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ドラマ「Woman」から、ひとり親家庭の現状と生活保護申請について考えてみよう【話題の映画・ドラマ・アニメから考えるブログ27】

ドラマ「Woman」から、ひとり親家庭の現状と生活保護申請について考えてみよう【話題の映画・ドラマ・アニメから考えるブログ27】

 

  • 「Woman」のドラマ概要とあらすじについて
  • ひとり親家庭の現状について「令和3年度全国ひとり親世帯等調査」からみてみよう
  • 生活保護とはなんでしょうか
  • 生活保護申請の扶養照会とはなんでしょうか

それぞれ一つずつみていきたいと思います。

 

 

「Woman」のドラマの概要とあらすじについて

 

『Woman』(ウーマン)は、2013年に、日本テレビ系の「水曜ドラマ」枠で放送された日本のテレビドラマで、脚本は坂元裕二さんで、主演は満島ひかりです。

主人公の小春(満島ひかり)は夫を不慮の事故で亡くし、二人の幼い子供を抱え、子供たちを育てるため、三人で生きていくために必死で仕事を掛け持ちし、懸命に働きます。慎ましく倹約する家計の中でも、家も小ぎれいで子供たちの書いた絵や工作物などが飾られています。シングルマザーの小春は明るく元気で子供たちにめいっぱい愛情を注ぎ、疲れた顔も姿も子供には絶対みせず、三人で工夫しながらたくましく楽しく暮らしていましたが、働いても働いても家計は苦しく困窮を極めます。役所に生活保護を申請しますが、20年前に家を出た母親へ生活保護の扶養照会を送り、生活支援の意思確認ができたことから、生活保護の要件を満たさず、申請ができなくなります。扶養意思を取り下げてもらい、生活保護を受給するために、20年ぶりに母親、紗千(田中裕子)と対面します。

お互いわだかまりを抱え、意思の疎通が図れません。紗千(田中裕子)の再婚相手、なまけものさん(小林薫)が、紗千が子供を捨てて自分と再婚したことに自責の念を抱えていることを知っており、二人の間の仲を取り持とうとします。

小春は再生不良性貧血を発症する中、子供のために怒りと憎しみの気持ちを抑え植杉家に居候の願いを申し出ます。小春が「無料託児所」として利用していた植杉家でしたが、子供たちが庭を好きになり、お祭りを楽しみにし、紗千やなまけものさん、栞に懐く姿をみて、小春は気持ちが激しく葛藤します。父親違いの母親に溺愛された繊細な妹、栞(二階堂ふみ)は、大切な亡夫、信(小栗旬)を痴漢だと嘘をつき、死亡事故に間接的に関与していました。実母にも栞にも許せない感情を抱く小春でしたが、妹の栞が骨髄移植で適合することがわかり、加害者と被害者である妹と姉は、この事実を超え、移植を受け入れ小春は回復します。

非常に重いテーマでしたが、満島ひかりを始め、田中裕子、小林薫、二階堂ふみ、子役の鈴木梨央の演技が素晴らしく、血のにじむようなセリフに、自分の親子関係に立ち返った人もいたのではないでしょうか。坂元裕二さんの作品は東京ラブストーリーから、近年では最高の離婚、カルテット、大豆田とわ子と三人の元夫など話題作が続いています。セリフがリアルで秀逸で、見たことのない景色をドラマを通して見せてくれます。今回の母と娘の愛憎をここまで厳密にリアルにセリフの中で体現できるのは坂元裕二さんしかいないでしょう。

特に満島ひかりと瑛太は「宝物のような存在」と以前インタビューで語っていました。今回の『Woman』はまさに坂元裕二さんと満島ひかりさんの相乗効果で生まれた傑作といえるのではないでしょうか。

(出所)日本テレビ『Woman』HPWikipediaから一部抜粋

 

 

ひとり親家庭の現状について「令和3年度全国ひとり親世帯等調査」からみてみよう

 

以下日本テレビの『Woman』の公式HPから抜粋した文章です。

 

現在、全国で100万人を超えると言われるシングルマザー。
彼女たちの平均年収は200万円余り。
(国などからの補助金を除くと180万円程度である)
全世帯平均の540万円の3分の1ほどだ。
そんな過酷な経済状況で、ひとり子育てする彼女たちの精神的負担は計り知れず大きい。
いつしか社会や世間から取り残され、貧困と疲弊の連鎖の中で、明るい将来をみつけることは非常に難しいのが現状だ。

このドラマは、そんなシングルマザーを主人公に、貧しいながら愛すべく我が子のため、命をかけて生きる女性の生き様を描く物語です。
非婚化や若年貧困問題等を抱える現代社会の陰に起こる出来事を純愛なる親子愛の物語として描いて行きます。
世のシングルマザーはもとより現代を生きるすべての人たちへの応援歌となる事を目指すものです

 

今回の主人公がシングルマザーと呼ばれるひとり親だったこともあり、今回ひとり親の現状をみてみようと思います。

  • 令和3年の調査では、ひとり親は全国で135万人弱います。
  • 女性のひとり親の場合、約8割が離婚、男性のひとり親の場合3割が死別です。
  • 女性のひとり親の就業形態は正社員が48.8%、男性のひとり親の就業形態は約7割が正社員です。
  • 平均年間就労収入は女性が236万、男性が496万円
  • 養育費の取り決めをしているのは、女性で46.7%、男性で28.3%です

国税庁が発表した「令和4年分 民間給与実態統計調査」によると、2022年(令和4年)の平均年収は458万円です。それに比べるとひとり親の女性は約半分となっています。

こどもの貧困率に関しても、直近でも44.5%と日本国民全体の相対的貧困率に比べても3倍以上高くなっています。

※個人差があるのは承知しておりますが、今回全体像で比較しております。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(出所)こども家庭庁 令和3年度全国ひとり親世帯等調査」

 

 

生活保護とはなんでしょうか

 

生活保護とは 病気や高齢で働けなくなった、生計の中心となる人が亡くなったなど、さま ざまな事情によって生活に困っている世帯に「健康で文化的な最低限度の生活」 を保障し、自立できるよう手助けする制度であり、生活に困窮する方が生活保護を受けることは国民の権利です。

(出所)東京都作成 生活保護手引きから一部抜粋

 

■生活保護法とは

生活保護法は、生活保護について規定した日本の法律で社会福祉六法の1つです。 生活保護法の目的は、「憲法第25条に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長すること」とされています。

(出所)e-govWikipedia

 

人は誰でも病気やケガ、事故や突然の天災などで、急に自分を取り巻く状況が変わることがあります。それはその人の責任ではなく、誰のせいでもありません。たまにそういう時が誰にでも訪れることがあるのだと思います。

突然そのような状況に陥ったら戸惑ってしまうと思いますが、日本国民の権利として、生活保護を受ける権利があります。一時的に頼って、その間にまた再び自活できるよう、態勢を整えてもいいのではないでしょうか。

生活保護の要件などもありますが、困ったときは、我慢せずに、お住いの地域の福祉事務所に相談してみましょう。

 

生活保護で受けられるもの、保護申請から決定までの流れの図を添付します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(出所)東京都作成 生活保護手引き

 

生活保護申請の扶養照会とはなんでしょうか

 

扶養照会とは、申請者の配偶者、親、子供、兄弟、甥や姪などに、今生活が困窮している申請者に経済的な援助ができないか、確認の書類を役所から送ることです。

 

生活保護法、総則第一条で、「国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする。」と述べていますが、第4条の2項に「扶養義務者の扶養及び他の法律に定める扶助は、すべてこの法律による保護に優先して行われるものとする。」という条文があり、これが生活保護申請の扶養照会の根拠となっている法律です。(出所)e-gov

 

民法877条では直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務があるとされ、民法752条で夫婦にも扶養義務があるとされています。特別なケースに限り家庭裁判所はその他の3親等内の親族(伯父叔母、姪甥等)に扶養義務を負わせる場合があるとしています。

日本は戦前、家制度と呼ばれる家父長制でした。家族親族で助け合う相互扶助が前提となっていました。

しかし今では、地縁血縁のつながりが希薄化していく中で、このような親族の誰かに迷惑をかけたくない、生活保護を申請していることを知られたくないと思う人も多く、扶養照会をされたくないため、生活保護の申請を行わない人もいます。

このような世の中の情勢が変わる中で、厚生労働省は令和3年2月26日に「扶養義務履行が期待できない者の判断基準の留意点等について」という通知書を全国の生活保護担当者に出しました。

その中で、「扶養照会」の基準が緩和され、「扶養義務の履行が期待できない」と判断される扶養義務者には、基本的には扶養義務者への直接の照会(以下、「扶養照会」という。)を行わない取扱いとなりました。以前は音信普通が20年以上だったものが10年になり、保護者への丁寧な生活歴の聞き取りも明記されています。扶養照会に関しては、大分改善させていますので、詳細は各福祉事務所で確認した方がよいでしょう。

 

コロナ禍で女性の自殺が増えたという悲しいニュースもありました。

このドラマの中では扶養照会が契機となり、事態が好転したケースでしたが、様々な事情を抱えた様々な人がいらっしゃると思うので、生活に困窮して困っている方は、まず福祉事務所に行ってみてください。

当事務所でも生活保護申請のサポートをしておりますので、お気軽にお問合せください。

 

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