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【墓じまい過去最多15万件超】少子化や弔いの多様化、コロナで拍車か~朝日新聞デジタルの記事から考えてみよう【気になる記事ブログ24】

【墓じまい過去最多15万件超】少子化や弔いの多様化、コロナで拍車か~朝日新聞デジタルの記事から考えてみよう【気になる記事ブログ24】

 

  • 記事の概要をみてみよう
  • 樹木葬や納骨堂など継承者不要のお墓が人気
  • お墓の意識が変わってきている
  • お墓はどこへ行くのか

それぞれ一つずつみていきたいと思います。

 

 

記事の概要についてみてみよう

 

厚生労働省の衛生行政報告例によると、墓じまいの件数が、2022年に急増していることが判明しました。2021年の118,975件から32,101件増えて、151,076件となり、この数値は過去最多となりました。墓じまいの件数が急増している原因として、「シニア生活文化研究所」代表理事の小谷みどり氏は、コロナ禍でお墓参りに行けなくなり、結果的にいかなくてもよいと思う人が増えたのではないか。核家族化で樹木葬や納骨堂など、自分が元気なうちに墓じまいし、弔い方を選びたい人が増えた点を指摘しています。

(出所)厚生労働省 衛生行政報告例

 

 

樹木葬や納骨堂など継承者不要のお墓が人気

 

以前、別の記事(鎌倉新書が2023年1月に実施した「第14回 お墓の消費者全国実態調査(2023 年)」の調査結果から)でも触れましたが、2022年に購入したお墓の種類は一般墓が19,1%、納骨堂が20,2%と調査会社がデータを取り始めてから初めて、納骨堂を購入した人が一般墓を購入した人より多くなりました。

2018年までは一般墓を購入する人の割合は46,7%でしたが、この5年で一般墓を購入する人の割合は19,1%と半減し、この半減した25%の人は、樹木葬に15%強が樹木葬に流れ、5%弱が納骨堂に流れた結果となっています。このことからも一般墓を選ぶ人は急激に減っている状況です。

今回の墓じまいもこの流れと同様と考えられます。一般墓を維持していくことに困難を感じ、樹木葬や納骨堂など継承者不要のお墓に、次の世代に引き渡す前に自ら墓じまいをしている現状が推察されます。

(出所)鎌倉新書 第13回 お墓の消費者全国実態調査(2022年)

 

 

お墓の意識が変わってきている

 

一般社団法人 終活協議会が、お墓に対する意識調査とお墓離れの現状について、男女855名を対象に調査した結果では、昨今の日本ではお墓離れが進んでいることを指摘しています。墓じまいを計画している人は全体の19%で約2割の人が墓じまいを検討しています。また一般墓以外の海洋散骨や納骨堂を考えたことのある人の割合は57%と約6割で高い水準となっています。お墓が必要かどうかの質問に関しても、必要と答える人とわからないと答える人がそれぞれ39%と拮抗しています。これらの状況から、お墓に関してはどのように対応すればよいのか、迷いを覚える人の割合が高くなってきていることがわかります。また以前より、墓じまいを考えていた人たちがコロナ禍で数年間お墓参りに行けなくなった現実を受け、墓じまいの声を上げやすくなったのかもしれません。

(出所)一般社団法人 終活協議会 「お墓離れ」に関する調査

 

 

お墓はどこへ行くのか

 

コロナ禍という社会的要因もあり、お墓離れが進んでいる現状について触れてきました。恐らくこの流れ自体に関しては、経過観察が前提ですが、加速していくことはあっても、元には戻らないのではないかと予測されます。

しかし、80歳を超えた高齢者の方で、今の墓じまいや樹木葬や納骨堂移行への流れに戸惑っている方もたくさんいらっしゃいます。お一人で生きてきて、死後は親や兄弟のお墓に入ることを心の支えにしている方もいらっしゃいます。そういう心情に気がつかず、若い世代から墓じまいを迫られ、困惑し、自分は死後どこに埋葬されるのか不安を抱いている方もいます。

このように考えると、墓じまいには個人差があると考えられます。近い将来お墓に入ることが予測される世代と、実際の死が現実化するのが数十年先の現役世代では温度差が生じて当然です。お互いが丁寧に話し合われることをおすすめしたいと思います。

 

 

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