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【終活×デジタル化の課題調査】終活のデジタル化へのハードルを感じている自治体関係者多数! 株式会社CONNECTの調査結果から考えてみよう【データから考えてみよう⑲】

【終活×デジタル化の課題調査】終活のデジタル化へのハードルを感じている自治体関係者多数! 株式会社CONNECTの調査結果から考えてみよう【データから考えてみよう⑲】

 

終活支援サービス「コトダマ」(https://kotodama-post.com/)を提供している株式会社CONNECTが、自治体の終活関連業務に携わる方(相続・福祉・介護・医療など)を対象に「終活×デジタル化の課題」に関する調査を実施しました。その結果、終活に関わるサービスや支援が不十分であると認識している関係者は85%でその中でも、終活が紙媒体での資料や管理がメインのため、「終活のデジタル化」が難しい、難易度が高いと思っている関係者が多いことが判明しました。実際遺言・相続を実務として行っている立場からも、デジタル化のハードルは高いなぁと個人的に感じています。

今回、この終活とデジタルの課題調査の結果から、終活の課題について掘り下げてみたいと思います。

 

  • 自治体で行っている具体的な終活サービスについてみてみよう
  • 自治体関係者の85%が現状の終活サポートに課題があると感じている
  • 終活サポートにデジタル化を取り入れるのが難しいと感じる理由
  • 死亡・相続ワンストップサービスのデジタル化について考えてみよう

 

それぞれ一つずつみていきたいと思います。

 

 

自治体関係者の85%が現状の終活サポートに課題があると感じている

 

今回の調査結果では、自治体の提供する終活サービスとしては安否確認(見守り支援)が48.2%、介護や福祉・医療に関する相談やサービスが46.5%、関係先への連絡が41.9%という結果になりました。以前、現在社会的ニーズが急激に高まっている身元保証サービスについて記事を書きましたが、安否確認は身元保証サービスの中の日常支援サービスの中の一つとなっています。

また安否確認(見守り支援)は主に自治体が行っているものと、民間会社が提供している見守り支援サービスの両方があるようです。

総務省が令和5年7月14日に発表した東北地方を対象とした「一人暮らしの高齢者に対する見守り活動に関する調査」では、見守りサービスを以下のように区別しています。

  • 訪問による見守り活動
  • サロンを通じた見守り活動
  • デジタルツールによる見守り活動
  • 配食にあわせての見守り活動

この自治体の行う見守りサービスは、自治体により異なっており、自治体ごとに民間会社とコラボした見守り活動を行っているところも多いようです。

また、地域ごとで異なりますが、ふるさと納税で、郵便局員の月一度訪問による「見守り訪問サービス」なども返礼品としてふるさと納税のページに載っている見守りサービスもあります。今ご自分のお住いの地域にどんな見守りサービスがあるか一度確認してみてはいかがでしょうか。

(出所)「終活×デジタル化の課題」に関する調査

(出所)一人暮らしの高齢者に対する見守り活動に関する調査

 

 

自治体関係者の85%が現状の終活サポートに課題があると感じている

 

今回の調査で自治体の終活サポートに課題があると感じている人は、「とてもそう思う」「ややそう思う」を足すと85%になりました。関係者の方が感じている負担としては、「職員の数」、「業務の負担」が50%強、経費の負担40%、そしてサポートの種類(豊富さ)が31%となっています。今回は「業務の負担」と「サポートの種類(豊富さ)」に注目してみたいと思います。終活のサポート内容は、医療・介護・福祉・法律など大変広い範囲に及びます。自分の人生の棚卸(ライフ)から始まり、資産・負債など財産の棚卸(マネー)、そして高齢期及び疾病などで、他者のサポート=介護が必要となるケース、認知症発症などで法律行為が行えず成年後見が必要となるケース、最終的に終末期を迎え延命治療はどうするか、亡くなった後の財産相続はどうするのか。お葬式、お墓の手配など(死後事務委任契約など)、時系列的な流れでみても大変複雑な流れとなっています。また終活は個々人によって異なるため、サポートする自治体の職員の方は医療福祉介護法律専門職との連携と、多岐にわたる知識とサービス内容を把握する必要があり、負担が高くなっていると予想されます。

終活サービスの一連の流れに関しては、以前の身元保証の記事で掲載した、総務省の図がわかりやすいので、添付します。

(出所)「終活×デジタル化の課題」に関する調査

(出所)身元保証等高齢者サポート事業における消費者保護の推進に関する調査

 

 

終活サポートにデジタル化を取り入れるのが難しいと感じる理由

 

終活サポートにデジタル化を取りいれるのが難しいと考える一番の理由は、「高齢者がデジタル化に対応できないため」の58.4%でした。また次に「職員が新しいシステムに対応できないため」が33.1%でした。今終活を必要としている世代はおそらく65歳以上の高齢者と呼ばれる世代でしょう。マイクロソフトのWindows95が出たのが1995年、今から28年前です。1990年代後半、コンピュータや通信技術の急速な発展により社会、経済の大きな変革が世界規模で進行しました。初代iPhoneの発表が2007年とわずか今から16年前です。このように考えるとデジタル化が急速に進んだ時代には、既に50代前後を迎えていた今の高齢者が、今のデジタルネイティブ世代と同様にITツールを使いこなすのは大変難しいでしょう。しかしこれから2050年まで多死社会を迎える日本では、終活サポート事業が大変重要な役割を担うと予測されます。各自治体の方々も苦慮していることとは思いますが、この時期に人生を終える方々の終活のデジタル化が大変大きな課題と言わざるを得ません。

また4位の「ペーパー業務に慣れてしまっているため(25.9%)」は、これは遺言相続の実務を行っている立場からすると、戸籍謄本をはじめ、必須の添付書類に紙の書類が多いです。出生から死亡までの戸籍の全ページを合わせると数十ページになるケースもあり、印刷して紙にメモをしながら戸籍を紐解くケースも多々あり、デジタル化の難しさを感じています。

(出所)「終活×デジタル化の課題」に関する調査

 

 

死亡・相続ワンストップサービスのデジタル化について考えてみよう

 

デジタル庁のホームページに「死亡・相続ワンストップサービス」に関するページがあります。内容を要約すると、「死亡・相続に関する行政手続を見直し、遺族が行う手続を削減し、遺族の負担を軽減するとともに、地方公共団体が精神的・経済的に支えを失った遺族に必要な支援を行うことができるようにする」ための施策です。しかし、この施策にはまだ動きがないようです。

法務省が「死亡・相続ワンストップサービスのデジタル化」の見解を尋ねられた時の回答があります。それによると、「相続は、遺言書が存在しても、財産の継承に関しては相続人の自主的な判断が尊重されること。また遺言書がない場合は、相続放棄、承認の選択をしたうえでの法定相続人の合意による遺産分割協議を予定している」と相続人の自主性とデジタル化の調和がとれることが重要という見解を示しています。

「死亡・相続ワンストップサービス」の重要性に関しては関係者はみな同じ方向を向いていますが、実際の個別の調整に関しては、まだまだ時間がかかりそうです。

 

今回、終活サポートのデジタル化の課題の調査をみてきました。どの自治体も抱えている問題点は似ており、デジタル化の必要性も感じてはいても、対応に苦慮している現実がわかりました。2040年の多死社会を目前に控え、難しい課題ですが喫緊の対応が必要だと思います

終活に関するセミナーも開催しています。お困りごとがありましたら、お気軽にお問合せください。

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