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部屋借りづらい人の支援、国が議論 家主の「拒否感」どう取り除く?【気になる記事ブログ⑰】

部屋借りづらい人の支援、国が議論 家主の「拒否感」どう取り除く? 朝日新聞デジタルの記事から考えてみよう【気になる記事ブログ⑰】

 

  • 65歳以上の住宅事情 ~持ち家と賃貸どっちが多い?~
  • 高齢者の4人に1人以上が、年齢を理由とした賃貸住宅への入居拒否を経験
  • 不動産会社の4社に1社が、高齢者の入居可能な賃貸住宅が「全くない(0%)」
  • 高齢者・シニア向け賃貸住宅を提供しているサービスもいくつかあります

 

それぞれ一つずつみていきたいと思います。

 

 

65歳以上の住宅事情 ~持ち家と賃貸どっちが多い?~

 

令和3年版高齢社会白書では、65歳以上の者のいる主世帯の8割以上が持家に居住しています。ただし65歳以上の単身主世帯(一人暮らし)では、持家居住率は、66.2%と持ち家率が低下します。主世帯総数(全世帯)の持ち家率は61.2%です。社会に出たばかりの若い世代では家を買う資金がまだ用意できていないため賃貸が大半であると想定されます。65歳以上の人がいる世帯では、おおむね8割が持家に居住し、2割の方が賃貸に居住しているようです。そう考えると65歳以上の持家率は高いと言えるでしょう。

(出所)令和3年版高齢社会白書

 

 

高齢者の4人に1人以上が、年齢を理由とした賃貸住宅への入居拒否を経験

 

65歳以上の高齢者のお部屋探し専門の不動産会社株式会社R65(以下R65不動産)は「全国の65歳を超えて賃貸住宅のお部屋探し経験がある方」を対象に「65歳以上が賃貸住宅を借りにくい問題」に関する実態調査」を2023年6月に行いました。

結果、26.8%の人が、不動産会社から年齢を理由に賃貸住宅への入居を拒否された経験があります。

(出所)株式会社R65【高齢者向け賃貸に関する実態調査】プレスリリース資料

 

また賃貸住宅への入居拒否は、年収200万円未満の人が27.7%、年収200万円以上の人が26.4%で、年収による差はほとんどありませんでした。年収よりも年齢の方が、賃貸住宅の仲介を行っている不動産会社にとっては大きな決め手となります。次の章で触れますが、不動産管理会社にとっては、65歳以上の高齢者の入居には「賃貸物件内での孤独死」リスクと切り離せないもの考えられます。

(出所)株式会社R65【高齢者向け賃貸に関する実態調査】プレスリリース資料

 

 

不動産会社の4社に1社が、高齢者の入居可能な賃貸住宅が「全くない(0%)」

 

65歳以上の高齢者のお部屋探し専門の不動産会社株式会社R65(以下R65不動産は、全国の賃貸業を行う不動産管理会社に対して「高齢者(65歳以上)向け賃貸に関する実態調査」を2022年に行いました。

65歳以上の高齢者に入居可能な賃貸物件がない(0%)と回答した割合は25.7%で全体の1/4以上です。また65歳以上で入居可能な賃貸物件の割合は、全賃貸物件の中で20%未満と回答した割合が28.9%。全賃貸の53.7%は65歳以上の高齢者には賃貸できず、または賃貸できる物件が20%未満という、厳しい数字になっています。

(出所)株式会社R65【高齢者向け賃貸に関する実態調査】プレスリリース資料

 

また、高齢者の入居に不動産会社が積極的になれない理由としては、「孤独死による事故物件化」、「死後の残置物の処理」という、孤独死に関する不安が大きいです。65歳以上の方に部屋を貸す場合は、誰にもみつからず、ひとり部屋で亡くなる(孤独死)ケースを想定する必要があります。そのため不動産賃貸会社では、孤独死の可能性、リスクを担保する負担が高いと認識しているのではないかと推察されます。

 

(出所)株式会社R65【高齢者向け賃貸に関する実態調査】プレスリリース資料

 

 

高齢者・シニア向け賃貸住宅を提供しているサービスもいくつかあります

 

今まで、65歳以上の高齢者が賃宅住宅を借りるのが厳しい状況をお伝えしてきました。しかし中には高齢者(シニア)に特化した賃貸サービスを展開しているところもあります。

 

旭化成ホームズが展開するヘーベルVillage

こちらは相談員による定期面談、駆け付け・見守りサービス、医療連携など、シニアに住みやすい住宅提供いがいにも、充実した付加サービスがついています。入居条件や賃貸料などもサービスに見合った価格になっています。

 

UR賃貸住宅が展開する高齢者向け賃貸住宅

URは、高齢者及び障がい者の方にも安心してお住いいただけるように、地方公共団体と連携して、さまざまな高齢者向け賃貸住宅を供給・管理し、生活支援サービスを展開しています。(抜粋)UR賃貸住宅HP。UR賃貸住宅では展開するサービスの種類も多様で、それに伴い価格帯も多様となっています。

 

以前2038年には3件に1件が空き家となる可能性についてブログを書きました。しかし、今回の記事では空き家は増加する中で、高齢者には賃貸住宅を確保するのがとても厳しい状況に置かれていることがわかりました。需要と供給にミスマッチが発生している可能性もあります。今回の国による住宅を借りるのが難しい人への支援の取り組みは、高齢社会、単身社会が進むことが予測される中、大きな意味があると思います。現在賃貸住宅にお住まいで、65歳以上も賃貸住宅に住みたいと思っている方は、厳しい現状があるので、それも踏まえた上で選択することが必要となってくるでしょう。

 

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