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6.102025
【高齢者の住宅弱者改善】「高齢者歓迎」の賃貸住宅、数年で2倍超 「受け入れは社会的責任」毎日新聞の記事から考えてみよう【気になる記事ブログ㉝】

【高齢者の住宅弱者改善】「高齢者歓迎」の賃貸住宅、数年で2倍超 「受け入れは社会的責任」毎日新聞の記事から考えてみよう【気になる記事ブログ㉝】
- 記事の概要について
- 株式会社LIFULL(ライフル)の「新築賃貸物件の設備・条件の変遷について調査」結果から高齢者歓迎の賃貸住宅の増加についてみてみよう
- 令和5年住宅・土地統計調査から、高齢者のいる世帯の状況についてみてみよう
- 確実に訪れる高齢社会へ向け、準備が加速しています
それぞれ一つずつみていきたいと思います。
記事の概要について
不動産情報サイト「ライフルホームズ」を運営するライフルが、サイトに掲載された東京都、神奈川、千葉、埼玉県内の新築賃貸物件を対象に、入居募集時の「条件」について、2021年と24年を比較して増加率を算出したところ、一定期間家賃が無料になる「フリーレント」や、ペットと暮らせる「ペット相談可能」などの人気条件を抑えて伸び率がトップだったのは家族・単身向け住宅ともに「高齢者歓迎」だ。家族向けは約2・5倍、単身向けでは約3・2倍に伸びたことがわかりました。公益財団法人日本賃貸住宅管理協会が賃貸住宅市場を調査した「日管協短観」によると、23年度は高齢者の住宅成約件数が前年度比27・2%上昇しました。協会は「管理会社、家主の中で高齢者を受け入れる意識が徐々に醸成されてきている」と分析しています。(毎日新聞の記事から一部そのまま抜粋)
高齢者は、住宅が借りづらいなどの「住宅弱者」と言われてきました。家主が孤独死を恐れ、7割の家主が高齢者の入居者に拒否感を持つと言われてきましたが、ライフルホームズでも2019年から、高齢者などの住まい確保を支援するサービス「FRIENDLY DOOR(フレンドリードア)」の運用を始めました。家探しの悩みに自社で対応したり、相談に応じる不動産会社を紹介したりしています。大東建託は2025年4月、入居者の異変を感知できる機能を追加したホームセキュリティーサービスの運用を全国で導入しました。追加したのは、一定時間トイレドアの開閉がないと警備会社に通知がいくセンサーシステムです。一部地域で試行導入してきましたが、物件を所有するオーナーの反響などを踏まえ拡大に踏み切ったそうです。以上から、家主や不動産会社も積極的に高齢者向け賃貸が拡充しており、孤独死などに関しても、あらかじめ想定の上で事前対処できる仕組みを導入し始めています。
株式会社LIFULL(ライフル)の「新築賃貸物件の設備・条件の変遷について調査」結果から高齢者歓迎の賃貸住宅の増加についてみてみよう
以前本ブログで「部屋借り短い人の支援、国が議論する家主の「拒否感」どうしよう?【気になる記事ブログ⑰】で65歳以上の高齢者が部屋を借りずらい状況について記載しました。高齢者の1/4以上で入居を断れた経験があり、不動産会社の4社に1社が、高齢者入居可能な賃貸住宅が「全くない(0%)」状態でした。家主は孤独死による事故物件化し、収益に影響を起こすこと、また死後の残置物の処理などを懸念しており、家主、不動産会社で拒否感がなかなかぬぐえない状況がありました。
しかし、高齢社会に突入し、持ち家を持たず賃貸で住まう高齢者が、今後ますます増えることが予想される中で、なるべく早く社会的に高齢者が部屋を借りやすくする方向に国も施策を重ねていく中、供給側の意識が大きく変化したことがわかります。
増加した条件ランキングでは、「高齢者歓迎」の物件の割合がシングル向け、ファミリー向け共に1位となりました。新築賃貸物件全体の中での割合はいずれも1.0%といまだ低い割合ではありながらも、シングル向けにおいては3倍以上増加しており、高齢化社会の進展を背景に急速に増加していることがうかがえます。(出所 ライフルのHP記事から一部そのまま抜粋)
令和5年住宅・土地統計調査から、高齢者のいる世帯の状況についてみてみよう
65歳以上の世帯員がいる主世帯(以下、「高齢者のいる世帯」という。)の推移をみると、2013年には2000万世帯を超え、2023年では2375万世帯となっており、主世帯全体に占める割合は42.7%と、2018年に比べ、0.7%ポイントの上昇となっています。75歳以上の世帯員がいる主世帯は2013年に1000万世帯を超え、2023年では1380万8千世帯となっており、主世帯全体に占める割合は24.8%となっています。高齢者のいる世帯について、世帯の型別割合をみると、高齢単身世帯は32.1%(761万7千世帯)で過去最高となっています。また、高齢者のいる夫婦のみの世帯は28.9%(686万9千世帯)、高齢者のいるその他の世帯が39.0%(926万4千世帯)となっています。(令和5年住宅・土地統計調査から一部そのまま抜粋)
高齢者のいる世帯は1993年以降右肩上がりで増加しています。また高齢者のいる世帯の「世帯の型別割合」は単身高齢者と高齢者の居る夫婦のみの世帯を足すと61%となり、1993年時点での37.7%に比べ、23%上昇し、高齢世帯の小規模化が進んでいます。
確実に訪れる高齢社会へ向け、準備が加速しています
高齢社会への加速化は様々なデータも示唆しています。高齢者向け賃貸住宅は、この数年で風向きが大分変り、高齢者に部屋を提供する家主や不動産会社が増えてきており、高齢者に部屋を貸す抵抗感が薄くなってきている状況がわかります。高齢者の孤独死や、孤独死を前提とする見守りサービスなどが不動産会社から家主に提供され始めています。
日本では持ち家率が高く、主世帯全体では60%が持ち家です。また定年退職し、年金で生活するようになると年金から家賃を捻出する負担が高いため、現役世代のうちに家を購入する人が多く、高齢者のいる世帯では81.6%が持ち家となっています。これは現役世代より20%高い数値となっています。
しかし単身高齢者では、持ち家率が67.8%となり、32.2%が賃貸で部屋を借りています。1/3の単身高齢者にあたります。市場のマーケットとしても、高齢者の賃貸のニーズは高いと考えられます。
5/21の日本経済新聞でも、「厚生労働省が独居高齢者の相談先を明確に定めることを検討する」ニュース記事がありました。高齢者向け支援施策が様々検討されています。今後の動きについて注視していきたいと思います。
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