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映画「星の旅人たち」からスペイン巡礼の旅路と共にグリーフワークと、散骨について考えてみよう【話題の映画・ドラマ・アニメから考えるブログ⑭】

映画「星の旅人たち」からスペイン巡礼の旅路と共にグリーフケアと、散骨について考えてみよう【話題の映画・ドラマ・アニメから考えるブログ⑭】

 

  • 「星の旅人たち」の映画概要とあらすじについて
  • サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路とはなんでしょうか
  • グリーフワークを知っていますか
  • 散骨について考えてみよう

それぞれ一つずつみていきたいと思います。

 

 

「星の旅人たち」の映画概要とあらすじについて

 

映画「星の旅人たち」は脚本・監督のエミリオ・エステベスの作品です。劇中で主人公とその息子を演じているマーティン・シーンとエミリオ・エステヴェスは、実際に親子です。本作品はアメリカの名優、マーティン・シーンがエミリオ・エステベスの息子(マーティン・シーンにとっては孫)が二人で準備不足のままサンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路に出かけてしまったことがきっかけとなり、エミリオ・エステベス監督により作品となりました。またマーティン・シーンの父はスペイン人です。(参考)Wikipedia

本作品は息子を亡くした初老の男の聖地巡礼の旅を描いたヒューマンドラマです。アメリカ人の眼科医トムは、ひとり息子のダニエルが、スペイン北部ガリシア地方の聖地「サンディアゴ・デ・コンポーラ」を巡る旅の途上で不慮の死を遂げたとの報せを受けます。妻の死後、疎遠になっていた息子が何を思って聖地巡礼の旅に出たのかを知るため、トムは亡き息子の足跡をたどり、自ら息子の目的であった「サンディアゴ・デ・コンポーラ」を目指します。巡礼の道中、偶然出会ったオランダ人、カナダ人、アイルランド人の3名と共に旅を進めることになります。

フランスからスペインのサンディアゴ・デ・コンポーラまで約800キロを歩き続けるロードムービーです。豊かな悠久の流れを感じさせる自然と、偉大なスペインの建造物に目を見張ります。劇中にヨーロッパの歴史と民族の多様性、差別などを描き出すシーンもあり、800キロの先に何が待っているのか知りたくなる映画です。(参考)Wikipedia映画.com

 

 

サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路とはなんでしょうか

 

サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼とは、キリスト教の聖地であるスペイン、ガリシア州のサンティアゴ・デ・コンポステーラに続く道を歩くことです。サンティアゴ・デ・コンポステーラはバチカン市国、エルサレムと並びキリスト教の3大聖地のひとつです。巡礼路はさまざまありますが、フランスからピレネー山脈を越えるルート、フランスからの道が人気です。距離は800キロから900キロという長さで、1~2か月かけて巡ります。1000年以上の歴史があり、今でも毎年10万人がサンティアゴ・デ・コンポステーラを目指して歩いているそうです。歴史的には宗教的な目的の巡礼でしたが、現在では様々な理由、目的から全世界から人が集まってきています。巡礼路のうちスペイン国内の道は、1993年に「サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」としてユネスコの世界遺産に登録されました。フランスの巡礼路の一部と途上の主要建築物群については、「フランスのサンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」として1998年に別途登録されています。

日本とのつながりは、1998年10月9日に、サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路の最終地であるガリシア州と、熊野古道の最終地である和歌山県は、古道の最終地としての永続的な友好関係を確立するため、両古道の姉妹道提携を締結しています。2004年7月7日には熊野古道を含む紀伊山地の霊場と参詣道(和歌山県・奈良県・三重県にまたがる)もユネスコの世界遺産に登録され、道の世界遺産どうしの交流を続けています。(引用、参考Wikipedia

 

 

グリーフワークを知っていますか

 

本作品は、突然息子の不慮の死をフランスの警察官から告げられ、父親であるトムは息子の亡骸を引き取りにフランスに向かいます。突然襲った息子の死に動揺し、息子の遺灰と共にサンティアゴ・デ・コンポステーラを目指します。道中のトムは愛想もなく、人を寄せ付けず、完全に心を閉じたまま、ひたすら速足で巡礼の道を歩き続けます。偶然出会った3人のオランダ人、カナダ人、アイルランド人と道を共にしますが、誰にも心を開かず、関心も寄せません。常に悲しみと怒りの感情を抱き続け、途中、ワインに悪酔いしたトムが、日頃溜めていた不満を3人に対しぶちまけ、ひどい悪態をつき警察に逮捕されます。しかしその後もまた4人で道を歩き続けます。この事件が4人の心を通わすきっかけとなり、トムはアイルランド人の小説家から亡き息子の話をインタビューされることを渋々承知します。最初は渋々だったトムが、最後には息子について本当のことを書けと激励します。旅の終わり、旅で出会ったジプシーの男の「息子の遺灰をムシーアの海に撒け」との言葉に従い、遺灰をまき、またトムの次の旅が始まりました。

 

このストーリは、800キロの巡礼の道をただただ歩くことが、結果的にグリーフワークになったように感じました。以前のブログにも書きましたが、大切な人を失い、遺された人たちがグリーフ(悲しみ)に向き合い、折り合いをつけ、時間をかけて意味を見出していく作業をグリーフワーク(喪・悲嘆の仕事・作業)といいます。J・W・ウォーデンによると、グリーフワークの中で、遺された人たちが4つの課題に向き合い、遂行する中で、喪の作業を行うとされています。この作業は直線的に行われるのではなく、行きつ戻りつしながら、時間をかけて行われると考えられており、この4つの課題が全て遂行できた時に、喪失対象について苦悩なく思い出すといわれています。

(出所)児医療機関スタッフのための子どもを亡くした家族への支援の手引き

 

 

散骨について考えてみよう

 

トムは、サンティアゴ・デ・コンポステーラに着くまで、さまざまな場所で息子ダニエルの遺灰をそっと置きます。誰にも気づかれないように。ダニエルが見たかった世界、行きたかった場所に。

散骨とは、火葬後に遺骨を粉末状にし、山や海などに撒くことで、自然葬の一種です。 散骨を行う場所には制限があり、散骨を禁止する地域もあります。 実際散骨を行う際には、法令などを遵守し、ガイドラインなどを読んで適切に対応した方がよいでしょう。

墓じまいに関して、以前ブログに書きましたが、一般墓より継承者不要のお墓(樹木葬や永代供養墓)などが人気となってきています。海洋散骨を望み、自然に還りたいと思う人も増え、日本人の価値観もかわりつつあります。

 

壮大な道のりの中で、息子の死に向き合い、ただ何か月も歩き続ける中で、トムの何かが変わりました。何が変わったのかトムもわからないかもしれません。大きな喪失による悲しみ苦しみは時間しか解決できないのかもしれません。

 

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