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【103歳の父と娘の人生会議、動画で公開】「具合が悪くなったらどうするかね?」映画監督の信友直子さん親子が人生の最終章 中国新聞デジタルの記事から人生会議と意思決定支援について考えてみよう【気になる記事ブログ24】

【103歳の父と娘の人生会議、動画で公開】「具合が悪くなったらどうするかね?」映画監督の信友直子さん親子が人生の最終章 中国新聞デジタルの記事から人生会議と意思決定支援について考えてみよう【気になる記事ブログ24】

 

以前ブログでも紹介させていただきました、認知症になった母親を90歳を超えた父親が介護するドキュメンタリー映画、「ぼけますから、よろしくお願いします。」の信友監督が、103歳になる父親と、人生の最後について話し合う、人生会議の動画か呉共済病院のYouTubeで公開されています。静かで温厚な父親良則さんの元気な姿を拝見でき、とても嬉しかったのと同時に、人生会議、意思決定支援の難しさを感じる動画でもありました。

今回は、「人生会議」というのが何か、また「意思決定支援」とは何かについて考えてみたいと思います。

 

  • 動画の内容をみてみよう
  • 人生会議(ACP)とは何でしょうか
  • 意思決定支援とはなんでしょうか
  • 状況が変われば気持ちも変わります。まずは一度周りと話してみませんか。

それぞれ一つずつみていきたいと思います。

 

 

動画の内容をみてみよう

 

本動画は呉共済病院が作成した動画で、呉共済病院チャンネルで3編の動画としてアップされています。信友直子監督の103歳になる父親に、具合が悪くなったら、「どこに住みたいか」、「どんな治療をしてもらいたいか」など家で最期を迎えたいのか。それとも施設でもよいのか。また延命治療の有無などについて、話し合い、決めていく過程が3編の動画にまとめられています。以下YouTube動画のコメント欄をそのまま引用いたします。

映画「ぼけますから、よろしくお願いします。」、その続編「ぼけますから、よろしくお願いします。~おかえり お母さん~」でおなじみの信友家にお邪魔して、呉市役所高齢者支援課のご協力のもと、信友直子監督とお父さんの初めての『人生会議』を撮影させていただきました。 本シリーズは、①「親子で話し合ってみた編」、②「かかりつけ医と話し合ってみた編」、③「私の心づもりを書いてみた編」の3本があります。①>②>③の順に話が進み、人生会議の一連の流れとなっていますので、1本でやめず3本目までご覧になって下さい。ご覧になったみなさまの人生会議について考えるきっかけとなれば幸いです。(出所)呉共済病院YouTubeコメント欄

本動画では、信友監督と父親の暖かい親子の絆が画面越しに伝わってきます。しかし親子ゆえ、老親の娘の負担になりたくない親心と自分の本当の気持ちの間で揺れている状況も伝わってきます。親子間の意思決定支援の難しさを感じる動画でもあります。

 

 

人生会議(ACP)とは何でしょうか

 

「人生会議」(ACP:アドバンス・ケア・プランニング)とは、もしものときのために、あなたが望む医療やケアについて前もって考え、家族等や医療・ケアチームと繰り返し話し合い、共有する取組のことです。(出所)厚生労働省HP

人は誰もが、生きていればある日突然病気になったり、事故に遭う可能性があります。しかし命に危険が差し迫った場合、70%の人は、どんな治療やケアをしてほしいのか、周りに伝えられなくなってしまうそうです。そのため事前に、自分がどんな風に治療やケアを受けたいのか、家族等と話し合い、明らかにして周りに伝えておきましょうという取り組みです。

「ぼけますから、よろしくお願いします。」の映画の中で、母親が認知症になり、最終的には胃ろうで栄養をとり、延命治療を行っていました。母親の意思を事前に聞くことができず、信友監督と父親の良則さんで胃ろうの措置を決めたのですが、信友監督もこの決断が本当に良かったのか心に残っていたのかもしれません。今回父親と人生会議を行った理由の一つでもあるようです。

もしもの時の対応を事前に話し合っておくのは、残された家族の心理的負担を減らすことにつながるのかもしれません。

人生会議とは次のように進めるとスムーズだとされています。(出所)人生会議のリーフレットから

  • 自分の好きなもの、大切にしているものをみつける
  • 自分が信頼している人を明らかにする
  • 自分が信頼できる人と一緒に医療やケアチームの方と繰り返し話をする
  • 自分のもしもの時の医療やケアの希望を周りに伝え共有しておくこと

人生会議については、まとめられているサイトが厚生労働省のHPにあります。

また厚生労働省から「人生会議」に関する動画も3本出ており、とてもわかりやすい内容になっています。

 

 

意思決定支援とはなんでしょうか

 

意思決定支援とは、障害や認知症などにより、一人で物事をうまく決められない人と共に歩み、ご本人の意思を尊重することを意思決定支援と言います。「人生会議」はもしもの時に備えて、自分に判断能力があるときに自分の意思を伝える仕組みなので、後見事務とは異なります。しかし、今回の良則さんも大変しっかりしていますが、要支援2を受けており、今は身の回りのことを一人で行うことができますが、いずれ難しくなってくるかもしれません。動画の1編で娘である信友監督が、最後まで家にいたいのか、それとも施設に入ってもよいのか聞いた時、良則さんは施設に入ることは致し方ないと信友監督に告げました。しかし2編でかかりつけ医と三人で話した時、やっぱり家に居たいと告げます。かかりつけ医に前回話した時と違うことを伝えると、「聞き方によって相手の答え方も異なります。誰だった自分の家に居たいですよ。」と言われます。良則さんも判断能力はあっても、娘の負担にならないように遠慮したと推察されますが、しかしこれは親子間の愛情、互いへの思いやりでもあり、特に最終局面を想定した際の意思決定支援の難しさを感じました。

意思決定支援の原則では、全ての人は意思決定能力があることが前提となっています。またもし支援者による代行決定が行われる際は、ご本人の意思に基づいて支援が行われることが期待され、法的保護の観点から、同意しない、またはご本人にとっての最善の利益に基づいて、ご本にとは異なる意思での代行決定を行うことが許されるとされています。(出所)厚生労働省 意思決定支援パンフレット

 

 

状況が変われば気持ちも変わります。まずは一度周りと話してみませんか。

 

今回の動画では、3編で良則さんが信友監督と共に、かかりつけ医からもらったもしもの際に確認したい項目(自分が最後をどこで迎えたいか、延命治療はどうするか等)について自己決定していきます。最終的に良則さんが現時点で選択したのは、自宅での最期と、延命治療は望まない、痛みを緩和する治療でした。今回はかかりつけ医(第三者)が親子の間に入ることで、良則さんが自分の思いをオープンにする機会に恵まれました。また他の人生会議の動画でも、本人の思いが二転三転するケースもあり、とても大事なことなので、繰り返し話し合い、揺れる気持ちを受け止めて、決めすぎず、ゆっくりゆっくり時間をとって安心して考える時間をとることが大切だと思いました。

また家族側も、本人の気持ちが揺れることに一喜一憂せず、寄り添う姿勢が大事だと思いました。一緒に時間をかけて考えてみませんか。

 

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