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『DIE WITH ZERO』と1300億円の国庫帰属──人生の「ちょうどいい塩梅」を行政書士と考える【気になる記事ブログ32】

はじめに:3年で2倍になった「1300億円」の衝撃

ビル・パーキンスの著書『DIE WITH ZERO(ダイ・ウィズ・ゼロ)』

「ゼロで死ね」という挑発的なタイトルが躍る本書ですが、私はこれを単なる資産運用の本だとは捉えていません。人生の終盤において、「お金・時間・健康」という3つの限られた資源を、どう自分らしく調合(アンサンブル)するかを問う、極めて哲学的な一冊だと感じています。

この本を読み返し、人生の「ちょうどいい塩梅」について思いを巡らせていた矢先、衝撃的な数字を目にしました。

「2024年度、相続人不在のため国庫に帰属した財産が1,300億円弱に達した」

私は以前、このブログで相続人不在について執筆しましたが、当時は約600億円でした。わずか3年ほどで、その数字が2倍以上に膨れ上がっているのです。この数字の背後には、一体どのような背景があるのでしょうか

なぜ、1300億円ものお金が「行き場」を失うのか

この1,300億円という数字は、単なる統計データではありません。

そこには、一生懸命に働き、将来への不安から倹約し、結果として「使い道」や「託し先」を決められないまま旅立たれた方々の、切実な人生が詰まっています。

『DIE WITH ZERO』の根底には、「人はいつ死ぬかわからない」という不確実性への恐怖があります。

私たちは、将来が不安だからこそ、必要以上にお金を貯め込んでしまいます。しかし、貯めることに集中するあまり、「いつ、どう使うか」という出口戦略を忘れてしまいがちです。

特に日本総研のレポートが指摘するように、現代は未婚者の増加が顕著です。ここ数年で家族の形が大きく急激に変化しています。

「家族がいれば、自然と財産は引き継がれる」というかつての前提が崩れ、

  • 子どもがいない

  • 兄弟姉妹とも疎遠、あるいは既に他界している

  • 親族が高齢で頼れない

    といったケースが当たり前の時代になりました。特に2050年には子供がいない高齢者は2024年の2倍の1000万人と予測されています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(出所)日本総合研究所

「思い出の配当」を最大化するために

ビル・パーキンスは、「思い出の配当」という魅力的な言葉を使っています。

若い頃に経験した旅や、大切な人と過ごした時間は、その後の人生で何度も思い返すことで「配当」として心を豊かにし続ける、という考え方です。

行政書士として多くのご相談を受ける中で感じるのは、この「思い出の配当」を最大化することと、終活を整えることは、実は同じベクトルを向いているということです。

遺言書を書く、任意後見契約を結ぶ、あるいはエンディングノートを綴る。

これらは決して「死の準備」ではありません。

「残された時間と財産を、自分の意志でどう輝かせるか」という、前向きな人生設計そのものなのです。

行政書士が提案する、人生の「塩梅」の整え方

1,300億円もの財産が国庫に入るという現実は、色んな事情があるにしろ、自分の人生の幕引きを「自分」でデザインする機会を逸してしまった結果かもしれません。

もちろん、国のために役立てるという選択も素晴らしいものです。しかし、それは「意図せずそうなった」のではなく、「自分の意志でそう決めた」結果であればその方の考え方を尊重したいと私は考えています。

行政書士として、私が皆さんと一緒に考えたいのは、以下の3つのバランスです。

  1. 「お金」の安心を可視化する

    遺言や信託、あるいは寄付の準備などを通じて、財産の「出口」を明確にします。

  2. 「時間」の質を高める

    「いつかやろう」を「今」に変えるために、将来の事務手続き(死後事務委任など)を専門家に託し、現在の自由な時間を確保します。

  3. 「健康」に寄り添う備え

    認知機能が衰えたとき、誰があなたを守るのか。任意後見契約という「お守り」を持つことで、最後まで自分らしく生きる尊厳を保ちます。

これらを通じて、極端な節約でも浪費でもない、あなたにとっての「ちょうどいい塩梅」を見つけ出すお手伝いをすることが、私の使命です。

結びに代えて:あなたの物語の「最後の一行」を

相続人不存在で国庫に帰属する額が急増しているという事実は、現代社会が抱える「孤独」と「準備不足」の象徴でもあります。

ですが、この記事を読んでくださっている皆さんは、まだ間に合います。

『DIE WITH ZERO』が教えるように、人生のピークを今ここに設定し、未来への不安を「具体的な手続き」に変えてみませんか。

もし、あなたが明日いなくなったとしたら。

その時、通帳に残された数字は、誰かの笑顔や、社会の希望に変わる準備ができていますか?

「自分の人生をどう締めくくるか」

それは、最後まで自分らしく生きるための、最も創造的な作業です。

行政書士として、そして一人の人間として、あなたの人生の「いい塩梅」を、じっくりと一緒に考えていける存在でありたい。そう願っています。

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