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【総務省と警察庁のデータからみる孤独死の現状】総務省の人口統計、都道府県別人口増減率の下位7県と65歳以上の一人暮らしの高齢者の孤独死から推察される東北地方で起きている事【データから考えてみよう28】

【総務省と警察庁のデータからみる孤独死の現状】総務省の人口統計、都道府県別人口増減率の下位7県と65歳以上の一人暮らしの高齢者の孤独死から推察される東北地方で起きている事【データから考えてみよう28】

 

 

  • 孤独死とはなんでしょうか
  • 人口推計(2024年(令和6年)10月1日現在)の都道府県別人口増減率をみてみよう
  • 令和6年中における警察取扱死体のうち、自宅において死亡した一人暮らしの者の現状をみてみよう
  • 東北地方起きている孤独死は、高齢者だけでなく中年層も含まれているのでは

 

それぞれ一つずつみていきたいと思います。

 

 

孤独死とはなんでしょうか

 

孤独死という言葉は、1970年代頃から使われていましたが、1995年の阪神淡路大震災で被災者の孤独死が取り上げられ、その後再び注目されるようになりました。孤独死は高齢者だけでなく、若い世代にも起こりうる問題であり、社会的な孤立や人間関係の希薄化が背景にあることが多いです。

核家族化、都市への人口流出による地縁血縁の希薄化、スマートフォンの普及による個人化などにより社会も家族も大きく変化している昨今、社会的な孤独や孤立を防ぐため、令和5(2023年)年6月7日に孤独・孤立対策推進法が施行されました。

孤独の状態については、孤独・孤立対策推進法の第一条にあります。

 

■孤独・孤立対策推進法 第一条

この法律は、社会の変化により個人と社会及び他者との関わりが希薄になる中で、日常生活若しくは社会生活において孤独 を覚えることにより、又は社会から孤立していることにより心身に有害な影響を受けている状態(以下「孤独・孤立の状態」という。)にある者の問題が深刻な状況にあることを踏まえ、孤独・孤立の状態となることの予防、孤独・孤立の状態にある者への迅速 かつ適切な支援その他孤独・孤立の状態から脱却することに資する取組(以下「孤独・孤立対策」という。)について、その基本理念、国等の責務及び施策の基本となる事項を定めるとともに、孤独・孤立対策推進本部を設置すること等により、他の関係法律による施策と相まって、総合的な孤独・孤立対策に関する施策を推進することを目的とする。

 

また孤独死、孤立死については、平成22年(2010年)高齢社会白書の中で触れられています。

 

■孤独死

誰にも看取られることなく息を引き取り、その後、相当期間放置されるような悲惨な「孤立死(孤独死)」

■孤立死

死後、長期間放置されるような悲惨な孤立死は、人間の尊厳を損なうものであり、また、死者の親族、近隣住人や家主などにとって心理的な衝撃や経済的な負担を与える。

(出典)Wikipedia内閣府資料平成22年高齢社会白書内閣官房HP

 

日本の世帯構造が変わり、現在では単独世帯が一番多い構造となっています。また世帯人数も減っており家族が縮小化していてなおかつ平均寿命が延び、長生きする時代では、誰もが孤独死を迎える可能性があります。2010年の高齢白書では孤独死は悲惨とありますが、15年の時を経て、社会的にも以前より孤独死を特別視しなくなっているように感じます。人々の意識が変化したのかもしれません。

 

 

人口推計(2024年(令和6年)10月1日現在)の都道府県別人口増減率をみてみよう

 

2025年4月14日に発表された総務省の人口統計では、総人口は1億2380万2千人で、前年同月に比べ55万人減少しています。

人口増減率を都道府県別にみると、 増加は2都県のみとなっており、東京都と埼玉県の2県のみです。この2県は社会増加であり、全ての都道府県で前年に引き続き自然減少となっています。15歳未満人口の割合が75歳以上人口の割合を上回るのは沖縄県のみで、15歳未満人口の割合は前年に比べ全ての都道府県で低下しています。

都道府県別人口増減率でみると、最も人口が減っている8県は、秋田県、青森県、岩手県、高知県、山形県、徳島県、福島県、和歌山県となっています。

注目すべきは、宮城県以外の東北5県、そして太平洋側の四国2県が人口減少県となっている点です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(出典)総務省、人口推計(2024年(令和6年)10月1日現在)

 

 

令和6年中における警察取扱死体のうち、自宅において死亡した一人暮らしの者の現状をみてみよう

 

令和6年中における警察取扱死体20万4,184体のうち、自宅において死亡した一人暮らしの者は7万6,020体(37.2%)でした。

本件に関しては、各種新聞、メディアなどでも報道されております。

自宅で死亡の1人暮らし 去年全国で約7万6000人 警察庁まとめ(NHKニュース)

年代別では以下となっています(NHKニュースから抜粋)
▽85歳以上が1万4658人と最も多く
▽75歳から79歳が1万2567人
▽70歳から74歳が1万1600人
65歳以上の人が7割以上を占めています。

 

このことは、超高齢社会に突入し、高齢者ほど亡くなる可能性が高く、65歳以上の死亡率が高い県ほど、総務省データの人口増減率の高い県と一致するのではないかという推測が生まれます。

しかし、意外な結果がわかりました。人口増減率で下位8県の中に入っていた、高知県(44位)、徳島県(42位)、和歌山県(40位)は、一人暮らしの65歳以上が亡くなった比率の高い県順に並べると、高知2位、徳島4位、和歌山7位と、人口増減率と一人暮らしで亡くなった65歳以上の比率が高い県とが一致していますが、東北5県は、秋田県が12位、山形県が25位、青森県が30位、岩手県が31位、福島県が40位となっています。

東北5県は、人口増減率と一人暮らしで亡くなった65歳以上の比率が高い県は一致していないのです。

 

都道府県警視庁取扱死体数一人暮らし総数内65歳以上65歳以上の比率
長崎184877164183.1%
高知127751943082.9%
香川178467154881.7%
徳島114446137681.6%
奈良231775961881.4%
島根103430524881.3%
和歌山171365252981.1%
長野304098579981.1%
愛媛228280765180.7%
岐阜245185769080.5%
宮﨑163368655280.5%
秋田149553142780.4%
石川173751241180.3%
鹿児島2259103983180.0%
山口2405118794879.9%
富山160945336179.7%
静岡48961653131379.4%
広島36311561123979.4%
新潟3402102281079.3%
岡山300899979179.2%
鳥取104129123079.0%
兵庫77533256255778.5%
大分153455643678.4%
佐賀117234927277.9%
山形163342232877.7%
山梨132648938077.7%
三重2892103880677.6%
北海道95223411264177.4%
福井129730523677.4%
青森234574957977.3%
岩手213968652776.8%
京都34701466112576.7%
群馬3322106781776.6%
大阪174496983532976.3%
熊本239079159875.6%
栃木359489567275.1%
茨木52541424106975.1%
愛知93194545341175.0%
福島324393770375.0%

 

(出典)警察庁HPより常盤にて作成

 

 

東北地方で起きている孤独死は、高齢者だけでなく中年層も含まれているのでは

 

上記のデータから言えることは、東北5県では、一人暮らしで亡くなった方は65歳以上だけではなく、64歳未満の人も他県より多いということではないでしょうか。

人口増減率が高ければ、一人暮らしの高齢者も増えるでしょう。そういった方ではない人が亡くなっている、それは誰なのでしょうか。もう少し詳しいデータが必要です。

少し古いデータですが、幻冬舎、資産形成ゴールドオンラインでは、[連載] 統計から紐解く日本の実情(SGO)【第141-2回】【すべて見る】都道府県「婚姻率/初婚年齢」ランキングがのっています。

その中で、宮城県と福島県を除く東北4県は、婚姻率が全国で都道府県中、44位から47位となっています。未婚者が多いのも原因の一つなのかもしれません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

個人的にも、以前は「孤独死」は怖くてみじめという印象を持っていました。しかし、今後は誰にも看取られず一人で死んでいくことが当たり前になるかもしれません。孤独死で真に恐れるのは、事後処理なのではないでしょうか。賃貸に居住していれば、特殊清掃など原状復帰に甚大なお金がかかるかもしれません。もし、一人で亡くなっても、数日以内にみつけてもらえて、死後事務に関してもお葬式やお墓、年金保険インフラの停止、家賃などの費用の支払、住まいの片付けなどの託し先がある程度準備できていれば、突然その日を迎えても仕方ないかと思えるかもしれません。

現在高齢者等身元保証サービスなど、単身の高齢者の増加を見据えた色んなサービスが整えられようとしています。注視してみていきたいと思います。

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