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遺書を書いていない人は書くタイミングの問題??遺書はエンディングノート希望が最多【気になる記事ブログ⑯】

遺書を書いていない人は書くタイミングの問題??遺書はエンディングノート希望が最多

朝日新聞デジタルの記事から考えてみよう【気になる記事ブログ⑯】

 

  • 遺書を書く意思のある人は52%、伝える形としてはエンディングノートの希望が最多
  • 実際遺書を書いた人は20%でその内77%が家族に遺書を書いた事を伝えています
  • 遺書を書いていない人は、書くタイミングがみつかっていない??
  • 世代ごとの価値観の差が、相続時の相続人間の感情的な行き違いを生むケースもあり

 

それぞれ一つずつみていきたいと思います。

 

 

遺書を書く意思のある人は52%、伝える形としてはエンディングノートの希望が最多

 

「終活」という言葉が世の中に浸透してから十数年が経過しました。また新聞やニュースなどでも少子高齢化社会の到来を迎え、また2025年には団塊の世代が全員75歳以上の後期高齢者となるタイミングを2年後に控え、認知症基本法も先月成立しました。65歳以上の高齢者の人口がピークになるのは、今から20年後の2043年と予測されています。65 歳人口の総人口に占める割合(65 歳以上人口割合)は、令和2(2020)年現在の 28.6%、すなわち 3.5 人に 1 人が 65 歳以上から、2038 年に 33.9%で3人に1人の水準に達し、2070 年には 38.7%、すなわち 2.6 人に1人が 65 歳以上となり2070年には人口の4割が65歳以上の高齢者となる予測です。(引用)国立社会保障・人口問題研究所 日本の将来推計人口(令和5年推計)これから日本は多死社会へと向かいます。

今回の調査では52%の人が遺書を書くつもりがあると回答しています。半数以上の人が遺書の必要性を感じています。法的効力の有無は関係なく、自分の思いを家族に伝える手段としては最多の人がエンディングノートの中で最後のメッセージを伝えたいと回答しています。

以下は上位6位までの回答です。

  • エンディングノートの中に      498人
  • 通常の手紙で複数が読めるように   350人
  • 「自筆証書遺言書」に        237人
  • 通常の手紙で個別に         220人
  • 公正証書遺言に           168人
  • 遺言信託に              91人

 

上記の結果を見ると、エンディングノートや手紙などを選んだ人は1068人

法的効力のある、自筆証書遺言・公正証書遺言、遺言信託を選んだ人は496人

エンディングノートや手紙などの気軽な方法を望む人が、法的効力のある手段を選んだ人の2倍います。また遺言も自筆証書遺言を望む人は、公正証書遺言を望む人より多い結果となりました。自分で気軽に書きたい人が多いようです。

 

 

実際遺書を書いた人は20%でその内77%が家族に遺書を書いた事を伝えています

 

遺書を書く意思のある人の中で実際に書いた人が20%という数値は高いのでしょうか。低いのでしょうか。単純に比較できませんが、終活アドバイザーが終活意識全国調査で、エンディングノートを知っている人が、実際エンディングノートを持っている割合は12%強でした。またその中で実際エンディングノートを記載した人は60%前後です。また遺言書の作成に関しては、平均4%強という結果が出ています。遺書を書く意思があっても実際に実行に移すには高いハードルがあります。

遺書を書いた人のうち、家族に遺書の存在を伝えているのは、77%です。約8割の人は家族に遺書の存在を伝えていますが残りの2割の方は遺書の存在を家族に伝えていません。エンディングノートも遺書も、思いを伝えたい人に伝えてこそ価値があります。ご本人の人生の棚卸という側面では書いて整理することに意味があるとは思いますが、遺書を残したい理由としては、「相続を円滑にしたい」「家族らへ感謝を伝える」「遺品整理をスムーズにしたい」など、残された家族への死後手続きの負担軽減が遺書を書く理由となっています。遺書を書いた方はぜひご家族に存在を伝えましょう。

(引用資料)2021年3月 NPO 法人 ら・し・さ 終活意識全国調査

 

 

遺書を書いていない人は、書くタイミングがみつかっていない??

 

5割の人が遺書を書く意思がありますが、残りの5割の人は遺書を書く意思がありません。以下6位までの理由です。

 

  • まだ死の実感がない       515人
  • 相続は法律に従えばいい     441人
  • 何も伝えたいことがない     284人
  • 面倒くさい           193人
  • 書き方がわからない       112人
  • 相続先がない          60人

 

さまざまな理由がありますが、遺書をどのタイミングで書くかは、本人の意思に任されていますし、決まりもありません。著名人の方で40代から毎年遺言書を書いているという方もいらっしゃいますし、逆に元気なうちに死んだ後の準備を行うのは、縁起が悪い、不謹慎だと思う方もいらっしゃいます。遺言書を書く理由として両親や身近な人の死や、自身の病気、定年退職などが節目の人も多いですが、一番多い理由は「ご自身の高齢化」です。

(出所)遺言・ 遺贈 要約版 に関する意識・実態把握調査 日本財団

また、2位にランクインした「相続は法律に従えばいい」は法定相続と呼ばれる分割方法です。法定相続の場合は、法定相続人全員が話し合って分け方の合意をとり、それを遺産分割協議書にまとめ、各自が署名捺印する遺産分割協議書の作成が必要となります。公平な分け方とも言えますが、不動産や有価証券などがあった場合、すぐに現金化できず相続が複雑・長期化する場合もあります。円滑な相続を希望される場合は、遺言で残されることをお勧めします。遺言の中に、遺言を作成した経緯や、相続人への感謝の思いなどを遺言の中に「付言事項」として記載することもできます。

 

 

世代ごとの価値観の差が、相続時の相続人間の感情的な行き違いを生むケースもあり

 

現民法では、法定相続の考え方は決まっています。

昭和22年に民法が改正されるまで、日本には「家制度」と呼ばれる制度がありました。その「家制度」では親族関係を有する者のうち更に狭い範囲の者を、戸主(こしゅ)と家族として一つのに属させ、戸主に家の統率権限を与えていた制度である。相続の観点から特筆すべき点として、戸主の地位は、戸主の財産権とともに家督相続という制度により承継される。相続の一形態であるが、前戸主から新戸主へ全ての財産権利が譲り渡される単独相続である点が現在の民法と大きく異なる。(出所:Wikipedia)

今では男女は憲法24条で法の下での平等が認められていますが、戦前(75年ほど前)では相続も戸主への単独相続が一般的でした。その名残がある世代の方もいらっしゃいます。長男、もしくは墓守(祭祀承継者)に全財産を譲るのが当然と、同じ子供達でも、相続分に差がでるケースもあります。そしてそれが相続人同士の争いや感情的なもつれにつながり関係がこじれてしまうケースもあります。

そういうケースもあるということを、遺書を書かれる方には、気に留めていただければと思います。

 

時代が大きく変化する中、遺書に関する考え方も動きも、これから変わってくるかもしれません。引き続き注視していきたいと思います。

遺言書について困っていることがあれば、お気軽にお問合せください。

 

 

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