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「代襲相続」について考えてみよう。【相続手続き初めの一歩①】

【遺言書初めの一歩⑦】では『遺留分』という制度についてみてきました。遺言書は自分の自由意思で書ける財産の分け方の意思表示であると述べましたが、相続人側にも一定の相続人が最低限度相続できる相続分があります。このことを遺留分と言います。遺留分は配偶者及び子などの直系尊属にのみ保証されており、兄弟姉妹には遺留分はありません。また遺留分の割合は、相続人との組み合わせにより異なります。加えて遺留分にも「時効」が存在するため、遺留分権利者は時効前に申請する必要があります。

今回より、相続手続きでよくある『代襲相続』についてみていきましょう。

 

 

  • 代襲相続とは

  • 具体的なケースをみていこう

  • 兄弟姉妹の代襲相続は甥姪までの一代限りです

  • 直系、傍系とは

  • 養子の代襲相続は養子縁組が結ばれた時期をまずは確認しよう

 

それぞれ一つずつみていきたいと思います。

 

 

代襲相続とは

 

読み方は「だいしゅうそうぞく」と読みます。

相続人が相続の開始以前に死亡し、またはその他の事由により相続権を失ったときに、その者の子が代わって相続すること。

(出所)デジタル大辞泉

 

もう少しわかりやすく説明すると、代襲相続とは、被相続人が死亡する前に相続人が死亡や相続欠格、相続人廃除などの理由で相続権を失った時は、子や孫が代わって相続できることです。代わりに相続人になる人を代襲相続人といいます。

 

 

具体的なケースをみていこう

 

例えば夫婦と子2人の家族で夫が亡くなった場合、妻と子2人が相続人になり、法定相続分では、妻が1/2、子は1人あたり1/4となります。

代襲相続では、代襲相続する前の法定相続分を人数でわけます。前例のケースで、子供の1人が亡くなっており、その子(被相続人の孫)が2人おり、代襲相続人になる場合には、法定相続分は孫1人あたり1/8となります。

代襲相続は亡くなった人の子や孫、ひ孫、玄孫(やしゃご)など直系卑属の場合は何代でも引き継がれます。

 

 

兄弟姉妹の代襲相続は甥姪までの一代限りです

 

子や孫など直系卑属の代襲相続は何代でも引き継がれますが、兄弟姉妹(傍系)が相続人になった場合には代襲相続は甥姪までの一代限りとなっています。そのため兄弟姉妹の孫は相続人になれません。

 

 

直系、傍系とは

 

祖父・親・子・孫と父祖から子孫へまっすぐつながる関係を直系という。これに対して、兄弟・いとこ同士のように共同の始祖を通じてつながる関係を傍系という。直系・傍系の関係にある者をそれぞれ直系親・傍系親という。また、直系・傍系という語は、直系(傍系)血族、直系(傍系)姻族、直系(傍系)尊属、直系(傍系)卑属などとして用いられる。これらのうち直系血族は自然血族のなかでもっとも基本的な関係であり、民法上、扶養義務(877条)、相続(887条・889条)、近親婚の禁止(734条)などの点で傍系よりも強い法律上の効果が認められている。

(出所)小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)

 

具体的には直系には親子、祖父母、孫などがあげられます。傍系には兄弟姉妹、伯父伯母(叔父叔母)、いとこ、甥姪などがあげられます。

上記からもわかるように、直系と傍系では、法律の効果が異なり、日本では直系の方が強い法律上の効果が認められているため、相続効果も異なります。

 

 

養子の代襲相続は養子縁組が結ばれた時期をまずは確認しよう

 

養子と実子では相続分に差分はありません。

しかし代襲相続は、直系卑属であることが条件となっているため、養子の子が、養子縁組前に生まれた子であった場合、被相続人(養子の子からみた場合の養親=祖父母)とは直系卑属の関係性ではないため、代襲相続はできません。

そのため、養子の代襲相続の場合は、養子縁組の時期を最初に確認することが大事になってきます。

 

 

以上、代襲相続についてみてきました。代襲相続は直系卑属であれば、何代でも引き継がれますが、傍系の兄弟姉妹が相続人になった場合は甥姪の一代限りとなります。

また、養子の場合の代襲相続も養子縁組の時期を確認するなど注意が必要です。

遺留分も代襲相続も考え方が少し複雑で難しいところがありますので、わからない時は、専門家に相談してみてはどうでしょうか。

当事務所では、相続業務を承っています。お困りごとがありましたら、お気楽にご相談ください。

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