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映画「ツナグ」から大事な人に言葉で思いを伝える重要性と遺言の付言事項について考えてみよう【話題の映画・ドラマ・アニメから考えるブログ⑮】

映画「ツナグ」から大事な人に言葉で思いを伝える重要性と遺言の付言事項について考えてみよう【話題の映画・ドラマ・アニメから考えるブログ⑮】

 

  • 「ツナグ」の映画概要とあらすじについて
  • 大事な人に自分の思いを伝える重要性について
  • 遺言の「付言事項」をご存じでしょうか
  • エンディングロールで樹木希林さんが朗読する文章 「最上のわざ」を添えて

 

それぞれ一つずつみていきたいと思います。

 

 

「ツナグ」の映画概要とあらすじについて

 

「ツナグ」は、直木賞作家・辻村深月氏による同名小説を映画化したヒューマンドラマで、2012年に映画化されました。 松坂桃李が主演を務め、樹木希林、佐藤隆太、桐谷美玲、橋本愛、八千草薫、仲代達矢ら日本を代表する名優達が共演しています。主人公歩美を演じる松坂桃李は、代々継承されてきた。死者と生者の仲介人「ツナグ」という職業を通じて、大切な人を亡くした者と死者を一度だけ再会させることができます。歩美は祖母アイ子(樹木希林)からツナグを引き継ぐ見習いとして、死者との再会を望むさまざまな人と出会っていきます。しかし、様々なケースに出会い、死者との再会が生者の救いになるのか、人生は変わるのか、次第に自身の行為に疑問を抱くようになります。歩美自身が幼い時に死別した両親の問題を抱えていましたが、自ら納得し、最終的には自分で「ツナグ」という職業を祖母アイ子から継承します。

主人公歩美は当初、「私たちは死んだあと、どこへ行くのだろう」と答えのない疑問を持ち続けますが、死んだ人も見えないだけで、近くに存在しているのではないか。繰り返される死により生きているものが生かされているのではないかと、今ある生に集中することの大切さに気が付きます。ファンタジーの要素もありますが、自分の大切な人に思いを伝えることの大切さ、後悔のない別れなど存在しないかもしれませんが、別れに誠意を尽くすことの尊さについて考えさせられる映画です。樹木希林さんの圧倒的な存在感、松坂桃李さんの自然な演技、橋本愛さんの渾身の演技が光ります。

(参考)Wikipedia映画.com

 

 

大事な人に自分の思いを伝える重要性について

 

映画の中で「ツナグ」が仲介したケースでは、癌で母親を見送った長男が、自身の母親への見送り方に問題がなかったか母親に確認したいケース。高校の演劇部所属している親友同士が、主役をめぐる競争から相手に嫉妬し、軽はずみな行動で親友の女の子の事故死の原因を作ることになり、ツナグで会っても真実を告げて謝罪することができず、重荷を背負ってしまったケース。7年前に失踪したと婚約者が、身元を偽ったままフェリー事故で亡くなってしまい、7年ぶりに再会し互いへの愛情を確かめ合い、気持ちを伝えられたケース。など多岐にわたっています。自分の思いを相手に伝えられた人は、死者の存在を傍らに感じながら、前に進んでいき、不完全燃焼の別れ方をしたケースでは、生涯背負い続ける罪となります。主人公歩美が「生者のために死者に会わせるのは、生者の傲慢であり死者への冒涜ではないか」と憤慨するシーンがあります。実際そうかもしれないですし、解釈は多様であろうと思われます。しかし生者も死者も、きちんと、きれいに、思いも関係性も消化できれば成仏できるのではないかと思いました。

少し古いデータですが、2015年にプルデンシャル ジブラルタ ファイナンシャル生命保険株式会社が行った「人生の満足度に関する調査」では「元気なうちにやっておきたいこと」の最も多い回答は「お世話になった人に感謝の気持ちを伝える」でした。どんな関係性であっても「終わりよければすべてよし」なのかもしれません。

(出所)プルデンシャル ジブラルタ ファイナンシャル生命保険株式会社 人生の満足度に関する調査2015

 

 

遺言の「付言事項」をご存じでしょうか

 

本作品は、仲介「ツナグ」が生者と死者を再会させ、お互いの気持ちを素直に話、互いの心のわだかまりが結果的に解消されていきます。直接会って互いの目をみて言葉を交わせるというのが良いですね。

話は変わりますが、遺言の中で「付言事項」という自分の思いを言葉にできる項目があることはご存じでしょうか。遺言とは、主に自分の財産を誰に相続させるかという、財産分与の方法を判断能力があるうちに、遺言として証する法律行為ですが、その法律行為の中に、付言事項という項目があります。こちらは、なぜこのような相続割合にしたのかその理由、また遺言者が相続人に向けて、最後に感謝の気持ちやお願いごとなどを記載することができます。遺言は遺言者が亡くなってから開封されるので、開封時にはこの世には居ませんが、遺言者の最後の言葉であるため、相続人や家族へ伝わるメッセージは強いものがあります。日頃から、大事な人であれば、自分の本心や感謝を常に伝えられればそれに越したことはないです。しかし病気や体力の低下、遠距離、仕事や子育てなどで、今ある優先順位からはこぼれ落ちてしまうこともあるでしょう。

遺言書は何度でも書き直すことができます。自分の財産だけでなく、自分の思いを付言事項として書いてみてはいかがでしょうか。もしかしたら思いがけない言葉が出てくるかもしれません。

遺言書の作成も当事務所で行っています。お気軽にお問合せください。

 

エンディングロールで樹木希林さんが朗読する詩「最上のわざ」を添えて

 

最後に映画のエンディングで樹木希林さんが朗読する詩「最上のわざ」を記載します。映画の初め、中旬にも歩美とアイ子の食事シーンの間で出てくる詩です。ドイツ人宣教師ヘルマン・ホイヴェルスの「人生の秋」の一節です。ヘルマン・ホイヴェルスは上智大学2代目学長でもあり、日本とゆかりの深い人物です。(参考)Wikipedia 樹木希林さん出演の映画では樹木希林さんの料理シーンが出てくるものが多いですが、どれも手早くおいしそうな料理ばかりです

「最上のわざ」

この世の最上のわざは何?

楽しい心で年をとり、働きたいけれども休み、しゃべりたいけれども黙り、失望しそうなときに希望し、従順に、平静に、おのれの十字架をになう。

若者が元気いっぱいで神の道を歩むのを見ても、ねたまず、人のために働くよりも、謙虚に人の世話になり、弱って、もはや人のために役だたずとも、親切で柔和であること。

老いの重荷は神の賜物、古びた心に、これで最後のみがきをかける。

まことのふるさとへ行くために。

おのれをこの世につなぐ鎖を少しずつ外ずしていくのは、真にえらい仕事。

こうして何もできなくなれば、それを謙虚に承諾するのだ。

神は最後にいちばんよい仕事を残してくださる。

それは祈りだ。

手は何もできない。

けれども最後まで合掌できる。

愛するすべての人のうえに、神の恵みを求めるために。

すべてをなし終えたら、臨終の床に神の声をきくだろう。

(出所)首里バプテスト教会HP

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