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【2050 年には単独世帯が 44.3%】2030年前半には平均世帯人員は初めて2人を割り込む未来へ 日本の世帯数の将来推計から考えてみよう【データから考えてみよう22】

【2050 年には単独世帯が 44.3%】2030年前半には平均世帯人員は初めて2人を割り込む未来へ 日本の世帯数の将来推計から考えてみよう【データから考えてみよう22】

 

昨今、日本の少子高齢化の影響が私たちの生活に直接影響を及ぼすようになってきました。生産年齢人口の減少による人手不足で、街のお弁当屋さんや飲食店などで一時休業の張り紙を目にするケースも増えてきました。

今回の調査結果は驚きの数値となっていますが、確実に多少の誤差はあれど訪れる未来です。どのような社会になるのかを知ることで自らも備えることができます。

今回はこの調査結果から日本の現状と、2050年の未来に向けて国の行政機関が取り組んでいる事柄についてみていきたいと思います。

 

  • 2033年には、平均世帯人員が1.99人になるという予測
  • 2050年には単独世帯が43.3%、日本で暮らす人の半分が一人暮らしになるという予測
  • 2050年の単独世帯では、男性では約6割が未婚の高齢男性になるという予測
  • 2050年の未来に向け、成年後見制度、高齢者の住宅確保支援など、国の高齢化社会に向けて施策が加速しています

 

それぞれ一つずつみていきたいと思います。

 

2033年には、平均世帯人員が1.99人になるという予測

 

戦後、家制度が廃止され、女性男性の両性の本質的平等を原則した新民法が施行されました。家族制度も戦前戦後では大きく変わり、夫婦と未婚の子供から構成される「核家族」が日本で最も多い家族の構成形態となりました。

令和2年の国勢調査では2000年には一人世帯(単独世帯)の割合は、27.6%でした。3人世帯は18.8%、4人世帯は16.9%、5人世帯は6.8%でした。日本の世帯数の将来推計は核家族とその他※注1でわけていますが、国勢調査では,世帯を「一般世帯」と「施設等の世帯」※注2の2種類に区分しています。

日本の世帯数の将来推計(全国推計)でも国勢調査と同じような指摘の部分があります。「夫婦と子から成る世帯」は、昭和60(1985)年の1,519万世帯をピークにすでに減少局面に入っていますが、一般世帯総数がピークとなる令和12(2030)年以降、減少幅が大きくなり、令和2(2020)年の1,401世帯から令和32(2050)年には1,130万世帯まで減少します。一般世帯総数に占める割合をみると、団塊の世代が30歳代前半であった昭和55(1980)年には、一般世帯総数の42.1%を占める主要な類型でしたが、令和2(2020)年には25.2%と割合が急激に低下しました。(日本の世帯数の将来推計からそのまま抜粋)

このように人口統計を時系列的に見てみると、2000年から2020年が日本の人口動態の重要な編成期だったのだろうと推察します。単独世帯は2000年27.6%だったのが、2020年には38.0%まで増加します。ここでは説明を省きますが、現在40代から50代前半までの就職氷河期世代の厳しい結婚、出産事情が一つの原因だと考えられます。

日本の世帯数の将来推計から計算して作成したグラフです。

※注1

※注2 国勢調査では,世帯を「一般世帯」と「施設等の世帯」の2種類に区分している。「一般世帯」とは,「施設等の世帯」以外の世帯をいう。「施設等の世帯」とは,学校の寮・寄宿舎の学生・生徒,病院・療養所などの入院者,社会施設の入所者,自衛隊の営内・艦船内の居住者,矯正施設の入所者などから成る世帯をいう。

(出所)国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計(全国推計)-令和 6(2024)年推計-」

令和2年国勢調査 総務省

 

 

2050年には単独世帯が44.3%、日本で暮らす人の半分が一人暮らしになるという予測

 

先に、単独世帯が大幅に増加したのは2000年から2020年にかけてとお伝えしましたが、「単独」世帯の割合は 2020 年の 38.0%から 2050 年には 44.3%へと 6.3 ポイント上昇すると予測されます。・世帯数でみると 2020 年よりも増加するのは「単独」のみで、2020 年の 2,115 万世帯から2036 年に現在より 338 万世帯多い 2,453 万世帯まで増加した後減少に転じ、2050 年には現在より 215 万世帯多い 2,330 万世帯となります。(国立社会保障・人口問題研究所概要資料からそのまま抜粋)

2025年に団塊の世代が全員75歳の後期高齢者を迎えるブログを以前書きましたが、2036年はその11年後で、団塊の世代が全員80代後半を迎える頃が日本の単独世帯のピークと予想されています。また2050年は団塊ジュニア世代が全員75歳以上となり、有配偶者の場合は配偶者と死別して単独世帯に戻るケースも増えると予想されます。

単独世帯が44.3%ということは、全世帯の約半分が一人暮らしの世帯になります。高齢化率37%前後と予想されていますので、一人暮らしの高齢者が増えているでしょう。

このような未来予測をみますと、もちろん日本の人口を増やすという少子化対策も大事ですが、高齢化が進み一人暮らしの高齢者が安心して生活できるよう、目線を変えていく必要があるでしょう。

(出所)国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計(全国推計)-令和 6(2024)年推計-」

 

 

2050年の単独世帯では、男性では約6割が未婚の高齢男性になるという予測

 

男女・配偶関係別にみた65歳以上単独世帯数及び割合(令和2(2020)~32(2050)年)では、男性の2050年の65歳以上の未婚の割合は59.7%と約6割を占めます。2025年の推計値では65歳以上の未婚の占める割合は37.7%と推計されており、25年で20%以上の未婚が増えることになります。現時点で、家を借りる、施設への入居、入院時などには、身元保証が必要なケースが多く、保証人は基本親族が要求されます。65歳以上の年齢になると親とも死別している可能性の方が高いでしょう。また、配偶者や直系の子や孫がいません。兄弟や甥姪いとこなどと良好な関係を築けていれば別ですが2050年には現在のサービスの建付けでは、制度が機能しなくなる可能性もあります。

令和5年の孤独・孤立の実態把握に関する全国調査の概要では、男女、配偶者の有無別孤独感(直接質問)では孤独感が「しばしばある・常にある」と回答した人の割合は、男性では「未婚」で、女性では「未婚」及び「離別」で高くなっていますが、総じて女性より男性の方が孤独感は強くなっています。しかし、夫婦のみ世帯でもいつかは死別し、単独世帯に戻ります。また有配偶者で子供がいても、単独世帯になるケースもあるでしょう。2050年の日本では、今より孤独や孤立の問題が重大な社会問題になっているかもしれません。

 

(出所)国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計(全国推計)-令和 6(2024)年推計-」

内閣官房孤独・孤立対策担当室 人々のつながりに関する基礎調査(令和5年)

 

 

2050年の未来に向け、成年後見制度、高齢者の住宅確保支援など、国の高齢化社会に向けての施策が加速しています

 

2050年の日本社会では高齢化と共に単独世帯化が進み、全世帯の約半数が単独世帯となります。また男性の65歳以上の単独世帯の約6割が未婚です。そのような社会に対処するために、今、国の行政機関では様々な施策が動いています。

代表的なものとして

①成年後見制度の見直しに向けた検討

②居住に課題を抱える人(住宅確保要配慮者)に対する居住支援について

③孤独・孤立対策推進策

 

 

■成年後見制度の見直しに向けた検討とは

大きな見直し点としては、法定後見制度における開始、終了等に関するルールの在り方が検討されています。

現在では、判断能力が回復しない限り、利用をやめることができませんが、一定の期間制や、具体的な利用の必要性を考慮して開始し、必要性がなくなれば終了する仕組みを検討しています。

(参考資料)法制審議会第199回会議配布資料 成年後見制度の見直しについて

 

■居住に課題を抱える人(住宅確保要配慮者)に対する居住支援について

低額所得者、高齢者、障害者などは住宅セーフティネット法では「住宅確保要配慮者」と定義されています。・低家賃の住宅が少なく、住宅確保要配慮者には民間賃貸住宅において入居拒否の傾向があります。また連帯保証人、緊急時の連絡体制の確保や一定の生活支援が必要な住宅確保要配慮者もいます。連帯保証人や緊急時の連絡先の確保、訪問などによる見守り支援などといったソフト面での対応と、住宅確保要配慮者の入居を拒まない低家賃の住宅の確保などといったハード面での対応の両方を、厚生労働省と内閣府で進めています。

(参考資料)居住に課題を抱える人(住宅確保要配慮者)に対する居住支援について 厚生労働省、内閣府

 

■孤独・孤立対策推進策

長引くコロナ禍で社会のつながりが希薄化する中で、2021年2月に内閣府に設置されました。2024年4月1日に孤独・孤立対策推進法が施行されました。

孤独・孤立対策推進室では、ソーシャルメディアの活用、孤独・孤立の実態把握、孤独・孤立関係団体の連携支援の3つのテーマに関するタスクフォースを設置し、NPO等の支援団体、民間企業、学識経験者、行政が一体となって取り組みを進めています。

また、孤独・孤立対策に取り組むNPO等への緊急支援策の取りまとめなど、支援団体等がより活動しやすくなるような環境整備などに政府一体で取り組んでいます。(出所内閣府HP)直接の設置起因は新型コロナの蔓延ですが、地縁血縁の共同体が弱体化し、共同体感覚が希薄する中、将来的にも重要な施策と言えるでしょう。

 

2050年の日本の世帯数の将来推計についてここまでみてきました。大変厳しい推計となっていますが、しかし誰も未来に何が起きるかはわかりません。現在の推計をしっかり認識した上で、自分で今から備えられることはあるのか、今から少しだけでも意識を変えてみるものはあるのか、考えてみてはいかがでしょうか。

 

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