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NETFRIXドラマ「パレード」から未練を解消すること、自分の物語を紡ぐことの大切さについて考えてみよう【話題の映画・ドラマ・アニメから考えるブログ⑳】

NETFRIXドラマ「パレード」から未練を解消すること、自分の物語を紡ぐことの大切さについて考えてみよう【話題の映画・ドラマ・アニメから考えるブログ⑳】

 

  • 「パレード」のドラマ概要とあらすじについて
  • 死後の世界はあるのでしょうか。年忌法要について考えてみよう
  • 未練を解消すること、自分の物語を紡ぐことの大切さを考えてみよう
  • 後世に承継できるものがあれば、なお幸せ

 

それぞれ一つずつみていきたいと思います。

 

 

「パレード」のドラマ概要とあらすじについて

 

『パレード』は、2024年2月29日にNETFRIXで公開されたドラマです。監督は藤井道人です。藤井道人監督は2019年の映画「新聞記者」で第43回日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞しています。また近年では、数々の話題作となったドラマや映画、アニメの監督として知られています。主演は実力派俳優の長澤まさみ、脇を固める俳優陣の豪華さには驚きます。坂口健太郎、横浜流星、田中哲司、森七奈、寺島しのぶ、リリー・フランキーなど、その他にも日本を代表する俳優たちが出演しています。

学校帰りの息子を迎えに行く途中で未曾有の大災害(東日本大震災を彷彿させます)に遭遇し、命を落としてしまった主人公美奈子(長澤まさみ)は自分が死んだことに気づかず、息子の良を懸命に探します。しかし誰に話しかけても声を聞いてもらず途方に暮れる中、アキラ(坂口健太郎)と出会い、亡くなった人が集まる場所に連れて行ってもらいます。その場所は強い未練を残して死んだ人が、その先の世界に行けず、あの世とこの世の狭間の場所であると告げられます。美奈子も最初は状況を理解できず混乱と怒りの中にいましたが、新月の夜、狭間の場所にいるたくさんの未練を残した人が、自分の大切な人を探して歩く「パレード」に参加したことで、徐々に態度や考え方が変わっていきます。最初は警戒していた人たちと寝食を共にする中で心を通わせ、それぞれがなぜ、次の世界に行けずに狭間の世界で留まっているのか理由を知ることになります。美奈子も息子の良と再会を果たせ、自分の思いを伝えることができ、次の世界に行くことになります。しかしその前に現世で映画監督だったマイケル(リリー・フランキー)の自伝映画を完成させることを手伝い、見事に映画を完成させます。

現実世界で昏睡状態で生死の狭間の世界にいたナナ(森七奈)が意識を取り戻し、最後自分が狭間の世界で見聞きし、体験したことを映画監督としてまとめ、美奈子の息子、良などを試写会に招きます。

映像の美しさが際立っており、幻想的な映像美の中で新月の夜、死者によるパレードが行われるシーンは圧巻です。海辺のシーンは希望とあきらめの両方を感じられます。横浜流星の勢いが映画にも表れています。特に印象に残ったのは、森七奈の自然体で本能的な次元の違う演技です。劇中に、「お前天才か」と言われるシーンがあるのですが、あれは本当に周りがそう思ったのではないかと勘繰る程です。死による喪失に関しては、遺された側の視点のものが多く、死者の喪失と未練について描かれた点では新しいと感じました。

(出所)WikipediaNETFRIX

 

 

死後の世界はあるのでしょうか。年忌法要について考えてみよう

 

死後の世界については、色んな考え方があります。また生死の境を彷徨ったことがある方が、特別な経験をすることはあるのかもしれません。

今回は、法要の中で死後の世界について考えてみたいと思います。

年を重ねると、法要に出席する機会も増えてきます。初七日、四十九日、一周忌、三回忌、七回忌、十三回忌など故人を供養する行事があります。法要後に集まった親族などでそのまま会食を行うことも多いです。亡くなった方が現世と冥土の間をさまようとされている49日間は、「中陰」と呼ばれる期間です。この期間が終わったあと、死者は極楽浄土へ旅立てるかの審判が閻魔大王から下され、来世で生きる世界が決定するといわれています。そのため、中陰の間は七日おきに行われる裁きに合わせて個人を供養し、法要を行うことで、亡くなった方の冥福を祈ります。この法要を「中陰法要」と呼びます。(一部そのまま抜粋 アイセメモリアル神奈川HP)仏教では亡くなってから49日は映画パレードの舞台である現世とあの世の狭間の世界にいると考えられています。

年忌法要の三十三回忌を弔い上げと呼びますが、三十三回忌で年忌法要は終了となります。また三十三回忌を過ぎると全員が極楽浄土に行けると信じられています。

 

 

未練を解消すること、自分の物語を紡ぐことの大切さを考えてみよう

 

「この世に未練があると成仏できない」という言葉は、家族内、メディアを通して、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。幽霊の多くは、非業の死を遂げたり、この世のことがらに思いを残したまま死んだ者の霊であるのだから、その望みや思いを真摯に聴いてやり、執着を解消して安心させてやれば、姿を消すという出所 Wikipedia)と思われてきました。今回のパレードの現世とその先の世界の狭間にいる人達は、この記述から捉えれば幽霊に近いのかもしれません。未練を解消して思いを残すことがなくなり、仏となって冥途に行くことができることが成仏です。私たち生きている人間も既に「時遅し」となっているやり残した事柄でも、自分なりに解決し、成仏させることが大事なのでしょう。

また、今回マイケルが自伝映画を完成させ、大切な人に思いを伝えたことで、マイケルも思い残すことがなくなります。自分の物語を紡ぎ、どんな形でもいいから完成させることの大切さを感じました。もし、物語が途中で破綻してしまい当初のストーリーとずれてしまっても、自分の空想や周りの人たちの力を借りて物語を補完し、最終的には自分の物語を完成させることが、希望と自尊心を持って生きていくには必要なことなのかもしれません。

(出所)Wikipedia

 

 

後世に承継できるものがあれば、なお幸せ

 

パレードは、ラストが特に秀逸に感じました。一命をとりとめたナナが数年後映画監督となり、自分が生と死の狭間の世界で体験したことを映像化し、その時の仲間の家族たちを招待し、映画の始まりのシーンで終わります。

やはり、後世に承継できるもの、例えば自分の子供や孫のような子孫、映画、有形無形は問わず、承継できればなお幸せなんだろうとラストのシーンを見ながら感じました。

次に繋がる、バトンを渡せる、という行為は、未来につながる希望のにおいがします。

藤井道人監督のインタビュー記事の中で、このドラマは、親交のあった映画プロデューサーの河村光庸さんの訃報を聞いて、激しく深い喪失の中で書き上げたストーリーだそうです。ドラマの後半で、リリーさん演じるマイケルがアキラとの会話の中で、「やっぱり死んでも映画。やったもん勝ち」というセリフが出てきましたが、妙にリアルで納得感のある素晴らしいシーンでした。マイケルが後世に承継するのは映画だけではなく、後進が受け継ぐ映画に対する情熱でもあるのでしょう。

(出所)映画ナタリーインタビュー記事

 

目の前の一瞬一瞬を精一杯生きて、なるべくその都度問題を解決し、清々しく生きていければ最高ですが、それができないのか人間です。しかし自分の物語は自分しか紡ぐことができませんので、それぞれがかけがえのない自分の物語を完成させましょう。

終活、死生観、喪失に関するドラマ、映画ブログもあります。よろしければご覧ください。

 

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