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【お盆の時期だからこそ】映画「黄泉がえり」から今は亡き大事な人との思い出と墓じまい、若者のお盆の意識について考えてみよう【話題の映画・ドラマ・アニメから考えるブログ⑧】

【お盆の時期だからこそ】映画「黄泉がえり」から今は亡き大事な人との思い出と墓じまい、若者のお盆の意識について考えてみよう【話題の映画・ドラマ・アニメから考えるブログ⑧】

 

  • 「黄泉がえり」の映画概要とあらすじについて
  • 映画の中で、よみがえるためには死者への想いと、肉体の一部が必要
  • 若者の4割以上でお盆が何をする期間か知らず、6割以上が盆踊りをしたことがない
  • お盆行事の縮小化、簡素化の傾向が続く時代の流れは止められない

 

それぞれ一つずつみていきたいと思います。

 

「黄泉がえり」の映画概要とあらすじについて

 

『黄泉がえり』(よみがえり)は、1999年に発表された梶尾真治氏の小説です。熊本市およびその周辺で突如発生する、死んだはずの人が蘇ってくるという超常現象をベースに、人々の絡み合いを描く物語です。小説は『熊本日日新聞』土曜夕刊に、1999年4月10日から2000年4月1日まで連載されました。映画『黄泉がえり』(よみがえり)はこの小説を原作とし、2002年に草彅剛さん主演で映画化されました。小説では地域が熊本市、及びその周辺となっていますが、映画では熊本県阿蘇地方の設定となっています。(出所:一部抜粋 Wikipedia

本作は、草彅剛さん演じる厚生労働省の役人が、自分の生まれ故郷である熊本県阿蘇地方で、亡くなった人が亡くなった当時の姿でよみがえるという超常現象が起こっていると報告を受け、現地調査に行くシーンから始まります。幼馴染役の竹内結子さんも、婚約者を海の事故で亡くし心に傷を負っています。阿蘇の区職員である竹内さんと共に、よみがえった人たちに聞き取りなど学術調査を進めていきます。阿蘇の山中に巨大な隕石口が発見され、電磁波調査などで、よみがえりと隕石口の関連性がわかっていきます。期間限定のよみがえりの中で、家族や大切な人と触れ合い心を通わせ、最終的にはよみがえりの人たちはまた土の中に還っていきます。

映画の序盤、特に今回のよみがえりの謎が解き明かされるまでは、時空を超えたミステリー、ファンタジーの要素もあり、また今も大活躍中の個性的な俳優さんたちがたくさん出演されていて、中高年世代には懐かしさを感じます。特にデビューしたての長澤まさみさん、市原隼人さんのみずみずさが際立っています。

 

 

映画の中で、よみがえるための条件には死者への想いと、肉体の一部が必要

 

私が本映画の中で着目したのが、よみがえりのための条件についてです。

以下の文言は映画の中で、草彅剛さん演じる厚生労働省の役人のレポートの一部を抜粋しています。

【「黄泉がえり」と仮称するこの地区内でのみ人間の特殊復活が相次ぎ、特殊復活した人間は、その肉体の一部が同エリアに残されていることが判明した。阿蘇山中のクレーターを形成した未知の存在によるある種のエネルギー活動が、私たちの死に別れた人間への想い、想念に反応し、そのエネルギーの及ぶ範囲内に残されていた遺骨など、死者たちの肉体の一部を基に彼らを実体化させたのではないか】

 

この映画は小説が原作ですが、よみがえりの条件として、亡くなった方への生きている人間の想い、またお墓に埋葬された遺骨などの肉体の一部が必要という設定には、継承者が不要な海への散骨など、昨今自然に還る形の弔い方も増えてきており、一般墓が急速に減少している現在では、少し考えさせられるよみがえり条件だと思いました。

また生まれてから亡くなるまで同じ地域に住み続け、お墓も同地域内にあるという、地域というキーワードも本映画の大切な要素です。現代は住む場所も仕事も自由に選ぶことができます。しかし、どの地域で生きるのか、人間関係を大切にするのかというのは、時代が変わっても大きな人間が生きていくための構成要素・選択事項なのではないでしょうか。

 

 

若者の4割以上でお盆が何をする期間か知らず、6割以上が盆踊りをしたことがない

 

2022年7月にトレンダーズ株式会社が、若者のお盆に関する意識・実態調査を行ったところ、15歳から29歳までの若者の4割は、お盆が何をする期間か知らず、また6割以上は盆踊りをしたことがないそうです。住んでいる地域や家族形態、親族との関係性など、様々な関連する要素が複合的に絡み合っての数値だと思いますが、お盆のみならず、日本の無形文化資産である、「年中行事」への意識や継承は年々低下している実態が明らかになりました。夫婦共働きが当たり前となり、生活形態や価値観も変わり、お盆休みをお墓参りに費やすことが難しくなってきているのかもしれません。しかしこの若者層がいずれ年を重ね中高年へと変化した際に、日本のお盆やお墓参りは一体どのように変化しているのでしょうか。少々気になるところです。

(出所)トレンダーズ株式会社「若者の“お盆”に関する意識・実態調査」

 

 

お盆行事の縮小化、簡素化の傾向が続く時代の流れは止められない

 

中国新聞デジタルで、【広島の夏の風物詩、盆灯籠が減りゆく理由は 販売の生花店「ピーク時の半分近くに」】という記事が掲載されていました。お盆の季節は、美しい盆灯篭がお盆のシンボルでもあります。風になびく美しい色や形の盆灯篭は、ご先祖や故人が道に迷わないようにするための目印であり、感謝や冥福をお祈りするお迎えする人たちのおもてなしの心が表れています。しかし近年では、寺院の火災防止、資源の無駄遣いではないかという意見もあり、ピーク時の半分に減っているそうです。

年中行事が、昔は普通に行われていたものが、人命に関わる大事故につながるケースも少なからずあり、主催者側もリスク防止を優先せざるを得ないのでしょう。

時代の流れもありますが、お盆行事のような無形文化遺産が失われていくことは、残念なことのように思われます。手間暇を要しない、新しい供養の形が形成されていくことを願います。

 

最後に個人的な話をさせていただきますと、私も今年のお盆に三か所のお墓参りを行い、親戚やお世話になった人にご挨拶に行ってきました。今年は夫の姻族から夫の母方の家系について、お仏壇の前でお話いただき、大変興味深かったです。見たことも会ったこともないご先祖様ですが、確かに存在し、その末裔として夫が存在し、その縁で関わる姻族の親戚たち。不思議なひと時でした。そして一年のうちに数日、こんな日があってもいいのではないかと思っています。

 

8月13日の迎え火に始まり、16日の送り火で今年のお盆も終わります。ほんの一瞬だけでも、故人に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

 

 

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