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映画「あのこは貴族」から東京に向かう地方出身女性の割合と東京を目指す理由について考えてみよう【話題の映画・ドラマ・アニメから考えるブログ39】

映画「あのこは貴族」から東京に向かう地方出身女性の割合と東京を目指す理由について考えてみよう【話題の映画・ドラマ・アニメから考えるブログ39】

 

  • 映画「あのこは貴族」の映画概要とあらすじについて
  • なぜ、地方出身の女性は、東京を目指すのでしょうか
  • 美紀と同様、東京に向かう地方出身者の年齢層についてみてみよう
  • どこで生まれても最高な日も泣きたくなるような日もある

 

それぞれ一つずつみていきたいと思います。

 

 

映画「あのこは貴族」の映画概要とあらすじについて

 

『あのこは貴族』は、山内マリコによる小説です。2016年に集英社文庫から刊行された後、2021年に映画版が公開されました。監督・脚本は岨手由貴子。主人公の東京渋谷、松濤出身の深窓の令嬢、榛原華子に門脇麦、富山出身で猛勉強の末に慶応義塾大学に入学し後に退学することとなる時岡美紀を演じるのは、水原希子。榛原華子と時岡美紀が交差する原因となる青木幸一郎には高良健吾、榛原華子と幼稚舎から大学までの同級生で自立したドイツ在住のバイオリニスト相良逸子に石橋静河、時岡美紀と同郷で共に慶応義塾大学に入学し、起業を目指す平田里英に山下リオが演じています。

深窓の令嬢、渋谷松濤に住む榛原華子は元旦に家族で帝国ホテルのレストランで新年のお祝いの膳を囲みます。20代後半を迎え、結婚を家族に後押しされています。結婚のプレッシャーもあり、出会いを求め、雨の日に弁護士の青木幸一郎と出会い、とんとん拍子で話が進み結婚を決めます。一方青木幸一郎は時岡美紀とは腐れ縁で10年ほどつかず離れずの関係を続け、定期的に会っています。あるパーティーで二人の関係に気づいた華子の幼馴染、相良逸子はその事実を華子に告げ、華子、美紀、逸子の三人で会うことになります。その場で華子との婚約を初めて知った美紀は幸一郎とは関係を絶つことを二人に約束し、華子と幸一郎は結婚式を挙げます。華子と幸一郎の結婚生活は淡々と過ぎますが、心を通わすことはできず、華子は悩みます。偶然街で美紀をみかけた華子は東京タワーが見える美紀の狭い部屋で美紀の生活を知り、血の通った言葉を交わし、美紀の家から自宅まで歩いて帰ります。その後華子と幸一郎は離婚します。ある音楽会で一年ぶりに華子と幸一郎は再会し、初めてお互い一人の人間として笑顔を交わします。

東京の上流階級に生まれ、幼稚舎から大学まで私立に通う箱入り娘華子の移動手段はタクシーです。新年のお祝い膳は帝国ホテルで家族全員で囲みます。雛人形は姉妹の人数分、3セットあり、ダージリンのミルクティーを好みます。美紀は富山出身で、父親の失業で慶応義塾大学をやむを得ず退学することになりますが、今は会社員として、東京でたくましく働いています。新年は富山に帰り、実家に着いたら東京の装いから、ジャージに着替え、母親の作った里芋の煮つけを食べます。幸一郎は華子よりも名家の生まれで、現在は弁護士ですが、政治家の伯父もおり、いずれ地盤を継ぐ宿命です。それぞれが背負う生まれと育ちの中で悩み苦しみますが、それぞれが自分の生きる道を選び取ります。同じ東京でも交わることのない社会階層。傷つける気はなくても傷つけてしまう圧倒的格差。そして美紀と里英は二人で起業し、東京に搾取され養分となってしまったけれど、それでも憧れの街東京でたくましく生きていきます。どこで生まれたより、誰と生きるか。

個人的には美紀が里英から一緒に起業しないかと誘われた際に、「いいよ」と即答したシーンに心を打たれました。美紀が自分の居場所と生きがいを見つけた瞬間です。観終わった後に、自分の今までの人生を肯定できる、優しい気持ちになる映画です。特に若い世代に観てもらいたい映画です。

(出所、参考)Wikipedia

 

 

なぜ、地方出身の女性は、東京を目指すのでしょうか

 

美紀は死に物狂いで勉強して、慶応義塾大学に入学します。富山から東京に出てきて大学生活を送りますが、内部生と呼ばれる、幼稚舎、中等部からの洗練された上流階級の同級生との間で自分たちと彼女たちの間には圧倒的で埋められない差があることに徐々に気が付いていきます。内部生二人と、美紀と里英の4名でホテルのアフタヌーンティーを囲みながらで今後の進路について話し合うシーンがあります。美紀は英語を使ったグローバルな仕事をしたいから、里英は実家が自営業で、いつかその経営に関わりたいからと二人とも大きな夢を持っていました。アフタヌーンティーの値段が4000円を超えていて、二人とも驚愕します。その後美紀は父親の失業で学費を納めることができず退学します。里英は地元の企業に就職します。しかし、二人とも最初は東京を目指し、結果的にまた東京に戻ってきました。それはなぜなのでしょうか。

 

地方出身の女性が東京に理由が集まるには、主に次のような要素が考えられます。

1.職業やキャリアのチャンス

  • 東京には多様な産業や企業が集積しており、キャリアを賭けるための選択肢が豊富です。 特に、ファッション、メディア、IT、注目的な分野は地方に比べて東京での求人が多く、上昇志向のある女性にとって魅力的です。
  • キャリアアップを目指すには、首都圏での経験が有利と考えられることが多く、地方では得られないスキルや経験を積むために移住するケースも少なくありません。
  • 地方ではまだジェンダーバイアスが強く、女性が仕事をしやすい環境が整っていないと言われています。

2.教育と学びの機会

  • 東京には有名大学や専門学校が集中しており、質の高い教育を受けるために進学する人が多いです。 学びの選択肢が豊富なことも、地方出身の女性が東京に集まる理由の一つです。
  • また、東京にはさまざまなセミナーやイベント、講座が日常的に開催されており、興味や関心に応じた学びの機会がありません。

3.文化的・社会的な魅力

  • 東京はファッション、アート、グルメなどの流行の発信地であり、地方に比べて新しいトレンドや刺激体験ができる環境が整っています。 特に若い世代の女性にとって、東京は憧れの場所としてのイメージが強いです。
  • 多様な人々が集まるため、同じ趣味や価値観を持つ仲間が見つけやすく、地方よりも自己表現が高く感じられることが多いです。

4.独立心と自己成長

  • 地方での生活から離れて独り立ちし、自分を成長させる場として東京に移住する女性もいます。 新しい環境で挑戦したい、親元を離れて自立して考えたいと人も多く、自分の力で生活する経験は大きな成長をもたらします。
  • また、地方では家族や周囲の狭くて濃い人間関係を重荷に感じる人間もおり、東京に移住することで束縛から解放されると感じる場合もあります。

5.ライフスタイルの多様性

  • 東京は24時間営業の店や交通機関が充実しており、様々なライフスタイルに対応しています。 深夜でも外出できる快適性や、多様な働き方ができる環境も地方とは大きく異なります。
  • 自由な時間に仕事ができたり、趣味に夢中になったりすることで、自分に合った生活スタイルを実現できるために、生活の充実が進むと考える女性も少ないです。

6.国際性と多様性

  • 東京は多文化の人々が共存する場所であり、外国人や異なる圏文化の人々とも交流する機会が多く、展望を広げることができる環境です。そのため、グローバル志向の女性には特に魅力的な都市です。

東京はキャリア、学び、文化、多様なライフスタイルの可能性があります。このような環境は地方出身の女性にとって魅力的であり、自分の可能性を追求するために東京へ移住するという選択東京での経験を通して、成長や自己実現を求める女性が多いでしょう。

 

 

美紀と同様、東京に向かう地方出身者の年齢層についてみてみよう

 

美紀と里英が地元富山から東京で暮らすようになったきっかけは大学進学です。現在日本では、地方から女性が大都市に向かうという若い女性の地方からの流出問題が指摘されるようになってきました。地方から女性が流出し戻ってこず、地方の少子化が進んでいます。NHKの政治マガジンの「東京へ移る女性その理由は?地方への潮流カギは女性に」の記事の中で、東京都への女性の流入は20代が52.8%で全体の半数余りに上ったほか、30代が18.8%と、20代・30代で実に70%以上を占める結果だったことが指摘されています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(出所)NHK政治マガジン

 

 

どこで生まれたって最高って日もあれば泣きたくなる日もあるよ

 

見出しの言葉は、華子が美紀の家のベランダから東京タワーをみているときに、美紀からかけられる言葉です。華子の様子にただならぬものを感じたのでしょうか。事情はわからないけどと前置きして見出しの言葉を優しくかけます。そしてその後に続く言葉があります。「でもその日なにがあったか話せる人がいるだけでとりあえずは十分じゃない?旦那さんとか友達でも、そう言う人って案外出会えないから。」

華子と美紀の関係性は客観的にみれば、恋敵でありライバルです。生まれた場所も育った場所も全く交わらない別世界の住人です。しかし美紀は華子に優しく話しかけます。華子と美紀の間にあるものは、分断ではなく、緩やかな女性同士の連帯、シスターフッドです。

誰もがこのような社会的な階層の違い、圧倒的な差を感じ、気まずい思いをしたことのあるのではないでしょうか。恵まれた境遇を羨ましく思うのは、当然の人間の心理ですが、分断ではなく連帯の道がみつかりますようにと祈りたいような気持になる映画でした。

 

 

 

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