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【デジタル遺言制度】を創設へ ネットで作成でき署名も不要【気になる記事ブログ⑩】

デジタル遺言制度を創設へ 政府、ネット作成・署名不要 日本経済新聞のニュースの記事から考えてみよう【気になる記事ブログ⑩】

 

  • デジタル遺言制度とはなんだろう
  • 今までの自筆証書遺言と違う点はなんだろう
  • デジタル遺言制度の背景を考えてみよう
  • 行政手続きのデジタル化が加速する??

 

それぞれ一つずつみていきたいと思います。

 

 

デジタル遺言制度とはなんだろう

 

遺言の作成方法は大別すると二つあります。公正証書遺言と自筆証書遺言です。公正証書遺言は公証役場のプロの法律家の方々に作成してもらう方法です。依頼者の希望する遺言内容を効力のある遺言として2名の証人の元に作成押印する方法です。今回のデジタル化は、公正証書遺言ではなく主に「自筆証書遺言」をデジタル化する制度です。

現在の自筆証書遺言は民法で、財産目録以外の全文の自書及び押印が法律上の要件として定められています。しかし自筆証書遺言のデジタル化では、法務省は、国民がデジタル技術を活用して、現行の自筆証書遺言と同程度の信頼性が 確保される遺言を簡便に作成できるような 新たな方式を設けることについて、現在検討中です。

(参考)答申・実施計画・意見書等 : 規制改革 – 内閣府 (cao.go.jp)

 

 

今までの自筆証書遺言と違う点はなんだろう

 

今までの自筆証書遺言は財産目録以外を全文直筆で書くことが要件とされてきました。また押印も必須でした。デジタル遺言制度はまだ案の状態ですが、関係資料には「押印の必要性に関しても検討する」とあり、押印に関しても踏み込んだ内容となっています。押印に関しては社会全体でも行政の場面でも必須ではなく任意となるなど徐々に意味合いが変わってきています。

 

 

デジタル遺言制度の背景を考えてみよう

 

以前にマイナンバーカードの申請が90%を超えたと記事を書きましたが、コロナ禍が契機となり、停滞していた社会全体のデジタル化が一気に加速しました。この3年間、仕事でも教育でもプライベートでも集団・対面が不可となり、個人・非対面形式としてオンラインが普及しました。在宅ワーク・オンライン授業・オンライン飲み会など、この3年間で耳にする場面が増えたと思います。今回のデジタル遺言制度も、社会のデジタル化が推進され、整備される一環とも言えます。

また、高齢化の進展や家族のかたち等に対する国民意識の変化に伴い、また所有者不明土地問題(空き家問題)などの社会課題を解決する上でも、より多くの人が簡便に遺言を作成できるようにする必要性が高まってきていることが背景と言えるでしょう。

 

 

行政手続きのデジタル化が加速する??

 

人口動態の記事でも書きましたが、これから多死社会に入り、日本の人口の構成は大きく変化していきます。少子高齢化の影響で、若者の数が減り、高齢者が増えます。2070年には65歳以上の高齢者の割合が約4割となり、高齢者が若者や社会を支えていく、高齢者が社会で求められる役割はおそらく増えていくでしょう。また今回の規制改革実施計画の中でも、建設業や、水道下水道の技術者や電気技術者など、高度な技術が必要な人材が不足していることが課題としても挙げられています。生産年齢の人口が減ることは、社会を支える担い手が減ることを意味します。そのため、これからの少子高齢化の時代に対応するため、デジタル化で足りない人材不足を補う意味合いも大きいのではないでしょうか。

 

自筆証書遺言の場合、記載途中で文字の誤りや内容に間違えがあった時の修正方法が決まっており、この形式通りに行わないと遺言書自体が不備となり、効力のある遺言書にはならない可能性もあります。遺言書の作成率に関してはいくつかデータがありますが、NPO法人ら・し・さの終活意識調査では、全体のわずか4.3%となっていて、日本では遺言書を書くことがまだまだ一般的ではありません。自筆証書遺言が今よりも簡便にできるようになると遺言書を書く人も増えてくるのではないでしょうか。また遺言書を書く人が増えれば、今後予想される社会課題の相続手続きの煩雑・遅滞、空き家問題などがスムーズに進むかもしれません。

 

 

 

 

 

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