ブログ

【空き家所有者の意識高まる!】株式会社カチタスの第3回 空き家所有者に関する全国動向調査(2023年)から【データから考えてみよう⑭】

【空き家所有者の意識高まる!】株式会社カチタスの第3回 空き家所有者に関する全国動向調査(2023年)から【データから考えてみよう⑭】

 

空き家問題が、昨今社会の課題として大きく取り上げられています。今回株式会社カチタスの全国動向調査から、昨年より空き家所有者の意識が大きく高まっています。空き家所有者の意識の高まりと、空き家所有者の感じる課題、空き家対策測別措置法の改正点などについてまとめていきます。

 

  • 空き家問題について家族で話し合った人の割合が6割と、2021年に比べ2倍に増加
  • 相続登記の義務化を知っている人も割合も2021年に比べ2倍へ、しかし未だ4割
  • 空き家を所有している60代以上の半数が、空き家対策の対応方法がわからないと回答
  • 空き家対策測別措置法の所有者にかかわる大きな変更点についてみてみよう

 

それぞれ一つずつみていきたいと思います。

 

空き家問題について家族で話し合った人の割合が6割と、2021年に比べ2倍に増加

 

「空き家の対策について家族と話し合ったことがありますか?」という質問に対し、2021年33.3%、2022年52.4%、2023年60.8%と2021年統計の2倍に増加し、話し合ったことがある人の割合は半数を超え、6割を超えました。わずか2年で倍増となったことは、国や自治体、メディアの注意喚起や呼びかけなどが積極的に行われたこと、また以前であれば終活や、相続・死に関して話をすることは「縁起の悪いこと」・「不謹慎」・「お金のことを生前に話すなど卑しい」などのイメージがありましたが、現代では死を起点とする相続などで発生する可能性のある親族間の感情、金銭トラブル等を事前に予防したいなど、現実的な対処すべき問題として捉える世代が増えてきている可能性があります。

 

(出所)株式会社カチタスの第3回 空き家所有者に関する全国動向調査(2023年)

 

 

相続登記の義務化を知っている人も割合も2021年に比べ2倍へ、しかし未だ4割

 

令和6年4月1日(2024年4月1日)から相続登記が義務化されます。今までは相続した土地や建物の名義変更するのは、義務ではなく任意でしたが、来年4月1日からは義務化されます。以下の東京法務局のホームページの記事にもありますように、正当な理由なく義務に違反した場合は、10万円以下の過料の適用対象となります。この制度変更に関しては、2021年23.2%でしたが、2023年には44.2%と約2倍に増加しました。認知が進んだこと自体は大変素晴らしいことですが、相続登記の義務化があと1年もなく、残り8か月という期間を考えると、半数以上の人がまだ知らないようなので、知らない人達の不利益にならないように、啓蒙活動を積極的に行う必要があると考えられます。

 

※相続登記の義務化とは

(1)相続(遺言も含みます。)によって不動産を取得した相続人は、その所有権の取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。

(2)遺産分割が成立した場合には、これによって不動産を取得した相続人は、遺産分割が成立した日から3年以内に、相続登記をしなければなりません。

(1)と(2)のいずれについても、正当な理由(※)なく義務に違反した場合は10万円以下の過料(行政上のペナルティ)の適用対象となります。

なお、令和6年4月1日より以前に相続が開始している場合も、3年の猶予期間がありますが、義務化の対象となります。不動産を相続したら、お早めに登記の申請をしましょう。

(出所)東京法務局HPから抜粋

空き家を所有している60代以上の半数が、空き家対策の対応方法が未定と回答

 

今回の調査では、空き家措置法の改正に伴い、所有空き家について、「売却する」、「賃貸として貸し出す」、「解体する」、の対応策に関して、年代別で選択する対応策が異なる結果がでています。20代、30代では「賃貸として貸し出す」が他の年代と比較して、28.4%と高い割合になっています。また「まだわからない」という回答は37.5%と4割を切っています。60代以上では、逆に対応策が「まだわからない」が54.5%と約55%は対応策が定まっていません。令和元年空き家所有者実態調査(国土交通省)では空き家所有世帯の家計を支える者の年齢は、40代未満が1.3%、40代が4.6%、50代が16.6%、60歳から64歳までが15.8%、65歳以上が61.5%と60代以上が77.3%となっています。以上のデータからも、60代以上の空き家所有者の方の今後の動向が空き家問題に大きなインパクトを与えると予測されます。

 

空き家対策測別措置法の所有者にかかわる大きな変更点についえみてみよう

 

平成27年2月26日に施行された空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律が、令和5年6月14日に公布されました。増加する空家が全国的な課題として認識され、空家の増加が防災、衛生、景観等の地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしており、地域住民の生命・身体・財産の保護、生活環境の保全、空家等の活用のため対応が必要のため特別措置法が施行されました。(出所)国土交通省空家等対策特別措置法についての資料から一部抜粋。そしてこの中で「特定空家等」が定義されました。

※特定空家とは

  1. 倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
  2. 著しく衛生上有害となるおそれのある状態
  3. 適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態
  4. その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態 にある空家等をいう。(2条2項)

今回の改正点は大きく3点ほど挙げられます

  • 活用拡大
  • 管理の確保
  • 特定空き家の除却など

こちらの変更点を簡潔にまとめると、特定空家等になる前に、未然に防止するための管理を強めるために、所有者の責務強化が示され、国、自治体の施策に協力する努力義務が明記されました。また自治体市区町村の行政の関与が認められるようになりました。

 

本件に関しては、国土交通省からYouTubeで二部構成の説明動画あります。また資料もわかりやすくまとめられています。

良ければこちらまでご覧ください。

 

空き家所有者の意識が高まってきていることは、地域社会にも良いことだと思われます。

私自身も夫の空き家となった自宅を整理するのに、時間もお金も労力も要しました。また色んな方に協力いただき、なんとか実家終いができました。思い切るまでに時間もかかりましたし、一朝一夕で解決できる問題ではありません。しかし時間お金労力などを考えると、なるべく早めに一歩踏み出すのがよいのではないかと個人的には思います。

空き家について他にも記事を掲載しています。よろしければこちらまでご覧ください。

東京都行政書士会から「空き家相談員」に認定されました。空き家の件でお困りの方はお気軽にお問合せください。

 

関連記事

ページ上部へ戻る