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映画「お終活 熟春!人生、百年時代の過ごし方」から具体的な終活内容と終活イメージについて考えてみよう。【話題の映画・ドラマ・アニメから考えるブログ④】

映画「お終活 熟春!人生、百年時代の過ごし方」から具体的な終活内容と終活イメージについて考えてみよう。【話題の映画・ドラマ・アニメから考えるブログ④】

 

  • 「お終活 熟春!人生、百年時代の過ごし方」の映画概要とあらすじについて
  • 映画の中の「終活フェア」から死後に生じる事務手続きをみてみよう
  • 終活・死・葬儀社という言葉の「弔いイメージ」に向き合う
  • 大切な人の治療方法の意見の相違が、家族のしこりになりうることもある

 

それぞれ一つずつみていきたいと思います。

 

 

「お終活 熟春!人生、百年時代の過ごし方」の映画概要とあらすじについて

 

「お終活 熟春!人生、百年時代の過ごし方」は、香川秀之によるオリジナル脚本であり、終活をテーマとしたヒューマンコメディです。2021年に香川秀之監督により映画化されました(引用)Wikipedia。ストーリーは葬儀屋に転職したばかりの青年「菅野」が偶然キッチンカーでお弁当を販売する亜矢に出会い、定年退職後家にずっといるようになり夫婦喧嘩が増えていた、亜矢の両親に「終活フェア」を紹介し、母の千賀子は終活に前向きになりますが、夫の真一は縁起でもないと、菅野に自分たちをカモにするのかと厳しい物言いをします。この終活フェアへの参加をきっかけに人生のまさかに遭遇し、さまざまな「まさか」を通じて夫婦や家族、思い出の意味合いについて、考えるきっかけとなります。

この映画の主旨は、映画の中で松下由樹演じる桃井梓の終活フェアでの言葉に凝縮されています。以下抜粋です。

「終活とは一度人生を具体的に振り返ってみて、新たな人生に向かって進むための手段でもあるのです。人生100年時代と言われている今、残された長い年月をいかに楽しく暮らすかが重要になってきます。

若い頃には「青い春」つまり青春という時代がありましたが、熟年になられたみなさまには、熟した春と称して塾春と呼ばれる時代があります。その塾春を楽しんでもらうためにも終活は必要だと考えております。」

 

 

映画の中の「終活フェア」から死後に生じる事務手続きをみてみよう

 

映画終活フェアの中で、もし自分が亡くなった場合、どんな手続きが必要なのかを説明するシーンがあります。映画の中であげられていた手続きをまとめてみましたが、22手続きもあります。この手続きについて、桃井梓は「人が亡くなるということは生まれてくるより大変なことなんです。生きている時に積み上げてきたものを、一度に手放すわけですから。」と述べています。確かに赤ちゃんが母体から産まれ社会の一員となると、社会の構成員として様々な権利も付与されますが、義務も負うことになります。

終活が具体的に何を指すのかイメージだけではなく棚卸していくことをお勧めします。

 

1. 戸籍からの除籍9. 世帯主変更届17.    株式・社債・国債の名義変更
2.    年金10. 扶養控除異動申告18. 電話・ガス・水道・電気などの名義変更
3.    死亡一時金の受取り請求11. 雇用保険の資格喪失届19. 携帯電話の解約
4.    生命保険金の請求12. 所有権移転登記20. 車の名義変更
5.    銀行口座の解約13. 遺族補償金の受取り21インターネットでの各種登録の解約
6.    運転免許証の返納14. 相続税の申告22 ネット資産の相続手続き
7.    健康保険証の返納15. 医療費控除による税金の還付
8.    パスポートの返納16. クレジットカードの失効手続き

(参考)映画、お終活 熟春!人生、百年時代の過ごし方

 

 

終活・死・葬儀社という言葉の「弔いイメージ」に向き合う

 

様々な終活に関するデータでも、「終活」という言葉の認知度は各年代で90%以上と、既に日本では一般化した言葉だと言えますが、実際に遺言書を書いている人は全体で5%前後、またエンディングノートに関しても、らしさ協会の統計データからも持っている人は全体の12%前後となっており、言葉の認知度のわりに実際の終活の行為は追いついていないと推察されます。実際の終活の進まない原因がこの映画の中で表現されているように私には感じました。

例えば、映画の中での以下のような言葉。桃井梓が、自身が葬儀屋の娘として育ち、小さい時の偏見「葬儀屋の子と遊んじゃだめだ。」と言われたシーン。そしてなぜ葬儀屋は縁起悪いと思われるのか菅野が桃井梓に尋ねると、「死を現実として捉えたくないからじゃない。遠いところにしまっておきたいのよ。」と返事をします。また橋爪功演じる真一が、菅野に「人の不幸で飯食ってるって、自分の仕事に誇りを持てるのか?親に話せるのか?」と聞くシーンもあります。日本人の死に対する無意識に正面から向かったことも、この映画の大きな特徴と言えます。

 

 

大切な人の治療方法の意見の相違が、家族のしこりになりうることもある

 

映画の中で、主人公の菅野が父親と疎遠の設定となっています。理由としては10年前の母親の治療に関して親子間で治療に関する意見の違いがあり、病気と闘い母親に生きて欲しいと願った菅野と、辛い治療から早く楽にさせてやりたい父親との間で意見が衝突したまま、まとまらず、最終的には父親の意見が通り、母親が亡くなったことに対して、父親を許せなくなってしまった過程が描かれています。

双方とも母親を思う気持ちに変わりはありませんでしたが、治療法が家族内で意見が異なるケースもあると思います。その際家族がどんな治療方法を選択するのか。エンディングノート、もしくは日々の家族の会話の中で、自分にもしもの状況になったら延命治療を行うかどうか、希望を伝えておけると、残された家族も迷いなく後悔なく選択できるのではないでしょうか。

 

最後観終わったあとの後味もよく、爽やかなエンディングで、芸達者な方達のお芝居に魅入りました。また熟年夫婦の妻・夫のそれぞれの言い分、リアルな「あるある」にスカッとすることも多かったです。また終活の「縁起でない」側面にもきちんと向き合い、心に残る言葉も多かったです。終活フェアも細部にこだわり、終活を考える人には終活も学べる映画となっています。もし機会があればぜひ、観ていただければと思います。

 

 

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