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2.282025
映画「茶飲友達」から若者、高齢者のそれぞれの孤独とコミュニティは家族になれるのか、考えてみよう【話題の映画・ドラマ・アニメから考えるブログ44】

映画「茶飲友達」から若者、高齢者のそれぞれの孤独とコミュニティは家族になれるのか、考えてみよう【話題の映画・ドラマ・アニメから考えるブログ44】
- 映画「茶飲友達」の映画の概要とあらすじについて
- 若者と高齢者、どちらが孤独なのでしょうか
- コミュニティは家族になれるのでしょうか
- セーフティ・ネットとしてのコミュニティへの参加
それぞれ一つずつみていきたいと思います。
ドラマ「茶飲友達」の映画の概要とあらすじについて
『茶飲友達』は、「燦燦 さんさん」「ソワレ」の外山文治監督が、2013年10月に高齢者売春クラブが摘発された事件を元に、超高齢社会の現代日本が抱える閉塞感や寂しさなど、さまざまな問題を反映して描いた群像ドラマで2023年2月4日に劇場公開されました。外山文治監督プロデュース・監督・脚本を務めた長編第3作の作品です。2月4日に渋谷ユーロスペース1館で封切られた同作でしたが、1カ月あまりで全国53館へと拡大し、最終的には全国80館以上で上映されるという異例の拡大公開となりました。出演者は俳優ワークショップで667人がエントリーし、主演の岡本玲をはじめとする33人が選出されました。まさに多数の実力のあるシニア俳優が出演しています。主演は岡本玲、渡辺哲、磯西真喜らが脇を固めています。本作品は第48回報知映画賞『作品賞』『監督賞』にノミネートされ、フランスのパリで開催させるKINOTAYO現代日本映画祭にて「グランプリ」を獲得。第37回高崎映画祭にて「最優秀監督賞」「最優秀主演俳優賞(主演 岡本玲)」を受賞しました。
佐々木マナ(岡本玲)は、仲間とともに高齢者専門の売春クラブ「茶飲友達(ティー・フレンド)」を設立し、新聞に掲載した「茶飲友達、募集。」の三行広告で集まってきた男性たちのもとへ高齢女性を派遣するビジネスをスタートします。「ティー・ガール」と称される在籍女性の中には、介護生活に疲れた女性、ギャンブルに依存した女性などさまざまな事情を抱える者がいました。マナのもとで「茶飲友達」を運営する若者たちもまた、出口の見えない社会で閉塞感を抱えて生きています。さまざまな世代を束ねるマナは、彼らを「ファミリー」と呼び、擬似家族のような絆を育んでいきますが、マナと特別親しい関係となる松子(磯西真喜)のとった行動が「茶飲友達(ティー・フレンド)」を窮地に追い込み、シェア家族のような温かい雰囲気だったファミリーは無残に壊れみんな自己保身のため、逃げ出します。マナと松子は警察に逮捕されビジネスは終焉を迎えます。(映画.comから一部そのまま抜粋)
本作品は2013年に実際に起きた高齢者売春をモチーフに作られた作品です。高齢者の性が主題です。劇中、シニア俳優たちの体当たりの演技が続き、正直驚きもありました。しかしプロの役者としての潔さも徹底しており、高齢者の性に関しては、私たちがまだ知らない事が多すぎるのだと思いました。また、居場所のない、心に隙間のある高齢者につけこみ売春ビジネスを作り、運営していく若者たちにも孤独感や閉塞感があります。そんな孤独を抱える若者と高齢者がファミリーとなり、シェアハウスで寝食を共にし、家族のような親密な関係を築きます。しかし、ビジネスが崩壊し、逮捕が真近になった時、疑似家族は一気に崩壊し、一目散にそれぞれが逃げ出し、家族の絆はもろく、あっという間に崩れます。この家族崩壊の一瞬のプロセスの書き方は人間の手のひら返しをリアルに描き、救いがなく、徹底的に残酷です。
扱われている社会テーマが大きく、多岐にわたり、複合的に自分の問題として当てはまる人は若者も高齢者も同様でしょう。
これだけ後味の悪い作品を作れる外山文治監督の更なる作品を楽しみにしたいと思います。
(出所、参考)Wikipedia、映画.com、映画.comニュース
若者と高齢者、どちらが孤独なのでしょうか
本作品は、現代という時代に生きている人の孤独を描いた作品です。心に寂しさを抱えている高齢の男性にティー・ガールズを斡旋し、高齢男性達はひと時のぬくもりを得ます。ティーガールズ達もそれぞれ事情を抱えています。ティー・ガールズの運営を支える若者たちも居場所がなく孤独です。映画の中で印象的な言葉がありました。取り調べの警察官にマナが「自分の寂しさを誰かの孤独で埋めるな」と叫ぶ場面です。
大変ショッキングなニュースですが、2024年は小中高生の自殺が過去最多の527人だったそうです。若者世代への精神的なケアが求められている時代なのではないでしょうか。
孤独・孤立の実態把握に関する全国調査(令和5年) 調査結果では、以下の事実が分かっています。(孤独・孤立の実態把握に関する全国調査(令和5年) 調査結果のポイントから一部そのまま抜粋)
・孤独感を年齢階級別にみると、孤独感が「しばしばある・常にある」と回答した人の割合は、20歳代から50歳代で高い
・男女別にみると、男性が5.3%、女性が4.2%
・男女・年齢階級別にみると、男性では30歳代及び40歳代、女性では20歳代で高い
あるインタビュー記事の中で、外山文治監督が「年を取ると孤独が見えやすくなる」と言ってしました。もちろん高齢者も高齢者にしかわからない孤独があるのでしょう。しかし、今の若い世代の孤独感については、もっと掘り下げてみる必要があるのではないかと思いました。
(出所)内閣府、孤独・孤立の実態把握に関する全国調査(令和5年実施)
コミュニティは家族になれるのでしょうか
マナは、恐らくとても純粋な気持ちで、ティー・フレンドのみんなを、ファミリーと呼び、シェアハウスで共同生活を行う若者も高齢者もみんなの帰れる家を作りたいと願います。メンバーの誕生日にはみんなでケーキを囲みます。ひとりで赤ちゃんを産みたいと願うメンバーには、みんなで育てようと声をかけ、まるで家族のような親密さを作り上げていきます。しかしある事件をきっかけに蜘蛛の子を散らすように、シェアハウスから人々が飛び出し、家族のような親密さは冷め、裏切ります。是枝裕和監督の万引き家族という作品でも、血の繋がりも姻族としての関係もない赤の他人が同居し疑似家族を築き、結果的にある違法行為が明るみになり逮捕され家族は崩壊します。しかしみんなの心の中に確かに家族という時間が存在した余韻がありました。しかし、このティー・フレンドの崩壊後には何も残りませんでした。みんながティー・フレンドを自分の都合の良いように使っていただけなのかもしれません。コミュニティは家族になれるのか?家族のようなものにはなれたとしても、家族にはなれないのかもしれません。
※万引き家族について書いた記事はこちらになります
セーフティ・ネットとしてのコミュニティへの参加
作品の途中で、ティー・フレンドを運営する若者たちは、自分たちの仕事を「この街のセーフティ・ネットなんだ」と話すシーンがあります。ここでセーフティ・ネットとは何かみてみたいと思います。
■セーフティ・ネットとは何か
セーフティ・ネット(安全網)とは元々サーカスの空中ブランコの下に張られたものから由来している。セーフティ・ネットは、空中ブランコの演技者が演技に失敗して下に落ちる事故を未然に防ぎ、軽減すると共に、演技者に安心感を与え、思い切った演技を行わせるという役割を果たしている。セーフティ・ネットの目的は3つあり、第一に、不幸が発生したときの損害を最小にする、第二に、被害が生じた時の補償を行う制度をあらかじめ用意しておく、第三に、セーフティ・ネットの存在によって安心 感が与えられたことによる効果(人々が失敗をおそれず勇気ある行動を取ること)を期待すること
(引用 JICAの資料から)
町内会や地域行事などの活動に参加している人の割合は令和元年の厚生労働省の国民健康・栄養調査結果では男性が42.8%、女性が43.4%となっています。
年齢別にみると、40歳代から、町内会や地域行事などの活動への参加が男女とも4割を超え、ボランティア活動、スポーツ関係のグループ活動、趣味関係のグループ活動、その他のグループ活動での最多の割合を占めています。
恐らく単独世帯が増えると予測される未来では、町内会や地域行事などの活動が減ってくるでしょう。そうなった時に、町内会や地域行事も含めそれ以外の活動に幅広く参加していくことが最終的には自身のセーフティ・ネットを強固にすることにつながるのかもしれません。
現代社会の問題点に深く切り込んだ作品で、印象深いセリフもたくさんありました。テーマも多岐に渡り消化するのに時間が必要な映画です。135分があっという間に感じられました。多くの人にみてもらいたい映画です。
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