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1.222023
【相続欠格と相続人廃除】とはなんだろう。【相続手続き初めの一歩②】
【相続手続き初めの一歩①】では『代襲相続』という制度についてみてきました。代襲相続とは、被相続人が亡くなる前に本来の法定相続人だった人が既に死亡している場合、その法定相続人の子や孫(直系卑属のみ)が自動的に相続人となる制度です。この代襲相続は直系卑属と相続人が配偶者と兄弟姉妹、もしくは兄弟姉妹のみだった場合に、兄弟姉妹の甥姪のみ一代限りの相続権が引き継がれる制度の事を言います。
今回は、レアケースではありますが、「相続欠格と相続人廃除」という制度についてみていきましょう。
相続欠格とは
相続欠格とはどんな事をするとなるのだろう
相続人廃除とは
相続人廃除とはどんな事をするとなるのだろう
それぞれ一つずつみていきたいと思います。
相続欠格とは
相続欠格とは、元々法定相続人だった人が、その人の起こした事由により何の手続きもなく、相続権を失うことです。
相続欠格とはどんな事をするとなるのだろう
おおまかですが、同順位の相続人を殺したり、殺そうとして刑に処されたり、遺言書を偽造した人が対象となります。
以下民法891条の条文となります。
(相続人の欠格事由)
第八百九十一条 次に掲げる者は、相続人となることができない。
一 故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者
二 被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。
三 詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者
四 詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者
五 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者
相続人廃除とは
被相続人の意思で推定相続人の持っている遺留分を含む相続権をはく奪する制度です。兄弟姉妹には遺留分がもともとありませんので、兄弟姉妹は廃除対象とはなりません。
相続人廃除とはどんな事をするとなるのだろう
被相続人に対して虐待をしたり、重大な侮辱を加えたり、その他著しい非行があった場合です。
以下民法892条の条文となります。
(推定相続人の廃除)
第八百九十二条 遺留分を有する推定相続人(相続が開始した場合に相続人となるべき者をいう。以下同じ。)が、被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができる。
以上、相続欠格、相続人廃除についてみてきました。以前に、遺言書は被相続人の自由意思で書くことができますが、遺留分という、ある一定範囲の法定相続人に財産相続を保証している制度があるとお伝えしました。そのため遺言書を書くときは遺留分に注意し配慮して書くことの必要性もお伝えしましたが、今回は遺留分を持つ推定相続人を廃除できる規定や、相続欠格という制度があることをお伝えしました。
もし、このような件に遭遇した場合は、当事務所にご相談いただければ、提携する弁護士か司法書士に、おつなぎします。