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映画「ぼけますから、よろしくお願いします。~おかえり お母さん~」から延命治療と終活について考えてみよう。【話題の映画・ドラマ・アニメから考えるブログ②】

映画「ぼけますから、よろしくお願いします。~おかえり お母さん~」から延命治療と終活について考えてみよう。【話題の映画・ドラマ・アニメから考えるブログ②】

 

  • ぼけますから、よろしくお願いします。~おかえり お母さん~の映画概要とあらすじについて
  • 終末期医療、特に延命治療については事前に家族内で話し合ってみませんか
  • 40代、50代の高齢の両親と離れて暮らしている子世代が、介護に直面したら仕事はどうなる?
  • 本人・家族が認知症になり社会の支援が必要になったら、まず地域包括センターに連絡しましょう

 

それぞれ一つずつみていきたいと思います。

 

 

「ぼけますから、よろしくお願いします。~おかえり お母さん~」の映画概要とあらすじについて

 

「ぼけますから、よろしくお願いします。~おかえり お母さん~」は東京で映像作家として仕事をしている信友直子さんの広島県呉市で暮らしている高齢の母親が認知症を発症し、90代の父親が認知症の母親の介護を行ういわゆる老々介護をお子さんである信友直子さんが記録したドキュメンタリーで、十数年に及ぶ老々介護の記録です。題名の「ぼけますから、よろしくお願いします。」認知症と診断されてから、2回目の2017年のお正月に、母親が、信友直子さんに新年の挨拶のあと、発した言葉が映画の題名となっています。母親は認知症発症後、二度の脳梗塞、コロナ禍の中、2020年にお亡くなりになりました。このドキュメンタリー映画は2018年に上映されて、動員20万人を達成しており、令和元年度の文化庁映画賞文化記録映画部門で大賞を受賞しています。

 

 

終末期医療、特に延命治療については事前に家族内で話し合ってみませんか

 

今回のドキュメンタリー映画では高齢の夫婦の互いが思いやる姿、親子の絆、認知症の初期段階から徐々に認知症が重症化していく過程や場面を客観的に切り取っており、ご家族に認知症の方がいらっしゃれば、また親の介護を経験した人などには、特に臨場感を持つのではないかと推測します。たくさんの場面で、「あなたならどうする?」と問いかけられている気がしますが、今回取り上げたいのは、終末期医療、特に延命治療についてです。母親が二度の脳梗塞の発症で、身体の動きが制限され、自分の口から栄養を取ることができず、最後は胃ろうとなります。実際胃ろうで栄養を注入される場面があり、信友直子さんが、父親に、胃ろうは延命治療で、この選択は本当に母親が望んでいたものなのか、問う場面があります。父親も「わからない」と答えますが、ナレーションの中で、「母親が望んでいたかどうかはわからないけど、私たちはどんな形であれ、母親に生きていてもらえればそれで良かった。」と述べています。このシーンは、終末期医療が基本はご本人の意思で選択されるものではありますが、家族の想いもあり、延命治療をした方がいいのか、しない方がいいのか、単純に割り切れない非常に複雑でデリケートな問題だと思いました。それぞれのご家族の形、歴史、思いなど、家族ごとに異なるので、唯一の正解はなく、家族内で結論を出すしかありません。ご本人の気持ち、ご家族の気持ちが一致しないケースもあるかもしれませんが、家族内で、一度終末期医療について、どうしたいのか、話題にしてみてはいかがでしょうか。もしエンディングノートなどに、終末期医療の希望が書いてあれば、残されたご家族も、今後の治療指針に大いに役に立つことでしょうし、終末期医療選択の心理的負担も幾分減るのではないでしょうか。

 

※胃ろうとは

食物や水分や医薬品を流入させ投与するために腹壁を切開して胃内に管を通す経管栄養医療措置の1つである。(引用)Wikipedia

 

 

40代、50代の高齢の両親と離れて暮らしている子世代が、介護に直面したら仕事はどうなる?

 

5年ごとに行われる、総務省の「平成 29 年就業構造基本調査」では、働きながら介護をしている人の数は346万人です。そのうち介護のために離職した、いわゆる介護離職をされる方は、過去一年間に9万9千人、うち男性は2万4千人,女性は7万5千人となっており,女性が約8割を占めています。令和4年度の調査結果が待たれますが、年間約10万人の方が介護による離職をされています。

信友直子さんも東京で一人暮らしをしながら、仕事をされている方です。信友直子さんの場合は、ご両親の理解があり、特に90代の父親が、「仕事があるうちは、仕事をしておいた方が良い、母親の介護は自分がするから。」と子供が自分の人生を優先するよう、信友直子さんを導く立派な父親です。実際母親の介護は父親が行い、信友直子さんは東京と呉を往復する日々を送ったようです。しかし高齢の方々の体調も考え方も置かれている事情も十人十色です。子供には子供の人生を尊重してほしいと思っていても、実際老々介護が難しい場合もあります。しかし40代、50代で仕事を一旦離れると、再就職が厳しい現実があります。どうしても介護と仕事のどちらかを選ばないといけないと、自ら思い込んでしまうかもしれませんが、介護サービスも色々と種類があります。まずはお住いの地域の「地域包括センター」に連絡をとってみましょう。

 

 

本人・家族が認知症になり社会の支援が必要になったら、まず地域包括センターに連絡しましょう

 

ドキュメンタリー映画の中では地域包括センターに関する場面はありませんでしたが、あるインタビュー記事で、信友直子さんも、両親が地域や外部に相談するのに抵抗があり、母親が認知症になってから2年ほど外部に相談できず、暗黒の2年があったそうです。最終的には地域包括センターにコンタクトをとったそうですが、もっと早く外部に相談すれば良かったと思っているそうです。現在、厚生労働省が認知症施策総合戦略(新オレンジプラン)の基本的な考え方は「認知症の人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で自分らしく暮らし続けることができる社会の実現を目指す。」です。(引用)厚生労働省。地域包括センターにはケアマネージャーはじめ、社会福祉士、看護師、保健師などが在籍しています。介護のことで困った時は、お住いの地域包括センターに連絡をしてみましょう。

 

私自身も50代となり、高齢の両親と離れて暮らしています。そのため、今回のドキュメンタリー映画は、いつか近い将来自分が歩む道になるかもしれないと、自分事として拝見しました。信友直子さんも、ご両親もみなさん明るい大らかな方で、ありのままの生活を記録されていますが、映画の感想なども概して「感動した」と前向きなコメントが多かったです。もし機会がありましたら、ご覧いただければと思います。

認知症・成年後見制度に関しては、他にも記事があります。よければこちらまでご覧ください。

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