生きること。行政書士が伝える、人生のハンドルを握り続けるための終活

はじめに
先日、『透析を止めた日』という一冊のノンフィクションを読みました。透析医療の最前線で交わされる、医師と患者、そして家族の葛藤。そこには、正解のない問いに向き合う人々の切実な姿が描かれていました。
実は、私の夫は透析クリニックの事務長を務めております。日々、現場を支える夫から聞く話は、決してきれいごとだけではありません。透析が継続できなくなった際の尿毒症の苦しみや、終末期の厳しさ……。そんな壮絶なリアルを耳にするたび、私は行政書士として、そして一人の人間として、「最期までその人らしくあるために、今できることは何だろうか」と深く自問自答してきました。
「医療」はプロに、「人生」は自分に
透析患者様は、徹底した食事制限や週に数回の通院など、日々の生活の多くを医療のルールに委ねていらっしゃいます。病と向き合う毎日は、時に「自分の自由が奪われている」と感じることもあるかもしれません。週3回の約5時間にわたる透析、日々の水分、栄養管理など透析経験のない私には想像することしかできませんが、とても制約の多い大変な毎日を過ごしてらっしゃることと思います。
しかし、たとえ身体的なケアを医師に任せたとしても、「自分の人生をどう締めくくりたいか」「大切な財産や想いを誰に繋ぎたいか」までを、医療や他人に委ねる必要はありません。
むしろ、先行きの見えない不安があるからこそ、自分の「意思」を形にしておくことが、心に揺るぎない平穏をもたらすと私は信じています。
人生のハンドルを握り続けるための「3つの整理」
医療行為そのものに踏み込むのは難しくても、行政書士として、皆様が「人生のハンドル」を握り続けるためにお手伝いできることがあります。
お金の整理(通院・入院・介護の備え) もし体調を崩し、自分で銀行へ行ったり支払いをしたりすることが難しくなったら……。そんな不安を解消するのが「財産管理」や「任意後見」の仕組みです。信頼できる誰かに、自分のルールで支えてもらう約束を先にしておく。これは、将来の自分への大きな贈り物になります。
財産のバトン(遺言・相続) 厳しい治療を共に乗り越えてくれたご家族、あるいは自分が大切にしたい場所へ。あなたの歩んできた証である財産を、確実に、そして争いのない形で届けること。これは残された方々への最後の優しさです。
「これからの私」の意思表示 エンディングノートは死の準備ではありません。自分が何を大切にし、何に喜びを感じるのか。その価値観を書き留めておくことは、万が一の時にご家族が迷わず、あなたらしい選択を尊重するための道しるべになります。
終活は「諦め」ではなく、自分への「深い愛」
「今後良くなる可能性がない」という言葉は、時に残酷に響くかもしれません。しかし、それは決して「終わり」を意味するのではなく、**「限られた時間を、どれだけ純度高く、自分らしく生きるか」**を選択する権利があるということでもあります。
私がお伝えしたい終活は、店じまいのような寂しい作業ではありません。 むしろ、心配事を一つずつ法的な書類で解決し、心にかかった霧を晴らして、「今この瞬間」を身軽に、前向きに楽しむための儀式なのです。
来月のセミナーに込める想い
来月、透析患者様向けの終活セミナーでお話しさせていただくことになりました。 そこでは、難しい法律用語や医療の是非ではなく、皆様が最期の一瞬まで「自分の人生の主役」でいられるための具体的な知恵をお伝えしたいと思っています。今までの人生を振り返ることは、日々の忙しい生活を送る全ての人にとって難しいことです。終活セミナーがみなさまの今までを振り返る一助になれば幸いです。
事務長である夫が漏らしていた言葉が忘れられません。 「ご家族が一番苦しむのは、ご本人の本音が分からず、正解のない決断を迫られる時なんだ」
あなたがハンドルを握ることは、あなた自身を救うだけでなく、あなたを愛するご家族を救うことにも繋がります。
セミナーで皆様にお会いできるのを、心より楽しみにしております。
以前より終活セミナーは継続的に行っております。ご参考までに。
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