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【今年のお盆、お墓参りしますか?】お墓参りの予定ない人は36%【データから考えてみよう⑮】

【今年のお盆、お墓参りしますか?】お墓参りの予定ない人は36%【データから考えてみよう⑮】

株式会社プラネットの<お墓参りに関する意識調査>から考えてみよう。

 

 

お子さんのいる世帯では夏休みが始まりました。今年の夏休みは移動制限、行動制限のない夏休みになりますね。

来月にはお盆を迎えますが、今年のお盆期間に、お墓参りはされますか。先日株式会社プラネットから、お墓参りに関する意識調査が発表されました。昭和、平成、令和と時代が移り変わる中で、お墓参りの意識が大きく変化している事が明らかになりました。ご先祖様、お墓参りについて、季節柄このデータをみながら一緒に考えてみませんか。

 

  • 民俗学の草分け柳田国男の「先祖観」をみてみよう
  • お墓参りに行く予定がある人が6割強で、お墓詣りに行かない人も3割強存在
  • 30代男性のお墓参りに行く習慣がない人が56%と突出して高くなっているのはなぜ?
  • 自分が亡くなった後の遺骨の埋葬場所の方法は半数以上が希望なし

 

それぞれ一つずつみていきたいと思います。

 

民俗学の草分け柳田国男の「先祖観」をみてみよう

 

日本の民俗学の草分けといわれる柳田国男は、著書『先祖の話』のなかで、「日本人の死後の観念(かんねん)、即ち霊(れい)は永久に、この国土のうちに留まって、そう遠方へ行ってしまわないという信仰(しんこう)が、恐らくは、世の始めから、少なくとも今日まで、かなり根強くまだ持ち続けられている」と述べられています。また先祖観については「二つの先祖」という概念をあげています。

「家の創始者」を先祖と呼ぶ場合と「家の成員だった人すべてを先祖」と考える場合(引用文献)国立研究大学法人科学技術振興機構

この考え方は戦後の民法の中で否定された「家制度」の影響を受けていると考えられます。

お盆(おぼん)は、日本で夏季に行われる祖先の霊を祀る一連の行事。日本古来の祖霊信仰と仏教が融合した行事である。

(出所)Wikipedia

このように日本のお盆は祖霊信仰と仏教が融合した、日本人の死生観によって下支えされ、長く営まれてきた行事といえます。

前回の記事、「歩いても歩いても」という映画記事の中でも死生観について触れています。よければご参照ください。

 

 

お墓参りに行く予定がある人が6割強で、お墓参りに行かない人も3割強存在

 

お墓参りに行く予定がある人が全体の6割強という結果になりましたが、お墓参りに行く習慣がないと回答した人も36%と3人に1人はお墓参りの習慣がない結果となりました。お盆とは、年に一度、先祖や故人があの世からわが家へと戻ってきて、現世の家族と一緒に過ごすという習慣が全国で存在していました。お盆の入りの8月13日には迎え火を焚きご先祖様をお迎えし、お盆明けの8月16日には送り火でお見送るする儀式があります。私が小さい頃は迎え火や送り火を焚く家も多かったですが、近年ではみる機会が減りました。このような形でご先祖さまや故人を供養する習慣が薄れてきています。原因としては核家族化、血縁地縁、地域社会とのつながりの弱体化が考えられます。20代、30代の若い世代では、半数以上がお墓参りに行く習慣がありません。先祖や故人と心の交流を行うという考え方は、全体的に失われてきているのではないかと推察されます。

(出所)株式会社プラネット お墓参りに関する意識調査

 

 

30代男性のお墓参りに行く習慣がない人が56%と突出して高くなっているのはなぜ?

 

上の表からも、特に30代男性のお墓参りにいく習慣がないと回答した人は、56,7%と、全世代と比較しても突出した高さです。20代男性と比べて約10%、お墓参りにいく習慣が減っています。この10%は「一か所のお墓参り」に行く数字が20代男性と比べ10%減っています。複数のお墓参りにいくケースとは、同じ土地に親族が複数住んでおり、親戚それぞれのお墓にもお墓参りにいくケース。また結婚して自分のお墓だけでなく姻族となった配偶者のお墓参りに行くケースなどがあります。30代でお墓参りにいく習慣がない人は仕事が多忙、実家とは離れた場所で仕事をしているため、物理的に実家のお墓参りができなくなる人が増えてきているのではないでしょうか。一方で30代女性では、20代女性に比べ、複数のお墓参りをする人が4%増えています。これは結婚により姻族となった配偶者のお墓参りをする人が増えたことを表しているのではないでしょうか。30代男性の複数のお墓参りする人は、20代男性と比較して1%弱の増加となっており、30代女性より伸び率は鈍化しています。

 

 

自分が亡くなった後の遺骨の埋葬場所や方法は半数以上が希望なし

 

墓じまいを考えている人は、全体の2割で、特に50代、60代女性で、28%前後(約3割)の人が墓じまいについて検討しています。この数字は他の年代より墓じまいを考える人の割合が高くなります。これは両親の死を経験し、自分たちが墓守の世代となり、継承する子供たちの負担を考え、自分の世代で墓じまいしようとする人が増えるのでしょう。

一方で自分の遺骨の取り扱いについては、「特に希望がない」という人が半数弱となっています。柳田国男の先祖の話に出てくるような、「自分が死んだら先祖になる」という感覚が薄くなっているため、自分の遺骨に関しては、後の世代の負担にならないよう、継承世代が散骨などの埋葬方法を選べるように配慮している可能性もあります。また一方で、自分の死生観、死後の世界について、具体的なイメージを持つ人が減ったことを意味するのでないかと推察します。日本人の死生観も時代に変化と共に変わってきているのでしょう。

(出所)株式会社プラネット お墓参りに関する意識調査

もし、来月のお盆にお墓参りをされる方は、どなたに対し、どんな気持ちでお参りされるのでしょうか。心のよりどころとしてのお墓の意味がこれから問われていきそうです。

終活に関するセミナーなども開催しております。お気軽にお問い合わせください。

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