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【2100年、人口8000万人目標に】有識者提言「戦略本部設置を」~日本商工会議所HPの記事から考えてみよう【気になる記事ブログ25】

【2100年、人口8000万人目標に】有識者提言「戦略本部設置を」~日本商工会議所HPの記事から考えてみよう【気になる記事ブログ25】

 

  • 記事の概要をみてみよう
  • 日本で人口減少が進むと何が起きるのでしょうか
  • 高齢者も含めた子育て支援「共同養育社会」づくりとは
  • 日本には現在どれぐらいの外国人労働者数がいるのでしょうか

 

それぞれ一つずつみていきたいと思います。

 

 

記事の概要についてみてみよう

 

2022年5月に国立社会保障・人口問題研究所から「日本の将来推計人口(令和5年推計)」結果の概要が発表され、日本の総人口は 50 年後に現在の7割に減少、65 歳以上人口はおよそ4割になるという報告書が発表されました。私も以前ブログに記載しましたが、人口7割減少の8700万人、高齢化率40%超えは当時大きなニュースとして報道されていました。

今回民間主催の有識者会議で、50年後、2070年に想定される8700万人、またその40年先の2100年に、減り続ける人口を8000万人に定常化することを目標とした提言書となっています。以下日本商工会議所HPに記載されている文をそのまま引用します。

民間の経済人や研究者などの有識者らで構成する「人口戦略会議」(三村明夫議長)はこのほど、2100年を視野に入れた長期の人口戦略などを取りまとめた提言書「人口ビジョン2100-安定的で、成長力のある『8000万人国家』へ-」を岸田文雄首相に提出した。提言書では、人口減少と歯止めのかからない少子化の流れに危機感を示すとともに、3つの基本的課題として「国民の意識の共有」「若者、特に女性の最重視」「世代間の継承・連帯と『共同養育社会』づくり」の3点を提示。2100年に8000万人で人口が定常化することを目標に、人口減少の流れを変える「定常化戦略(人口減少のスピードを緩和させ、最終的に人口を安定させることを目標とする戦略)」と「強靭化戦略(質的な強靭化を図り、現在より小さい人口規模であっても、多様性に富んだ成長力のある社会を構築する戦略)」の実行による「未来選択社会(未来として選択し得る望ましい社会)」の実現を提案している。

(そのまま引用)日本商工会議所HPから

 

 

日本で人口減少が進むと何が起きるのでしょうか

 

本報告書では、将来の人口減少が、私たちの生活、将来世代にどのような影響を及ぼすのか、未来の社会の姿についても記述があります。本提言では、人口減少が及ぼす社会的危機について、自分事と捉えるような積極的な発信をしてこなかったのが、少子化がとまらない原因の一つだと解釈しています。資料では以下のように述べられています。「人口減少の深刻な影響と予防の重要性について、国民へ十分な情報共有を図ってこなかったこと」

また2100年の世界は今から約80年後の未来のため、このブログを読んでくださる方の中でも、2100年には既にこの世界に居ない人の方が多いでしょう。自分とは直接関係がない「将来」、また急激な減少ではなく徐々に毎年100万人が減っていくスピードの緩さも一因と考えられます。

しかし、人口減少が続く社会では、以下2つの問題が起こると提言されています。

 

■果てしない縮小と撤退

人口減少→労働人口の減少→消費者人口の減少→市場・社会の急速な縮小→日本国内への投資の減少→日本の成長力、産業競争力の低下→経済社会システムの現状維持不可

が予測されます。経済社会の運営も個人の生き方もともに、「選択の幅」が極端に狭められた社会に陥るおそれがあります。しかし具体的に選択の幅が極点に狭められた社会が想像しにくいのも現実としてあります。

 

■「超高齢化」と「地方消滅」

人口減少社会=超高齢社会→1人当たりの所得は低下→社会保障、財政負担が増大→巨額の公的債務→財政悪化

人口減少が進む地方→インフラや社会サービスの維持コストが増大→維持が困難→住民が流出→地方消滅

このように人口減少がもたらす社会的な影響は、人口減少に起因した社会問題がスパイラルに発生していくと考えられます。

(出所)人口戦略会議「人口ビジョン2100」

 

 

高齢者も含めた子育て支援「共同養育社会」づくりとは

 

少子化の問題はしばしば20代から30代の若い世代の問題と捉えられることが多く、自治体、企業でも男性女性社員の産休育休制度、時短在宅勤務制度、マタハラの防止など仕組みが作られてきました。しかし、働きながら子供を育てる経済的、時間的、体力的負担は高く、若い世代では、子供を持つことを最初から人生設計に含めないケースも増えてきているようです。そこで、本報告書では、以下のような世代間の継承・連帯と「共同養育社会」づくりという概念を提唱しています。個人的にはこの考え方に共感しました。

全ての人々は、子どもを持つ、持たないにかかわらず、社会保障制度を通じた連帯によって 支えられています。特に高齢期の生活は、自分一人の所得や貯蓄だけでなく、年金や医療・ 介護保険制度の給付やサービスが大きな支えとなっていますが、これらの制度は、若者世代、 さらには将来世代からの資金拠出や人的支援が見込まれるからこそ成り立っていると言えます。こうした社会全体、そして世代を超えた連帯を維持するためにも、子育て支援は、高齢者 を含めた全ての人々によって支えていくことが重要となります。

 

 

日本には現在どれぐらいの外国人労働者数がいるのでしょうか

 

本報告書では、これから取り組むべき「人口戦略」の4点目として、「永定住外国人政策」に関する論点があります。

まずは議論の前に現在日本にどのぐらいの外国人労働者がいるのかみていきたいと思います。

厚生労働省が2024年1月26日に発表した「外国人雇用状況」の届出状況【概要版】(令和5年 10 月末時点)によると、外国人労働者数は 2,048,675 人(前年 1,822,725 人)。 前年比で 225,950人増加し、届出が義務化された平成 19 年以降、過去最高を更新しました。また国籍別の労働者数では、最も多いのがベトナム、次が中国、そしてフィリピンと続きます。(出所)厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況

またこの外国人労働者数200万人というのは世界的に見てみると、日本は世界5位の永定住外国人労働者を受け入れています。

(出所)人口戦略会議「人口ビジョン2100」

 

人口減少の問題は、言葉の認知度としては高いと推察されますが、どれだけ真剣に受け止めているかは個人差があるでしょう。また世代別に経験が大きく異なるため、価値観も世代ごとに異なっています。それぞれの価値観に介入するのではなく「社会保障制度を通じた世代間の連帯が育まれる」、全世代共通の目標の設定が今後必要になってくるでしょう。

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