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【認知症強化月間2024】映画「明日の記憶」から、認知症の症状と家族の介護について考えてみよう【話題の映画・ドラマ・アニメから考えるブログ31】

【認知症強化月間2024】映画「明日の記憶」から、認知症の症状と家族の介護について考えてみよう【話題の映画・ドラマ・アニメから考えるブログ31】

 

  • 「明日の記憶」の映画概要とあらすじについて
  • 9月は認知症強化月間です
  • 認知症とはどのような病気で、どのような特徴があるのでしょうか。
  • 家族が介護を行う割合は7割弱と高い水準です

それぞれ一つずつみていきたいと思います。

 

 

「明日の記憶」の映画概要とあらすじについて

 

『明日の記憶』は2006年に渡辺謙主演で東映配給で映画化された日本の映画です。原作は荻原浩の小説です。2004年11月にロサンゼルスの本屋で渡辺謙が偶然小説を手に取り、原作小説に心を惹かれ原作者の荻原浩氏に映画にしたいと手紙を書いたそうです。

監督には堤幸彦が選ばれました。堤幸彦監督と言えば、ケイゾク、TRICK、SPECなど数々の名作ドラマを生み続けてきた人物として有名です。渡辺謙を支える妻役には樋口可南子、吹石一恵、坂口憲二、及川光博、大滝秀治などが脇を固めます。本作品は第30回日本アカデミー賞で作品が優秀作品賞に選ばれ、渡辺謙が最優秀主演男優賞、樋口可南子が優秀主演女優賞、大島ミチルが優秀音楽賞を受賞しています。

広告代理店でやり手の営業部長の佐伯雅行(渡辺謙)は49歳。一人娘の佐伯梨恵(吹石一恵)は授かり婚で10月末に結婚式を控えており、大きなクライアントの契約も決まり、仕事は絶好調です。妻の佐伯枝実子(樋口可南子)との仲も良好ですが、物忘れや頭痛などの症状が出て悩まされるようになり、クライアントとの大切なアポイントを忘れてしまうなど、段々仕事に影響が出始めます。妻の枝実子と共に病院を訪れ、検査の結果、若年性アルツハイマー型認知症と診断され、病名を受け入れることができず激しく混乱し動揺します。2024年の現在では新薬なども開発され状況が変わってきていますが、アルツハイマー型認知症は一度発症すると完治せず、進行を遅らせることしかできません。病状の進行を受け、会社を退職し、病に絶望しながらも妻の枝実子と共に日常生活を淡々と営み続けます。病状が徐々に進行し、進行の恐怖に怯える中、気持ちが不安定になっていきます。妻枝実子に迷惑をかけている罪悪感から急に泣き出したり、帰りが遅いと、不安になり言葉を荒げて妻の行動を疑いだすようになります。過去の記憶が現在の記憶を凌駕し、最終的には妻枝実子まで忘れてしまいます。しかし枝実子はその現実を受け入れ、雅行は最終的にはホームで暮らすようになります。

認知症の人の見える世界を少しだけ体感できるような気がしました。認知症と診断された時の深い絶望と恐怖、認知症の方の病状が徐々に進行していく過程、感情が不安定になっていく過程、過去と現在が混在していく過程、現在の意識がはっきりする瞬間などが伝わりました。また雅行を支える妻枝実子の献身的なサポートと寄り添う姿、凛とした立ち姿には大変感銘を受けました。泣いても笑っても現実は変わらず奇跡は起こりません。そんな日常を懸命に生きる夫婦の姿に勇気をもらいました。

しかし認知症の厳しい現実、当事者の深い苦悩、支える妻の困難さなど考えさせられることも多かったです。まずは正しく認知症という病気を知ることが大事だと思いました。

(出所)Wikipedia映画公式HP

 

 

9月は認知症強化月間です

 

少子高齢社会が加速しています。厚生労働省の研究班の調査で、認知症患者は来年、2025年には471万6000人となり、2040年には、584万2000人にのぼると推計しています。2040年には高齢者のおよそ15%、6.7人に1人が認知症と推計されます。(出所)NHKニュース

確実に訪れる2040年に向け、認知症の人も住み慣れた地域で安心して生活できるようにするための「地域共生社会」の実現に向け、厚生労働省など国の機関でも認知症の啓発サイトなどが作られ、人々に認知症の正しい理解、互助が求められています。もはや認知症の問題は個人の問題ではなく社会の問題で、自分事となってきました。このような状況下で、認知症強化月間が設けられました。認知症強化月間は、9月を指し、認知症に関する理解や関心を深める活動が行われます。

この背景には、次のようなことが挙げられます。

  • 1994年に「国際アルツハイマー病協会」と世界保健機関が共同で、9月21日を「世界アルツハイマーデー」と制定したことにより、認知症の啓発が実施されるようになりました。
  • 2024年1月に施行された「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」において、9月を「認知症月間」、9月21日を「認知症の日」と定められました。

認知症月間では、認知症の理解を深め、正しい知識を学び、介護家族と本人への支援を考え、認知症になっても安心して暮らせる社会づくりを目指す取り組みが行われます。今年も各市区町村で「認知症月間」のさまざまな取り組みが行われています。

(出所)政府広報オンライン

 

 

認知症とはどのような病気で、どのような特徴があるのでしょうか。

 

映画の中で、主人公は人の名前が出てこない、外国人タレントの名前が出てこないことが認知症の始まりでした。次第に道がわからなくなる、レストランで自分の席がわからなくなる、過去と現在の記憶が交差するなどが起こってきます。

認知症とは、脳の機能が低下することで、記憶や思考、判断力などに影響を及ぼす病気です。主に高齢者に多く見られますが、若年性認知症も存在します。以下に認知症の主な特徴を挙げます。

  1. 記憶障害:最近の出来事を忘れる、物を置いた場所を忘れるなど。
  2. 見当識障害:時間や場所、人の認識が難しくなる。
  3. 判断力の低下:日常生活での判断や意思決定が難しくなる。
  4. 言語障害:言葉が出てこない、話の内容が理解できない。
  5. 行動・心理症状:不安、うつ、幻覚、妄想などが現れることがある。

 

認知症は進行性の病気であり、時間とともに症状が悪化することが多いです。そのため早期発見と適切な治療・ケアが重要です。

認知症の人がいる家族の方からは、認知症だと気づいたきっかけは、きれい好きだった母親が全く掃除をしなくなり、部屋が汚れていた。同じものを繰り返し買ってしまい、シャンプーなどが山積みになっていたなどの体験談を聞いたことがあります。またお風呂に入らなくなった、洗濯をしなくなったなどは、何かしら日常生活に変化があると想定されますので、気が付いたら、早めに病院に行ってみましょう。

 

 

家族が介護を行う割合は7割弱と高い水準です

 

雅行が若年性認知症と診断されたとき、枝実子は「ずっとあなたの側にいる。」と伝えます。雅行が不安な時は手を握り、「落ち着きましょう」と声をかけます。記憶を失っていく雅行のために、部屋中メモだらけです。必死に二人で支え合い、生きていきますが、雅行は症状が進むにつれ情緒不安定になり、枝実子の帰りを待ちわびます。しかし枝実子も生活費を稼ぐため外で働いているため、帰りが遅くなる時もあります。枝実子はいつも落ち着いて、献身的なサポートをしていますが、疲れと終わらない今の生活に、一度感情をぶちまけてしまいます。友人は、枝実子の負担を軽くしようとホームの入居を勧めますが、「自宅で世話した方が進行が遅くなるから。」と一旦断ります。しかし結果的にはホームに入居します。

 

令和4年の高齢社会白書の中で、要介護者からみた介護者の続柄(誰が介護をしているか)の統計は7割弱が家族です。事業者に依頼しているのは12%です。介護の外部委託の敷居が高いのがわかります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(出所)令和4年高齢社会白書

 

この介護を誰が行うかというのはとても大きな問題です。「介護保険を使ってプロの手に任せる」という考え方も最近は若い世代では違和感がないかもしれませんが、配偶者や子供、家族内でするべきだと思う人もいるかもしれません。また深い愛情とつながりを感じる人で、自分の手でお世話をしたいと思う人もいるでしょう。介護の問題はその人、その家族によって考え方は異なるでしょうが、以前介護離職の話を書きましたが、年間10万人近くの就労者が介護のため仕事を辞めるという現実があります。そして再就職が非常に厳しいという現実もあります。介護する方の生活も人生もあります。まずは家族内で問題を抱えこまないで、最寄りの地域包括センターなど、プロに相談してみてはいかがでしょうか。良い方法がみつかるかもしれません。

政府広報オンラインにも、相談先が載っています。良ければ参考にしてください。

 

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