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引き取り手のない死者、3年半で10万6千人【気になる記事ブログ⑥】

引き取り手のない死者、3年半で10万6千人 朝日新聞デジタルの記事から考えてみよう【気になる記事ブログ⑥】

 

  • 引き取り手のないご遺体は、身元がわからないケース、ご遺族自身が様々な事情により引き取りできないケースがあります
  • 引き取り手のないご遺体の葬儀費用は誰が行うのでしょうか。根拠となる法律と共に考えよう
  • ご遺体の引き取り拒否と相続の関係について
  • 死後事務委任契約という備え方もあります

 

それぞれ一つずつみていきたいと思います。

 

 

引き取り手のないご遺体は、身元がわからないケース、ご遺族自身が様々な事情により引き取りできないケースがあります

 

引き取り手のないご遺体は、身元がわからないケース、また身元が判明したのち、ご遺族側で引き取りが難しいケースがあります。身元がわからないケースとは、ご遺体若しくは所持品から身元が特定できないケースです。このような方は行旅死亡人(こうりょしぼうにん)と法律上呼称されています。日本において、本人の氏名または本籍地・住所などが判明せず、かつ遺体の引き取り手が存在しない死者を行旅死亡人(こうりょしぼうにん)と呼んでいます(出所)Wikipedia

また、生前のご遺族との関係性が疎遠であったり、問題があった場合等、ご遺族側で引き取りが難しいケースもあります。またご遺体の引き取りはご遺族側の義務ではなく、引き取りを拒否することもできます。

 

 

引き取り手のないご遺体の葬儀費用は誰が行うのでしょうか。根拠となる法律と共に考えよう

 

引き取り手のないご遺体はまず、警察により死因や身元について調査が行われ、事件性がないと判断され、遺族など遺体を引き取る者が現れなければ(身元不明なケース)、遺体は死亡地等の市町村に引き渡されます。(根拠となる法律:行旅病人及行旅死亡人取扱法第7条 市町村では、遺体が行旅死亡人であるとき、あるいは遺体の埋葬又は火葬を行う者がないとき又は判明しないときは、自ら埋葬又は火葬をする)と定められています。

また、身元が判明してもご遺族側でご遺体の引き取りを拒否された場合は、自治体によって火葬埋葬を行います。(根拠となる法律:墓地、埋葬等に関する法律9条 死体の埋葬又は火葬を行う者がないとき又は判明しないときは、死亡地の市町村長が、これを行わなければならない。)

 

また遺体の火葬等の費用は、墓埋法は「行旅病人及び行旅死亡人取扱法の規定を準用する。」(第9 条第 2 項)と定めており、まずは死亡人の財産、次に足りない分は相続人の負担、そして相続人が支払えない時は死亡人の扶養義務者の負担となります。しかしそれでも不足する時は最終的には都道府県、指定都市または中核市が負担することになります。

(根拠法律:明治 32 年勅令第 277 号)

 

 

ご遺体の引き取り拒否と相続の関係について

 

ご遺体の引き取りは、ご遺族の意思で引き取ることも引き取りを断ることもできます。しかしご遺体の引き取りを拒否することが相続の拒否とはならず、ご遺体の引き取りを断った場合、同時並行で相続の手続きも速やかに行う必要があります。相続権を放棄する「相続放棄」を行うと、もともと相続人ではなかったことになります。相続放棄の手続きが可能な期間は、「相続の開始があったことを知った時から3か月以内」です。引き取り手のないご遺体の火葬などの費用は、区市町村などの自治体が一旦負担しますが、相続人や扶養義務者がいる場合は、自治体が負担した費用の負担を求められることになります。

 

 

死後事務委任契約という備え方もあります

 

今回の記事のコメントを拝見しましたが、「明日は我が身」という一人暮らしの中高年と方と思われるコメントが多く目につきました。また既婚者でも子供がいない夫婦二人暮らしの方など、子供がいない、継承者がいない方のコメントもあり、非常に切実な問題だと捉えている人も多いのだと感じました。自分の死後、周りに迷惑をかけたくない、お願いできる親族がいない方が自分の死後に備えたい場合、「死後事務委任契約」という委任契約があります。

死後事務委任契約とは、委任者(本人)が第三者(個人、法人を含む)に対して、亡くなった後の諸手続き、葬儀、納骨、埋葬に関する事務等に関する代理権を付与して、死後事務を委任する契約をいいます(美濃加茂公証役場ホームページから引用

詳細はまた別の機会にお伝えしたいと思いますが、死後の事務を専門家に委任することもできます。もしご興味のある方がいらっしゃいましたら、こちらまでお気軽にご相談ください。

 

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