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【戸籍謄本等の第三者請求について】の情報収集の結果=総務省中部管区行政評価局 時事通信の記事から考えてみよう【気になる記事ブログ28】

【戸籍謄本等の第三者請求について】の情報収集の結果=総務省中部管区行政評価局 時事通信の記事から考えてみよう【気になる記事ブログ28】

 

  • 記事の概要をみてみよう
  • 戸籍謄本の第三者請求について自治体が慎重になる理由
  • 第三者請求について規定している戸籍法10条の2項をみてみよう
  • 戸籍謄本を請求できるケースを具体的にみてみよう

それぞれ一つずつみていきたいと思います。

 

 

記事の概要についてみてみよう

 

中部管区行政評価局は、管内に寄せられたいくつかの行政相談をきっかけに、名古屋法務局管内のうち愛知、岐阜、三重、石川、富山の5県の全市町村のホームページにおける戸籍謄本等の第三者請求の案内の状況を確認しました。その結果、

  • 自己の権利行使又は義務の履行を目的とする場合には、第三者であっても戸籍謄本等の交付を請求でき、その際に委任状の提出は必要とされていないにもかかわらず、委任状の提出を求めているケースや、
  • 第三者は、権利又は義務の発生原因に係る具体的な事実等を明らかにして交付請求をしなければならず、本人確認資料のほか必要に応じて疎明資料の提出が求められることがあることについて、説明がされていないケースなど、説明や案内に苦慮している状況が伺われました。

また、中部管区行政評価局は、戸籍謄本等の交付件数が多いと考えられる市町村に対し、第三者請求への対応の仕方などについてヒアリングも行っています。(出所 時事通信ニュースからそのまま抜粋)

基本、戸籍謄本は戸籍に記載されている本人、又はその配偶者(夫又は妻)、その直系尊属(父母、祖父母等)若しくは直系卑属(子、孫等)しか請求できません。上記①のケースで第三者請求ができる場合もありますが、それでも正当な第三者請求であることの見極めを自治体で一件ずつ確認をとるのが難しく、第三者請求の場合、配偶者や直系親族からの委任状で正当性を担保するケースが多いのではないかと推察されます。

 

 

戸籍謄本の第三者請求について自治体が慎重になる理由

 

戸籍の証明書には、婚姻したことや離婚したことなどの個人情報が記載されていることから、個人情報を保護し、他人に不正取得されないようにするため、戸籍の証明書を取得する要件や手続などが厳しく定められています。(出所 佐賀地方法務局から抜粋

今回の中管区行政局の報告書にも、「兄弟が私に断りなく私の戸籍謄本を取得していることが分かった。兄弟が私の戸籍謄本を取得しても問題ないのか」という、個人情報を第三者に知られることや正当な請求であることを確認してくれているのかなどについて心配する相談が 2 件ありました。(出所中部管区行政評価局

また、不正な身元調査として興信所などに戸籍謄本が流れるというケースもまれにあります。

不正に戸籍謄本を取得した場合は、30万円以下の罰金に処するという戸籍法135条の規定もあります。

※戸籍法135条

第百三十五条 偽りその他不正の手段により、第十条第一項若しくは第十条の二第一項から第五項までの規定による戸籍謄本等の交付、第十二条の二の規定による除籍謄本等の交付若しくは第百二十条第一項の規定による戸籍証明書若しくは除籍証明書の交付を受けた者、第百二十条の三第二項の規定による戸籍電子証明書提供用識別符号若しくは除籍電子証明書提供用識別符号の発行を受けた者又は同条第三項の規定による戸籍電子証明書若しくは除籍電子証明書の提供を受けた者は、三十万円以下の罰金に処する

(出所)G-GOV

上記のように、戸籍謄本の不正取得防止のために、自治体としても慎重な対応にならざるを得ない状況があるのだと推測されます。また中部管区行政局の報告書の中で、ホームページ上で第三者請求のあまりにも多くの情報を記載するのが困難など、説明の複雑さについの声も聞かれたようです。

 

 

第三者請求について規定している戸籍法10条の2項をみてみよう

 

■戸籍法

第十条 戸籍に記載されている者、又はその配偶者、直系尊属若しくは直系卑属は、その戸籍の謄本若しくは抄本又は戸籍に記載した事項に関する証明書(以下「戸籍謄本等」という。)の交付の請求をすることができる。

 

第十条の二 前条第一項に規定する者以外の者は、次の各号に掲げる場合に限り、戸籍謄本等の交付の請求をすることができる。この場合において、当該請求をする者は、それぞれ当該各号に定める事項を明らかにしてこれをしなければならない。

一 自己の権利を行使し、又は自己の義務を履行するために戸籍の記載事項を確認する必要がある場合 権利又は義務の発生原因及び内容並びに当該権利を行使し、又は当該義務を履行するために戸籍の記載事項の確認を必要とする理由

 国又は地方公共団体の機関に提出する必要がある場合 戸籍謄本等を提出すべき国又は地方公共団体の機関及び当該機関への提出を必要とする理由

三 前二号に掲げる場合のほか、戸籍の記載事項を利用する正当な理由がある場合 戸籍の記載事項の利用の目的及び方法並びにその利用を必要とする事由

(出所)G-GOV

  • 自己の権利を行使し、又は自己の義務を履行するために戸籍の記載事項を確認する必要がある場合
  • 国又は地方公共団体の機関に提出する必要がある場合
  • 戸籍の記載事項を利用する正当な理由がある場合

上記3点に該当する場合は、それぞれ、戸籍謄本を必要とする事項を明らかにして、第三者請求であっても委任状なしで戸籍謄本を請求することが可能です。

 

 

第三者が戸籍謄本を請求できるケースを具体的にみてみよう

 

第三者が戸籍謄本を請求できるケースについて、佐賀地方法務局の説明がわかりやすいので、そちらを引用して説明したいと思います。

佐賀地方法務局では、前章で説明した第三者請求ができるケース3パターンについて具体的に記載しています。以下HPからそのまま抜粋します。

(B) 自己の権利の行使又は義務の履行のために必要な方
【例】
・ 亡くなった兄弟姉妹の相続人となった方が、兄弟姉妹の戸籍謄本を請求する場合
・ 債権者が、貸金債権を行使するに当たり、死亡した債務者の相続人を特定するために当該債務者が記載されている戸籍の記載事項を確認する必要がある場合
・ 生命保険会社が、保険金を支払うに当たり、その受取人とされている法定相続人を特定するために戸籍の記載事項を確認する必要がある場合

(C) 国又は地方公共団体の機関に提出する必要がある方
【例】
・ 乙の兄の甲が、死亡した乙の財産を相続によって取得し、その相続税の確定申告書の添付書類とされる乙が記載されている戸籍謄本を税務署に提出する場合
・ 乙の兄の甲が、死亡した乙の遺産についての遺産分割調停の申立てを家庭裁判所にする際の添付資料として、乙が記載されている戸籍謄本を家庭裁判所に提出する必要がある場合
・ 債権者甲が、貸金請求訴訟を提起するため、被告となる死亡した債務者乙の相続人を特定するために乙が記載されている戸籍謄本を裁判所に提出する必要がある場合

(D) その他戸籍に記載された事項を利用する正当な理由がある方
【例】
・ 成年後見人であった者が、死亡した成年被後見人の遺品を相続人である遺族に渡すため、成年被後見人の戸籍謄本を請求する場合
・ 乙の兄の甲が、乙に財産を相続させる旨の公正証書遺言を作成するため、乙の戸籍謄本を公証役場に提出する必要がある場合

(出所)佐賀地方法務局

※HPには大変詳細に必要事項や注意事項などが記載しております。詳細はぜひ上記HPで確認願います。

また、法務局の「戸籍のABC」にも戸籍謄本取得に際しての詳しい説明がありますので、そちらも参考にしていただければと思います。

 

来月4月から相続登記の義務化が施行されます。法務省も法定受託事務を行う自治体双方で、円滑な運営のための準備が進められていると思われます。

以前、戸籍の行政手続き簡素化についてのブログも書いております。よろしければこちらからお読みいただけます。

 

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