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【身元保証】サポート 全国初の事業者認証制度導入へ 静岡市の NHKニュース記事から考えてみよう【気になる記事ブログ27】

【身元保証】サポート 全国初の事業者認証制度導入へ 静岡市の NHKニュース記事から考えてみよう【気になる記事ブログ27】

 

  • 記事の概要をみてみよう
  • 静岡県の高齢化率をみてみよう
  • 総務省実施の「身元保証等高齢者サポート事業における消費者保護の推進に関する調査」で報告された、現状の具体的な問題点をみてみよう
  • 静岡市の事業者認証制度の概要をみてみよう

それぞれ一つずつみていきたいと思います。

 

記事の概要についてみてみよう

 

日本では少子高齢化のスピードが加速し、これから高齢の単独世帯が増えると予想されています。単身者が高齢化し、子供のいない夫婦が高齢化しどちらかが先に旅立てば単身者となります。このような身寄りのない、または身寄りが居ても疎遠な人たちが、入院や施設入居時に必要となる「身元保証」等の民間サービスの需要が近年高まっています。しかし、契約に関するトラブルなども報告されており、実態がつかめませんでした。令和5年に総務省が行った「身元保証等高齢者サポート事業における消費者保護の推進に関する調査」では、身元保証サービスの実態が詳細に報告されており、事業規模、契約の手続き、重要事項説明なども事業所ごとに異なっており、現在身元保証サービスの根拠法令もなく、管理する省庁などもない状態が問題点として報告されました。

今回、静岡市では身元保証サービス等に行政が関与する必要性があるとし、自治体として初めて、身元保証サービス等の事業者への「事業認証」制度を導入しました。今回事業認証されると、3年間、静岡市の「静岡市終活支援優良事業者」と認定され、静岡市のHPにも公表されるそうです。2024年2月1日の説明会には、NPO法人や社会福祉法人などの7社が集まりました。(出所)NHKニュース

 

 

静岡県の高齢化率をみてみよう

 

今回なぜ、静岡市が全国初で身元保証サービス事業者への「事業認証」制度を導入したのか、その背景を考えてみたいと思います。まずは静岡県の人口は2023年1月1日現在、総務省の人口動態調査の結果から363万3773人です。全国47都道府県の中では、10位の人口となっています。次に65歳以上の人口、高齢化率についてみていきます。2023年1月1日現在静岡県の65歳以上の人口は110万1千人で、こちらも全国10位です。しかし、静岡県内の全人口に対する65歳以上の高齢者の割合は30.4%と全国平均の29%を超えています。静岡県は都道府県の中で10位に65歳以上の人口の多い県ですが、静岡県より65歳以上の人口の多い1位から9位の中で高齢化率30%を超えているのは、愛知県と兵庫県となります。静岡県の資料で、2045年までの人口推移の表がありますが、この資料によると2045年には、静岡県の65歳以上の高齢化率は38.9%となり、全国平均の36.6%より2.3%高い推計値となっています。

静岡県が全国の自治体に先駆けて、身元保証サービスの事業認定制度を設けたのは、今後20年にわたる高齢化の予測値が背景にあるのかもしれません。

令和5年1月1日住民基本台帳人口・世帯数、令和4年(1月1日から同年12月31日まで)人口動態(都道府県別)(総計)

2-6 都道府県、年齢3区分別人口(令和4年) (単位1000人)

(出所)総務省 住民基本台帳に基づく人口人口動態及び世帯数(令和5年1月1日現在)、静岡県資料

 

 

総務省実施の「身元保証等高齢者サポート事業における消費者保護の推進に関する調査」で報告された、現状の具体的な問題点をみてみよう

 

2023年に総務省から発表された調査結果については、以前【前編】【後編】の2部構成となっています、【身元保証等高齢者サポート事業】総務省の初の実態調査の結果からサービス内容と問題点についてそれぞれ考えてみよう【データから考えてみよう⑯】で調査結果について分析していますので、良ければご参考にしてください。

調査結果の報告書からは、主に6点の課題提起が行われています。

  •  契約手続、手順
  • 預託金※の管理状況
  • 判断能力が不十分になった場合の財産管理の取扱い
  • 契約履行の確認、担保
  • 5寄附・遺贈の取扱い
  • 6地方公共団体等における住民への情報提供(事業者やサービス内容を選ぶ上で注意すべきポイント)

またあわせて事業者・地方公共団体等における課題、国への意見・要望に関しては、以下のような意見がでました。

■事業者に関して

  • 事業者として最低限実施すべきことを示したガイドラインの策定
  • 劣悪な事業者を排除するため、何らかの規制や登録制度
  • 事業を監督する省庁や事業者団体の設置
  • ケアマネジャーや地域包括支援センターとの連携・協働の仕組み
  • 事業規制やガイドラインの作成に当たってはメリット・デメリットの考慮を

■地方公共団体に関して

  • 利用者が安心してサービスを利用できるよう、費用の上限を設けるなどのルール化・基準
  • 事業者団体の設立や事業者の信用を保証する仕組み
  • 事業者の届出・登録・許可といった規制を課し、行政又は第三者機関による監督
  • 事業の範囲や影響を勘案し、事業の実施についての明確な法的根拠

今回の静岡市の事業認証制度では、6点の課題提起にも対応し、地方公共団体の要望にも対応している画期的な制度と言えるでしょう。今回「認証」制度となっており、許可制ではないです。認証とはある行為または文書が正当な手続・方式でなされたことを公の機関が証明することをいいます(出所)Wikipedia。また事業の実施についての明確な法的根拠に関しては、生前の事務委任契約であることに触れています。

 

 

静岡市の事業者認証制度の概要をみてみよう

 

今回の静岡市の事業認証制度に関しては、認証取得までの流れが資料に記載がありましたので、わかりやすいのでこちらを添付いたします。

<流れ>

申請準備→申請→審査→認証

事業者の財務状況から、ホームページでの事業内容の説明の画面、重要事項説明書など、たくさんの申請に必要な資料を集め、申請用紙に記入するなど入念な準備が必要となっています。すべての資料が揃い、申請書に記入をして、審査となります。また審査は書面だけではなく、現地訪問の両方となっています。

 

<標準処理期間>

認証の受理から認証又は不認証の通知までに要する標準審査期間は、原則として3か月以内となっています。

また、最後に大事な点ですが、認証の有効期間は3年で、認証後はフォローアップが実施されます。そのため、認証で終わりではなく、その後定期的なフォロアップを受ける必要があることに注意が必要です

(出所)静岡市HP

以上、静岡市の自治体初の身元保証サポート業者の認証制度について解説してきました。実態調査でも数多くの課題が指摘された中、初の試みを行う静岡市は、仕組み作りがとても大変だったと推察されます。待ったなしの高齢化に備え仕組み作りを行ったことは大変意義深いですし、他の自治体への影響も大きいでしょう。

次回は認証制度の具体的な仕組みについて解説していきたいと思います。

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