- Home
- データから考えてみよう, 気になる記事ブログ
- 【介護職員 2040年度57万人不足】厚生労働省の「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数」から介護の現状を考えてみよう【前編】【データから考えてみよう㉔】
ブログ
12.202024
【介護職員 2040年度57万人不足】厚生労働省の「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数」から介護の現状を考えてみよう【前編】【データから考えてみよう㉔】
【介護職員 2040年度57万人不足】厚生労働省の「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数」から介護の現状を考えてみよう【データから考えてみよう㉔】
2024年7月に厚生労働省から【介護職員 2040年度57万人不足】というショッキングな数字が発表され、ニュースをご覧になった方も多いと思います。
また当ブログで以前書かせていただきましたが、【訪問介護220カ所休廃止】など、介護の現場で大きな動きが出てきています。2025年には団塊の世代の方が全員75歳を迎え、後期高齢者となり、介護の問題は喫緊の課題です。
今回、介護の現状を総務省発表のデータから紐解き、次回は介護事業者の倒産数の増加、現在何が起きているのかみてきたいと思います。介護の問題は、いつか、必ず誰もが直面する問題です。自分事として現在の日本の介護の状況をみていきたいと思います。
- 「介護職員 2040年度に272万人必要 57万人不足に 厚労省が推計」NHKニュースから記事の概要をみてみよう
- 『第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について』(令和6(2024)年推計)の概要をみてみよう
- 都道府県別データから、介護職員不足数に1万人以上の開きがある県をみてみよう
- 介護人材確保対策をみてみよう
それぞれ一つずつみていきたいと思います。
「介護職員 2040年度に272万人必要 57万人不足に 厚労省が推計」NHKニュースから記事の概要をみてみよう
介護が必要な高齢者を支えるために必要な介護職員の数は、団塊ジュニアの世代が高齢者となる2040年度には272万人となり、57万人不足することが厚生労働省の推計で分かりました。国は介護職員の処遇改善などに取り組んでいますが、依然として不足を解消するめどは立っておらず、今後、介護保険のサービスを維持するためにもさらなる対策が求められています。(NHKニュースからそのまま一部抜粋)
2年前の2022年の時点で、全国の介護職員の実数は215万人で、このまま介護職員が増えなければ2040年度には必要な介護職員数272万と推計され、272万マイナス215万人で57万人が不足する計算となります。
2040年に向けて介護職員の不足を解消するためには、毎年平均して、3万2000人の介護職員を確保する必要があります。
介護職員確保のために、厚生労働省でも色んな施策を設けていますが、現状不足人数を確保する手段はまだ見つかっていません。
『第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について』(令和6(2024)年推計)の概要をみてみよう
介護職員の数は、平成12年度(2000年)から令和4年度(2022年)まで右肩上がりで増加を続けています。併せて要介護(支援)認定者数も増加を続けています。
介護職員の数は平成12年4月1日に介護保険法が施工された年は59.4万人でした。しかし令和4年度には215.4万人と平成12年度の3.6倍となっています。
要介護(支援)認定者数も平成12年度は244万人、令和4年度には697万人。平成12年度の約2.9倍となっています。
また2025年には日本で一番人口の多い団塊世代の方が全員75歳の後期高齢者を迎えます。団塊世代の方、次の団塊ジュニア世代がいずれ要介護(支援)認定を受けることを考えると、介護職員の不足は喫緊の課題と言えるでしょう。
(出所)厚生労働省HP、『第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について』(令和6(2024)年推計)
都道府県別データから、介護職員不足数に1万人以上の開きがある県をみてみよう
都道府県別データから介護職員必要人から見込んだ介護職員の人数に1万人以上の乖離のある県は、14県ありました。
この中で東京、大阪、神奈川、愛知、福岡などは元々大都市で人口の集中している都市です。また埼玉、兵庫、奈良はそれら大都市のベッドタウンです。
今回のデータで北海道の介護職員の不足数は56057人で全国ワースト4位です。北海道では人口減少が進んでいますが、北海道の人口は511.2万人で福岡県に次いで全国9位です。しかし介護者不足は福岡県の2.8倍です。また神奈川県の人口は923万人で北海道の二倍弱ですが、介護職員の不足数は北海道の方が12000人ほど多いです。また14位の青森の介護者不足数は10043人です。青森県は総人口118.8万 (2023年7月1日)で全国31位の人口です。地域面積は全国2位の広さです。また青森県は近年急激に高齢化が進んでいる県の一つで、介護職員の不足は深刻な問題だと考えられます。
また沖縄は長寿な県で元々有名でしたが、出生数も多く世代ごとの人口分布は安定していると考えられてきましたがその沖縄でも高齢化が進み、2040年には介護職員が1万人以上足りないと予測されます。一方で中国地方、四国地方、九州地方(福岡県除く)では介護職員が1万人以上不足する県が想定されておりません。
(出所)厚生労働省HP、『第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について』(令和6(2024)年推計)
介護人材確保対策をみてみよう
このような介護職員が不足している中、厚生労働省では様々な介護人材確保対策が行われています。
主な取り組みとして以下5つが挙げられています
- 介護職員の 処遇改善
- 多様な人材の 確保・育成
- 離職防止 定着促進 生産性向上
- 介護職の 魅力向上
- 外国人材の 受入れ環境整備
特に、介護職は現在、処遇改善として、令和6年度報酬改定では、令和6年度に2.5%、令和7年度に 2.0%のベースアップへと確実につながるよう、加算率の引き上げを行っています。
(出所)厚生労働省HP、『第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について』(令和6(2024)年推計)
現在、2040年の介護職員不足に向け、現状の洗い出し、職員の不足解消に向け、様々な施策がとられています。介護職員の処遇改善も進み始めていますが、訪問介護の事業所が過去5年で220か所廃止されたり、介護事業者の倒産も増えています。
後編ですが、介護事業者の倒産とその理由、また高齢社会の地域共生社会の理念となっている地域包括ケアの仕組みについても、再度みていきたいと思います。