ブログ

アニメ「葬送のフリーレン」からヒンメル一行の銅像の役割と記憶と信念の継承ついて考えてみよう【話題の映画・ドラマ・アニメから考えるブログ24】

アニメ「葬送のフリーレン」からヒンメル一行の銅像の役割と記憶と信念の継承ついて考えてみよう【話題の映画・ドラマ・アニメから考えるブログ24】

 

  • 「葬送のフリーレン」のアニメ概要とあらすじについて
  • ヒンメル一行の銅像は、未来を生きるフリーレンの道しるべ
  • 記憶と信念は継承され、未来へ受け継がれていく
  • 今、自分の側にいる大切な人に注意を払い、気持ちを伝えよう

 

それぞれ一つずつみていきたいと思います。

 

 

「葬送のフリーレン」のアニメ概要とあらすじについて

 

『葬送のフリーレン』は、『葬送のフリーレン』(そうそうのフリーレン)は、山田鐘人(原作)、アベツカサ(作画)による日本の漫画です。『週刊少年サンデー』(小学館)にて、2020年より現在も連載中です。2021年に第14回マンガ大賞および第25回手塚治虫文化賞新生賞を、2023年に第69回小学館漫画賞受賞しています。2022年9月にアニメ化が発表され、2023年に日本テレビ系列の金曜ロードショーで第1話から4話が放送され、その後日本テレビ系列で2023年9月から2024年3月まで放送されました。

ジャンルとしては冒険ファンタジーです。魔王を倒し、英雄として王都に凱旋した勇者一行が、祝いの宴の夜、50年に一度降るという「半世紀(エーラ)流星」を共に眺めます。4人は、次回も流星をみる約束を交わし、10年の旅を終了し、各自それぞれの場所に旅立ちます。勇者一行のメンバーは、勇者ヒンメル、魔法使いフリーレン、僧侶のハンター、戦士アイゼンです。人間の寿命とは比較にならないくらいの長寿のエルフのフリーレンは、次のエーラ流星をみるため、王都に戻りますが、そこで年をとり老いたヒンメルと会います。4人で流星を観た後すぐ、ヒンメルの寿命は尽き亡くなります。そこで初めてフリーレンは、人間の寿命が短いこと、ヒンメルの事を知ろうとせず、知らないまま死んでしまったことを心から後悔します。ヒンメルの死後から20年、ハンターを訪ね、ハンターの遺志を受け、戦争孤児のフェルンを自分の弟子とし、再び旅を始めます。途中アイゼンと出会い、死者の魂と対話できる場所、オレオールの存在を知り、ヒンメルの魂と対話するために、旅の目的地をオレオールに定め、その道中アイゼンの元弟子のシュタルク、僧侶のザインと出会い、80年前のヒンメル達勇者一行と同じ冒険の道をたどることになります。オレオールまでの道すがら起こる戦い、アクシデントなどを通してフェルンやシュタルクが成長する旅であり、80年前の勇者ヒンメルとの記憶や思い出がたびたびフリーレンによみがえり、勇者ヒンメルの記憶と信念を継承する旅でもあります。

アニメの中では、一貫して死がテーマです。アイゼンがフリーレンに「人生ってのは、衰えてからの方が長いもんさ」と呟きます。またハンターも自分の死が近づいてきたことを悟ったときに、「死ぬのが怖くなってきた。もう少し生きたい」とフリーレンに伝えます。リアルな死であり老いの描写ですが、怖さや暗さはなく、たびたびよみがえる、今は亡き勇者ヒンメルの言葉や優しさが、フリーレンの行動や判断の道しるべとなっていきます。

是枝監督の「歩いても歩いても」の中でも「いつもちょっと間に合わない」というセリフがありますが、フリーレンがヒンメルの事を深く知りたいと思って時、既にヒンメルは亡くなっており、永遠に間に合いません。そしてこの「ちょっと間に合わない」ヒンメルとフリーレンの切なさが、冒険ファンタジー以上に、観る側の気持ちを揺らします。

(参考Wikipedia)

 

 

ヒンメル一行の銅像は、未来を生きるフリーレンの道しるべ

 

葬送のフリーレンは原作も作画も素晴らしいですが、yoasobiの主題歌「勇者」が物語にあっていて、アニメ葬送のフリーレンを盛り上げています。その歌詞の中でも、ヒンメルの銅像をフリーレンへの目印と歌っています。ヒンメルが喜んで銅像のモデルになった理由として、「みんなに忘れてほしくないから」そして「未来でフリーレンがひとりぼっちにならないようにするため」と答えます。このシーンをみて、この銅像はお墓の機能に似ていると思いました。お墓自体は遺骨が埋葬され、故人の死後の家ですが、生きている側の人にとっては、お墓で故人を思い出したり、心の交流をはかったり、心の拠り所でもあります。生きている側がお墓を求めているケースもあります。ここ最近、継承者の居ないお墓を整理する墓じまいが増えてきていますが、もし自分にその時身近な家族が誰もおらず、先にお墓に眠っている家族だけが自分の心の支えであった時、そのお墓は、自分にとって最後の道しるべになるのかもしれません。そのような視点も持ち合わせる必要があると感じました。

 

 

記憶と信念は継承され、未来へ受け継がれていく

 

ヒンメル達との勇者一行の冒険の際は、フリーレンは自分たちより圧倒的に寿命が短い、ヒンメルにもハンターにもそれほど注意を注いでいるようにはみえませんでした。しかし、フェルンやシュタルク達と以前と同じ旅路を続ける中、ヒンメル達と旅した時の事が鮮明に思い出され、記憶がよみがえります。またフリーレンが取捨選択や何かの行動を起こす判断を起こす際に、「勇者ヒンメルだったらどうするか」がフリーレンの行動指針になり、ヒンメルと同じ行動をとるようになります。勇者ヒンメルは既に亡くなっていますが、フリーレンの中で、ハンターの中で、アイゼンの中で、ずっと生き続けます。そしてフリーレンがフェルンやシュタルクに勇者一行の思い出話を語れば、今度はフェルンやシュタルクにその思い出や信念が継承されていきます。人間だけでなく企業でも、創業者の企業理念が創業者が亡くなった後も従業員に企業理念が継承され、次の世代に継承されます。

映画リメンバーミーでは、死者の国から生者の国に戻るためには、生者の国の祭壇に自分の写真が飾られていることが必須条件です。生者の国でいよいよ誰にも思い出されなくなると、「2度目の死」が訪れます。死者の国で生き続けるためには、生者の世界で、その人の事を記憶して思い出してくれる人が必要なのです。

ヒンメルはフリーレンによって、フリーレンが生きている間、ずっとフリーレンの記憶の中で生き続けるのでしょう。そしてフリーレンから勇者ヒンメルの話を聞いたフェルンとシュタルクの中でも生き続けるでしょう。

 

 

今、自分の側にいる大切な人に注意を払い、気持ちを伝えよう

 

フリーレンはヒンメルが生きている間にヒンメルを知ろうとせず亡くなってしまい、深く後悔します。ヒンメルが生きている間、エルフの特徴もあってか、ヒンメルに対し態度が淡白で、「人間はどうせすぐ死ぬから」と関係を深めようとはせず、突き放すような発言もありました。2023年6月20日に発売されたハーバード大教授ロバート・ウォールディンガー氏らによる著書『グッド・ライフ 幸せになるのに、遅すぎることはない』(辰巳出版)で80代の夫婦を対象とする8日間の調査を行った際、人生を振り返る質問の中で、時間の使い方を後悔している人が多い点に着目しています。注意を払うべき事柄についてしっかり考えなかったと感じていた被験者も多かったことがわかりました。以下はPHPオンラインの文章の一部をそのまま抜粋しています。

時間と注意はあとから補充することができない。時間と注意こそ人生そのものだ。時間と注意を相手に差し出すとき、私たちはそれらを単に「費やしたり、払ったり」しているわけではない。自分の命を相手に与えている。」まさにフリーレンが前回の旅で足りず、今後悔しているのは、まさにこの「ヒンメルに注意を払わなかった」ことなのではないでしょうか。自分にとって大切な人だと気づくのは、人それぞれタイミングもあるでしょう。会えなくなって初めて大切な人だと知ることは、とても辛く、思いを伝えられなかったことは大きな後悔になることもあるでしょう。フリーレンはその後悔を胸にオレオールを目指します。

今自分の近くにいてとても大切な人がいれば、その人と過ごす時間を大切に注意を払い、かけがえのない今を大切に生きたいですね。

(出所)PHPオンラインハーバード大学が84年かけて解明した「幸福な人生を送る人」の特徴

 

 

関連記事

ページ上部へ戻る