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【前編:身元保証等高齢者サポート事業】総務省の初の実態調査の結果からサービス内容と問題点についてそれぞれ考えてみよう【データから考えてみよう⑮】

【前編:身元保証等高齢者サポート事業】総務省の初の実態調査の結果からサービス内容と問題点についてそれぞれ考えてみよう【データから考えてみよう⑮】

 

「身元保証等高齢者サポート事業」と聞いて、すぐにどんな事業内容か思い浮かべる人は少ないと思います。しかし、高齢になり、頼れる親族などがいないときの入院時の保証人や、亡くなった後の死後の事務をお願いするサービスなどは、聞いたことのある人もいるのではないでしょうか。

今回は、総務省が今月行った初の「身元保証等高齢者サポート事業」の実態調査から前編と後編にわけ、前編では、「身元保証等高齢者サポート事業」が具体的にはどんなサービスなのか、後編では「身元保証等高齢者サポート事業」の現状を整理したいと思います。

 

  • 「身元保証等高齢者サポート事業」ってどんなサービスなの
  • 「身元保証等高齢者サポート事業」の全体像をみてみよう
  • なぜ今「身元保証等高齢者サポート事業」のニーズが高まっているのでしょうか
  • 「身元保証等高齢者サポート事業」を行っているのはどんな人たちですか

 

それぞれ一つずつみていきたいと思います。

 

 

「身元保証等高齢者サポート事業」ってどんなサービスなの

 

「身元保証等高齢者サポート事業」とは主に一人暮らしの高齢者等を対象とした、身元保証や日常生活支援、死後事務等に関するサービスを提供する事業形態(以下「身元保証等高齢者サポート事業」という。(引用)内閣府HP 身元保証等高齢者サポート事業に関する消費者問題についての建議(2017年)

また、「身元保証等高齢者サポート事業」の具体事業として、HP上で詳細に記載していますので、以下まとめた内容になります。

 

身元保証サービス

  • 病院・福祉施設等への入院・入所時の身元(連帯)保証
  • 賃貸住宅入居時の身元(連帯)保証

日常生活支援サービス

  • 在宅時の日常生活サポート
  • (買物支援、福祉サービスの利用や行政手続等の援助、日常的金銭管理等)
  • 安否確認・緊急時の親族への連絡 等

■死後事務サービス

  • 病院・福祉施設等の費用の精算代行
  • 遺体の確認・引取り指示
  • 居室の原状回復、残存家財・遺品の処分
  • ライフラインの停止手続
  • 葬儀支援 等

核家族化、少子高齢化社会が進み、世帯構成人数も減少し、頼れる親族がいない人も増えてきています。また血縁・地縁の共同体の関係性が弱まり、親族だけでなく、近隣や地域に頼りづらい状況があります。以前、高齢になると家を借りづらくなるブログを書きましたが、高齢になり入院するときには、入院時の保証人が必要となるケースも多いです。しかし保証人を探すのは大変難しく苦労します。(これは高齢者に限らず、家の賃貸契約で保証人に苦労した人は、少なからずいるのではないでしょうか。)このように頼れる親族や血縁の方がいない高齢者の方が「身元保証等高齢者サポート事業」を必要としています。

 

 

「身元保証等高齢者サポート事業」の全体像をみてみよう

 

「身元保証等高齢者サポート事業」の全体像に関しては、厚生労働省の資料の中にとてもわかりやすい図表がありますので、そちらをこのまま貼り付けさせていただきます。

この図表は人間が年を重ね、老いて最終的に亡くなるライフステージに合わせて、作成されています。上記の「身元保証等高齢者サポート事業」ってどんなサービスなの、と重なる部分もありますが、高齢者と呼ばれるライフステージでは、高齢でも身の回りのことは一人でこなすことができるステージ、しかしなんらかの事故や病気、もしくは今回のパンデミックのような予測不能な社会的要因により一人での生活に不安や不便が生じ、サポートが必要になるステージ、そして入院したり、介護が必要になるステージがあります。そして最終的には寿命が訪れ、命が終わります。それぞれのステージで必要な支援は異なります。

(出所)身元保証等高齢者サポート事業における消費者保護の推進に関する調査

 

 

なぜ今「身元保証等高齢者サポート事業」のニーズが高まっているのでしょうか

 

厚生労働省から2022(令和4)年 国民生活基礎調査が発表され、65歳以上の高齢者世帯が全世帯に占める割合が初めて3割を超えたことがわかりました。また今回の国民生活基礎調査で著しい伸び率だったのは単独世帯で、単独世帯は2021年の28.8%から2022年には2.6%と大幅に増え31.8%となりました(詳細はこちらの記事で確認をお願いします【65歳以上】の世帯で単独世帯が増加、要介護者は80代後半~90代が53%【データから考えてみよう⑭】)単独世帯が増加した理由では、高齢で配偶者と死別や離別した人が、一人暮らしになり、未婚者が65歳を迎えたことなどが考えられます。両親は既に他界し、兄弟姉妹も他界したり認知症などを発症しているケース、親族が遠くに住んでいて疎遠だったり、子供がいないケースなど、頼れる親族がいない、見当たらないこともあります。少子高齢化の中でも特に高齢者の単独世帯が増加していることが、今回の身元保証等高齢者サポート事業の増加と関連しているといえるでしょう。

以下、身元保証等高齢者サポートを利用した方達の属性ときっかけの資料を添付します。

(出所)身元保証等高齢者サポート事業における消費者保護の推進に関する調査

 

 

「身元保証等高齢者サポート事業」を行っているのはどんな人たちですか

 

今回厚生労働省が把握した、「身元保証等高齢者サポート事業」を行っている事業者数は412事業者で、その内88か所の事業所でヒアリング調査に協力してもらえ、88カ所のヒアリング調査を除いた324事業者、その内ホームページなどで住所や連絡先が確認できなかった5事業者を除いた319事業者で書面調査を行い、精査の結果、ヒアリング88事業者プラス書面調査の116事業者、計204事業者が今回の調査対象となった事業者数です。

法人別事業者としては、4割以上が、一般社団法人となっています。事業者の母体となっている業種別の事業者としては士業が27%、賃貸住宅や介護施設等への入所支援が16.2%、介護サービス業が12.3%、ボランティア団体等母体がないと思われる事業者が27%。全体の8割以上を占めています。

(出所)身元保証等高齢者サポート事業における消費者保護の推進に関する調査

 

前半では、厚生労働省の資料を参考にし、身元保証等高齢者サポート事業の概要をお伝えしました。後半では身元保証等高齢者サポート事業の指摘されている問題点や、成年後見制度との関係から分析していきたいと思います。

 

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